現在の位置

令和3年度 施政方針

はじめに

昨年は、市制施行50周年の年でありました。

市民の皆様方などからなる実行委員会などで様々な記念行事が計画されていたところでありますが、中止や延期となっています。

令和3年度は、コロナ禍の状況やワクチン接種の状況、また、国や県の動向などを注視しながら、「次なる新たな知立の船出として」、50周年の記念の諸事業の開催が叶いますよう、大きな期待をしているところであります。

新型コロナウイルス感染症対策について

まずは、新型コロナウイルス感染症対策への取り組みについて申し上げます。
日々、市役所や学校、保育園、図書館や体育館などの公共施設内で、感染者が発生・拡大しないよう教員、保育士、職員が、毎日細心の注意を払い、自分自身の体調管理はもとより、頻繁な消毒作業や換気の徹底、利用制限などを行っており、今後も、引き続き気を引き締めて、感染症対策を徹底してまいります。

また、保健所からの陽性者などの情報が入れば、様々な媒体を使って、迅速かつ正確に発信し、市民の皆様方への、マスクの着用や三密を避けること、また、体調が悪い際の外出自粛など、繰り返し呼びかけていくとともに、引き続き町内会や各種団体の皆様方とも連携し情報共有を図ってまいります。

また、感染症対策の徹底と同時に、社会経済活動が両立できるよう今後も努めていくとともに、関係者の皆様方に寄り添いながら、必要な支援策に努めてまいります。

一方、ワクチン接種であります。
安全に、効果的に進めるべく、新型コロナウイルス感染症対策本部の中に、部会を立ち上げております。
国の指導のもと、医師会の皆様と連携しながら、確実に進めてまいります。
安心・安全・効果的にワクチン接種ができるよう、着実に進めてまいりますのでよろしくお願いします。
2005年、知立市は、市民の皆様方と協力しあい、協働のまちづくりを明文化した「知立市まちづくり基本条例」を、全議員の賛同を経て全国に先駆けて制定しました。

その前文には、
「私たちは、先人が築いた地域資源や文化を引き継ぎ、より暮らしやすくするとともに、豊かで潤いのある未来を次の世代へ繋げるために、ともに力をあわせなければなりません。そのためには、市民が、市民の手で、市民の責任で主体的にまちづくりに取り組むことが大切です。」と謳われています。

知立に住む、知立に集う、全ての方々が、それぞれのお立場で、まちづくりに携わっていただくことで、第6次知立市総合計画が目指す「輝くまち みんなの知立」になっていくものと確信をしております。
そして、現在、様々な場面において、多くの皆様方が力を発揮され、ご活躍していただいています。

市民参加のまちづくり

例えば、今回、コロナ禍において、様々なところで、「テイクアウト・フェスティバル」が開催されておりますが、これも市民の皆様方のお力によるものであります。

また、知立市のマスコットキャラクター「ちりゅっぴ」が、「全国ゆるキャラグランプリ2017」において、見事、準優勝となりましたが、これは、まさしく市民の皆様方のお力の結集でありますし、山車文楽・からくりが、ユネスコ無形文化遺産に登録されたのも、長きに渡って祭り関係者の皆様方が、伝統文化を継承されてきたお力によるものであります。

[ちりゅっぴのお誕生日]

併せて、感染症対策に留意されながら、昨年の暮れも、新地公園での「ドリーム・イルミネーション」を実施してくださいましたが、これも、「コロナ禍において、市民の皆様方に感動を提供したい」という、市民有志の皆様方の熱いお志で成し遂げられたものであります。

また、現在、コロナ禍においても、感染症対策に留意しながら開催してくださっている毎朝のラジオ体操や、市内各所で開設されております高齢者サロンも、市民有志の皆様方が運営してくださっておりますし、防犯パトロールや環境ボランティア、子どもたちの登下校におけるスクールガード、また、公園や道路の愛護会などなど、様々な分野において、コロナ禍において細心の注意を払いながら、より住み良い知立づくりのためにご尽力してくださっており、関係各位に改めて感謝申し上げるところであります。

本年度も、本市を家庭のように家族のように、「輝くまち、みんなの知立」にすべく、尽力してまいりますのでよろしくお願いし、以降、個別の課題への取り組みについて申し上げます。

安全で安心できるまちづくり

まずは、安全で安心できるまちづくりに向けての取り組みであります。
防犯対策について申し上げます。

過去、知立市において、犯罪発生件数が最も多かった年は、平成21年で、年間件数が1,882件と、人口比率では愛知県でワースト1位でありました。
しかしながら、昨年は473件と、1,300件以上の減少となるなど、着実に改善されてきています。
本年度も、犯罪を無くすため、防犯パトロールの実施や防犯灯の増設、また、防犯カメラにつきましても、従来の町内会への防犯カメラの設置補助や公園や学校などへの設置のほか、本年度より、新たに市道などへの設置も、順次計画的に進めてまいります。

また、交通事故撲滅に向けては、年間を通じての様々な啓発活動を引き続き実施するほか、本年度新たに、自転車に乗られる方へのヘルメットの購入補助を創設いたしました。また、引き続き中高生を対象とした200日間無事故無違反ラリーの実施、路側帯などの明瞭化や反射鏡などの交通安全施設の設置、高齢者の運転免許証の自主返納事業の促進などと併せ、75才以上の皆様方へのミニバス運賃の無料化制度や、高齢者安全運転支援装置設置費補助事業の一層の周知を図るなどしながら、高齢者ドライバーによる交通事故防止を図ってまいります。

また、さらなる安心安全力の強化には、警察力のさらなる充実化が欠かせません。
駅前交番が、より市民の目に触れやすい場所に移設されました。
知立警察署の設置などについても、引き続き要望活動をしてまいりますので、ご支援よろしくお願いします。

一方、防災対策についてであります。
この地域にも、いつ大きな自然災害が発生するかわかりません。
昨年、国土強靭化地域計画を作成し、また、洪水ハザードマップの見直しも行いました。
愛知県には、猿渡川や逢妻川の河川改修などしていただいておりますが、引き続き、積極的に事業が継続されるよう要望してまいります。
併せて、業務継続計画(BCP)をもとに、さらなる訓練や検証を行っていくほか、引き続き本年度も、名古屋大学減災連携研究センターへ職員派遣を行うなどし、防災に関しての研鑽を積んでまいります。

知立市において、南海トラフの地震が発生しますと、約4,300棟の家屋が倒壊し、約200名の方がお亡くなりになるという数値が出ています。
引き続き、家具の転倒防止や家屋の耐震化の啓発を行うほか、本年度、新たに多世代同居を条件とした家屋への耐震化の支援制度も創設してまいります。
また、重要給水管の整備促進や橋梁の耐震化、防災ラジオの有料配布なども引き続き実施してまいります。

また、防災士の養成に対しての支援事業のほか、自主防災会や消防団のより一層の活性化が図られるよう、本年度も引き続き努めていくとともに、中学生など子どもたちの防災訓練などの一層の参加促進を図ってまいります。また、新型コロナウイルスなど感染症禍における防災訓練も実施してまいります。

[新型コロナウイルス対応型避難所運営研修]

知立市は、愛知県外6自治体と災害時相互応援協定を締結しており、市内民間宿泊事業所とは「大規模災害時における宿泊等確保に関する協定」、また、各福祉施設とは、「災害発生時における福祉避難所の設置運営に関する協定」などを締結しています。

本年度も、災害時相互応援協定締結自治体など既存提携団体との連携強化や、災害時に備え、様々な視点でさらなる民間事業者や各種団体などとの提携や協定に努めるほか、災害時において、防災協定自治体やボランティアの方々などから円滑に支援を受けることができるよう、本年度は、新たに災害時受援計画を策定していくなど、大災害が発生しても知立市からは犠牲者をひとりも出さない、そのような取り組みを、自助・共助の重要性や必要性を訴えながら、市民の皆様方と共に進めてまいります。

子ども・子育て支援に関しての取組み

次に、子ども・子育て支援に関しての取り組みについて申し上げます。
私たちは、未来を、子どもたちに託していきます。
政治、経済、文化、芸術、スポーツ、科学など、ひとりひとりの子どもには、無限の可能性があると同時に、それぞれの特性があります。

学校の先生方には、ひとりひとりの子どもにしっかり目配り心配りをし、子どもの悩みに応えていただくとともに、子どもの長所や能力を引き出し、伸ばしていただくことを期待するところです。

国では、令和3年度から令和7年度にかけて段階的に小学校全学年での35人学級の実施を予定しているところでありますが、知立市では、令和3年度も引き続き、小学校全学年の35人学級の実施や小中学校全校へのサポート教員の配置など、きめ細やかな教育環境づくりに努めてまいります。

また、オンライン教育、プログラミング教育が始まってまいります。
今の学校の様々な問題の根本には、「みんなで同じことを、同じペースで、同質性の高い学級の中で、教科ごとの出来合いの答えを、子どもたちに一斉に勉強させること」といった慣習的なシステムに原因があると、ある書物に書かれていました。
そして、この問題を解決するための一つの方向性が、「探究」をカリキュラムの核にすること、すなわち、「学びのプロジェクト化」、また、「学びの個別化」であり、100年程の実績があるドイツの「イエナプラン教育」やアメリカの「ドルトン・プラン教育」が注目されており、その手段のひとつが1人1台パソコン配備などにあります。
コロナ禍において、国のギガスクール構想が前倒しされてきております。
知立市としましても、学校の先生方による研究会が立ち上がっており、より教育効果が上がるよう、ICT教育を着実に推進してまいります。

また、全国的にみても先進的な取り組みであります、養育費の保証促進事業補助や養育費に関する公正証書等作成促進事業補助など、ひとり親家庭の自立支援を引き続き実施するほか、待機児童対策などの一環としての逢妻保育園の乳児園化や新たな民間保育園への公募もしてまいります。

併せて、多胎児家庭への支援も実施してまいります。
とりわけ、令和3年度からは、新たに、「多胎児家庭健診サポート事業」や「産後家事援助費助成利用期間の延長」、また、「多胎児家庭への一時保育利用の負担軽減」、「多胎児家庭へのファミリーサポートセンター事業利用料補助」などを新たに実施し、多胎児家庭を応援していくほか、子どもの医療費助成として、令和3年度より、新たに18歳の年度末までの入院費につきましても対象としてまいります。

併せて、令和3年度より、新たに3歳児健康診査時に、屈折異常や眼位異常等の視覚異常について、短時間で幼児にも使用可能な検査機器(スポットビジョンスクリーナー)を導入し、早期発見、早期治療に努めていまいります。

さらに、子どもたちの放課後の安心安全な居場所づくりとして、引き続き、放課後児童クラブと放課後子ども教室との連携を図っていくほか、産後ケア事業の実施や母子保健支援相談員の配置など、にじいろニコニコ事業の着実な実施を図りながら、「子どもを産み、育てるならば知立」と、多くの皆様方に評価していただける環境づくりに、引き続き取り組んでまいります。

福祉への取組み

次に、福祉への取り組みについて申し上げます。
ひとりひとりの尊厳を重んじ、人と人とのつながりを基本として、困った時に助け合う「顔の見える関係づくり」や「共に生きる社会づくり」のため、様々な施策を推進してまいります。

例えば、「福祉を育む意識づくり」として、福祉健康まつりの実施や市民活動団体などへの取組み支援、また、職員が高齢者や障がい者の方々により的確に対応すべく、福祉関連の職員研修についても引き続き実施してまいります。

また、本年度、第4期の障がい者計画(はっぴいぷらん)を策定してまいります。
その中で、障がいのある方が必要なサービスを適切に利用することができるよう、新たに基幹相談支援センターを設置することを計画しており、設置後は、相談支援専門員が専門的な相談支援や各関係機関との連携及び調整を行ってまいります。

一方、高齢社会に向けての取り組みであります。
「100歳元気なまちづくり」とし、今後も、さらなる健康推進や介護予防などの視点で、高齢社会に向けて取り組んでまいります。
まずは、高齢者の方々が身近なところで活動できる場所づくりとして、市内まちかど運動教室や高齢者サロンは、現在、40か所になってまいりました。本年度もさらなる拡大設置を図ってまいります。
また、介護保険や認知症のことなど、高齢者の皆様方の課題を相談しやすい体制づくりとして、昨年新たに知立老人保健施設内に地域包括支援センターを設置いたしました。福祉の里・社会福祉協議会内にある地域包括支援センターとともに、しっかりと周知をさせていただきお気軽に相談できるような環境づくりにさらに留意してまいります。

[地域包括支援センター]

また、知立市は、平成12年度に生涯学習都市宣言をして以来、多くの高齢者の皆様方も、スポーツ活動や文化・芸能活動、ボランティアや地域活動などの生涯学習活動に精力的に取り組んでいただいています。
ある高齢者の方は、朝はラジオ体操をされ、それが終わると、地域において子どもたちの通学の見守り活動をし、そして、午前中はグラウンド・ゴルフ、午後からは図書館やカラオケ教室に行かれるなど、生き生きとされていらっしゃいます。
これからも、より一層、生涯学習活動がしたくなる、また、生涯学習活動がしやすい環境づくりに取り組むなどしながら、「100歳元気なまち」を目指してまいります。

一方、今後、高齢社会が進むに伴い、認知症の方が増えてくることが予想されます。認知症の早期発見が大事なこと、認知症の方を理解する、社会全体で支えていく、そんな環境づくりのため、認知症サポーター養成講座を多くの皆様方に受講していただくほか、メール配信を通じ、地域の皆様で認知症徘徊者などを捜していただくシステム「いまどこネット」を、より多くの方にご登録いただけるよう啓発をしてまいります。

また、高齢化比率と外国人比率が、非常に高くなっている昭和地区においては、より良いコミュニティづくりなどを視点に、昭和未来会議を開催していくほか、生活困窮者の方のための自立支援事業や、生活困窮世帯を対象とした子どもの学習支援にも引き続き取り組んでまいります。

東京大学名誉教授の神野直彦氏は、「生活困窮は低所得だけで生じるわけでなく、『あたたかい手と手をつなぐ』人間関係に包まれなくなった時に生じる。」と仰っておられます。
知立市を家族のように家庭のように感じることのできる心の通うあたたかいまちをつくるためにも、自助力、共助力の重要性を申し上げながら、引き続き、各施策に確実に取り組んでまいりますので、よろしくお願いします。

環境に関しての取組み

次に、環境に関しての取り組みについて申し上げます。
知立市は、環境美化推進条例を施行しており、ポイ捨てや犬の糞放置の禁止事項を罰則規定とともに定めております。
環境美化推進委員などの啓発や指導などで、着実に成果は出てきており、さらに効果を上げるべく、引き続き糞公害撲滅のためのイエローカード作戦や、「愛犬マナー宣言」をしていただいた方への「愛犬マナーポーチ」配布事業、また、「ごみ出しガイドブック」や、「ごみ分類外国語パンフレット」などでの啓発のほか、移動式の不法投棄監視カメラも、重点地区には、随時、設置してまいります。

また、今年度、ごみ出しガイドブックの改訂版を作成します。令和4年度より、ガラス・陶磁器類の出し方の細分化を予定しており、その準備として行うものです。外国語版も併せて作成します。市民の皆様に、ルールを守ってごみを出していただくよう分かりやすく周知し、きれいなまちづくり、安心して暮らせるまちづくりに努めます。

また、国連においては、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」が採択され、「気候変動への対策」や「健康と福祉」など17のゴールからのSDGs(持続可能な開発目標)が策定され、政府においても内閣総理大臣を本部長とした「SDGs推進本部」が設立されました。
本市としても着実に取り組んでまいります。
とりわけ本年度は、新たにSDGsをテーマとした「まちづくりシンポジウム」を開催します。

併せて、本年度も太陽光・太陽熱利用システム設置整備費補助、住宅用エネルギー管理システムや住宅用燃料電池、蓄電池などへの設置費補助を行ってまいります。
政府は「2050年度のカーボンゼロ宣言」をし、衆参両院では「気候非常事態宣言」がされました。
知立市においても、より市民の皆様方への啓発をさせていただく意味からも強いメッセージの発出を検討してまいりますので、よろしくお願いします。

健康に関しての取組み

次に、健康に関しての取り組みについて申し上げます。
まずは、新型コロナウイルスが心配であります。
手洗い、うがいなど、予防に努めていただきますよう、よろしくお願いします。
健康であることは、全ての市民の願いであります。
引き続き、妊産婦・乳児健診事業、特定年齢がん検診推進事業、インフルエンザや高齢者肺炎球菌のワクチン接種事業を実施していくとともに、新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、国の指針に基づき、医師会の皆様と連携しながら、市民の皆様方に迅速かつ安全に接種できるよう万全を期してまいります。

また、引き続き、糖尿病重症化プログラム事業として、健康指導や追跡健康チェックなどを行うなどし、人工透析患者とならないよう予防施策に取り組むとともに、さらなる健康推進のため、健康マイレージ事業の普及促進にも努めてまいります。

また、本年度も公園・散歩道の整備、学校グラウンドなど学校施設の有効活用、また、各種スポーツ教室の開催や高齢者スポーツへの支援、ラジオ体操の普及促進など図りながら、「いつでも どこでも いつまでも」スポーツに親しんでいただける環境づくりにも努め、健康を推進してまいります。

また、歯の健康は、心身の健康に大きく関係します。
引き続き、80歳で自分の歯が20本以上有る方を表彰させていただく「8020」や、90歳で自分の歯が20本以上有る方を表彰する「9020」を実施するほか、本年度は、新たに障がい者施設通所者歯科検診補助事業を実施するなどし、歯の健康づくりを応援してまいります。

本年度も、健康知立ともだち21計画の目指す「すべての市民がともに支え合い、希望や生きがいを持ち、各世代に応じた健康づくりを実践するまち」を着実に進めてまいります。

産業振興とまちの活力づくり

次に、産業振興とまちの活力づくりについて申し上げます。
100年に一度のまちづくりとして進めています知立駅周辺整備事業を本年も確実に推進してまいります。
知立駅付近連続立体交差事業においては工事も最盛期となっており、様々なところに高架構造物を見ることができるようになってきました。

また、駅周辺においても、再開発ビル・エキタス知立の完成に続き、つい先日も新しい駅前交番がオープンしたところであり、さらにこれからも駅周辺の景色は大きく変わってまいります。
これらの事業効果が市内全域に波及されていくよう、蔵福寺地区などの土地区画整理事業の推進と併せて、西新地地区の再開発事業も引き続き推進してまいります。
これからも、定住人口、交流人口をより増大させるべく、また、経済効果を最大限に発揮させるよう丁寧かつ迅速に、一歩一歩これらの整備を進めてまいります。まちづくりが今後の人の成長、子どもの成長につながると期待しております。

また、まちの活力は、市内の中小事業者が元気でなければ生まれません。
市内中小事業者を市民みんなで応援していこう、そんな目的を持った知立市中小企業振興基本条例に基づき、コロナ禍においてご苦労されていらっしゃる方々に寄り添いながら、信用保証料の助成や利子補給事業、若手後継者育成のための支援や新規創業事業補助など、地域を支えてくださっている市内企業を支援してまいります。

併せて、農業振興策として、水稲等の作業効率向上のため畦畔(けいはん)除去補助制度を拡充します。

一方、観光施策についてであります。
本年も、「観光振興計画」をもとに、様々な観光施策を推進してまいります。
また、観光交流センターの活性化を図るため、新たにWi-Fi環境の整備や「ちりゅっぴ放送局」を開設していくとともに、リリオ・コンサートホールにおいて、サテライトキャンパスの開設を引続き支援してまいります。

本年度も、八橋のかきつばたや知立公園の花しょうぶ、松並木、弘法さん、知立まつり、ちりゅっぴなど、知立市の観光と産業の振興が、計画的・機動的に図られていくよう、コロナ禍を鑑みながら観光振興計画の実行を図ってまいります。
併せて、歴史文化基本構想を基に、文化財などの保存・活用を図りながら、引き続き日本遺産登録に向けて尽力してまいります。

また、コロナ禍において、商工関係者などの皆様方が文化会館やスギ薬局福祉アリーナ(福祉体育館)の駐車場などで「テイクアウト・フェスティバル」を開催してくださいました。
また、弘法さん遍照院においても、地域の皆様方が感染症対策を施しながら、定期的に「マルシェ」を開催してくださっています。
知立は東海道の宿場町として発展してまいりました。
「馬の市」や「木綿市」など、様々な市が立っていたようであります。
現代版宿場町として、今後は「知立では、様々なところでマルシェが開催されている。いつ行ってもどこかでマルシェやテイクアウト・フェスティバルが開催されている。」そんな環境づくりを市民の皆様方とともに考えてまいりますのでよろしくお願いします。

[テイクアウトフェスティバル]

より効率的、効果的な行政運営

次に、より効率的、効果的な行政運営について申し上げます。
多様化する行政課題、厳しい財政事情などを鑑み、本年度も、モッタイナイ意識や内部管理コスト意識を徹底し、併せて、民間活力の導入や広域行政の推進を図るなどし、最小の経費で最大の効果が発揮できるよう、より効率的で効果的な行財政運営に努めてまいります。

公共施設における夜間警備やエレベーター、自動ドア、電機工作物などの包括管理委託、また、電気やガスの自由化に伴う契約方法の見直しなどで、経常経費の削減を図ってまいります。

併せて、引き続き広域行政の推進を図ってまいります。
知立市は、現在、ごみ処理については刈谷市と、消防行政については碧南市・刈谷市・安城市・高浜市と一緒に行っております。また、定住自立圏の枠組みを形成しているほか、基幹系システムなどの共同クラウド化を図るべく、知多市、大府市、みよし市、知立市とで研究会を発足するなど、それぞれの行政課題を様々な枠組みの中で、広域行政を推進しているところであり、本年度も他自治体と連携しながら行政施策を推進してまいります。

企業誘致も着実に進めてまいります。
都市計画マスタープランにおいて、産業促進拠点を新たに4か所追加させていただき合計6か所となり、昨年12月議会においては、より迅速に企業誘致ができるよう新規条例の制定をさせていただきました。
今後につきましても、企業誘致へのPRを積極的にしていくとともに、地権者の皆様方等へのご理解を得ながら、企業立地の推進を図ってまいります。

また、国の補助金や交付金など特定財源につきましては、本年度も情報を的確かつ迅速に把握し、各種事業に充当できるよう全庁的に取り組んでいくほか、ふるさと応援寄付金制度や公共施設の有効活用、ネーミングライツ制度の活用を図るなどし、税以外の財源確保についても引き続き努めてまいります。

また、AI総合案内サービス事業やAI―OCR事業の活用、また、令和3年度は、新たに中央公民館全館にWi-Fi環境を整備し、高齢者のスマホ教室など開催するなどし、市民の皆様方がICTを日常において当たり前のように活用していただけるよう支援をしてまいります。

本年度も、最小の経費で最大の効果が発揮できる行政運営、そして、さらなる財源確保を図るなどしながら、堅実に、丁寧に、市政運営をしてまいりますので、よろしくお願いします。

おわりに

結びにあたりまして、第6次知立市総合計画の基本方針のひとつでもあります「自助・共助・公助が息づく協働のまちづくり」について申し上げます。
自助は、自分そして家族で支え合うこと、また、共助は、地域や隣近所で助け合うことであります。
様々な行政課題に対し、行政責任をしっかり果たしていくことは当然でありますが、一方で、自助・共助の重要性はこれからも言い続けていかねばなりません。

例えば、6千数百人以上の方がお亡くなりになられました阪神淡路大震災。
奇跡的に一命を取り留められた90%前後の方々が隣近所の助け合いでありました。
あのような大地震の際には、市役所職員など公務員も被災をします。
また、道路が寸断され、情報も錯乱し、すぐにはピンポイントで救助に向かうことはできません。
隣近所の助け合い、共助が不可欠であります。

「自助・共助・公助が息づく協働のまち」とすることで、安心安全力や福祉力などがより高まり、総合計画が目指す「輝くまち みんなの知立」になっていくものであると確信しております。

コロナ禍という厳しい状況ではありますが、本年度もより一層、市民の皆様方が、自助・共助の力を発揮していただける、また、知立のまちづくりに自助・共助の力を発揮したくなる、そんな環境づくりに努めてまいります。

それには、まずは、私ども職員が、行政が、市民の皆様方に信頼を得ることが何より重要であります。
「あの職員となら一緒に安心安全なまちをつくろう」、「あの職員となら一緒にきれいなまちをつくろう」、「あの職員となら楽しいまちをつくろう」などと思っていただけるよう、私たち職員が、ひとりの人間として誠実であるべきことが肝要であり、令和3年度も5つの知立市職員の誓い、すなわち「明るい挨拶をする」、「笑顔で丁寧に応対をする」、「心を込めたサービスを提供する」、「税金を大切に使う」、「信頼される職員を目指す」を、職員一同しっかりと遵守してまいります。

また、総合計画やまちづくり基本条例の基本理念のひとつに「互いの人権を尊重し思いやりの心を育むまちづくり」があります。
互いに助け合える共助のまちづくりのためには、「互いの人権を尊重できる環境」が必要不可欠であります。
高齢者、障がい者、女性、外国人、LGBTQなど、だれもが生きやすい、活躍しやすい知立をつくるためにも、本年度中には議会の皆様、市民の皆様方と共に「人権宣言」をしてまいりたいと考えております。

世界的なベストセラーとなっている『ペスト』(アルベール・カミュ著)において、主人公は「ペストと闘う唯一の方法は誠実さである」と言っています。
感染から自分や家族を守るためにやれること、まちや社会を守るためにすべきこと、社会経済へのダメージを最小限にするためにできることなど、情報や風評の渦に翻弄されることなく、冷静に考え自分の役割に誠実に向き合う、その力がいま試されていると思っています。

「知立市に住みたい」、「住み続けたい」と、多くの皆様方に評価していただけるまちをつくるため、令和3年度も私ども職員、全力を尽くして市政に邁進してまいる所存でありますので、ご支援ご指導賜りますようお願いし、施政方針とさせていただきます。

[ちりゅっぴ]

知立市長林郁夫