これより陳情第1号に対する討論を行います。
 まず本件に対する反対討論の発言を許します。
 次に本件に対する賛成討論の発言を許します。
 11番 笠原議員。
○11番(笠原晴美)
 私は、陳情第1号政府に「平和の意見書」の提出を求める陳情書に賛成の立場で討論に参加させていただきます。
 ブッシュアメリカ政権と、これに追従するブレアイギリス政権がイラクに対する無法な侵略戦争を開始しました。昨日、アラブ諸国外相会議で即時戦争中止、撤退を要求する決議が行われるなど、世界の多くの政府が抗議と反対、一日も早い軍事攻撃の停止を求めて声明などを発表するとともに、世界各地で市民の戦争の即時停止を求めるデモや集会が続いています。特に欧州では、英国やイタリア、スペインなど、政府が戦争を支持している国で大規模な抗議行動が始まり、米国では、首都ワシントンを初め、ニューヨーク、シカゴ、サンフランシスコなど、主要都市500カ所以上で反戦緊急行動が繰り広げられました。
 特に、昨年9月11日の同時多発テロ犠牲者の遺族でつくるピースフル・トゥモローズが声明を発表、無実のイラク国民が多数犠牲となり、米兵までが不当な侵略戦争にさらされると指摘し、フセインが野蛮だからといって米国が行う野蛮な行為は正当化されない。不法で非道徳で不当であり、無条件に非難する、このように痛烈に糾弾しています。また、ドイツは戦争という間違った決定がなされた。平和のチャンスが戦争の論理によって踏みにじられたと強く批判し、国連のやり方でフセインイラク大統領に武装解除をやらせる道があったと国連査察打ち切りに改めて遺憾を表明しました。
 そして、国連のアナン事務総長は、イラク問題は平和解決の可能性があったことを改めて指摘して、戦争に突入した米国を暗に批判しました。もう少し長く辛抱すればイラクを平和的に武装解除できただろうし、この問題を集団的決定で解決する行動をとり、大きな正当性を与え、今の事態より広い支持を得ていただろうと述べ、イラク侵攻は正当性を欠き、国際的支持もないとの見方も示し、国連の枠内での解決の重要性を強調しています。
 日本の対応はどうかと言えば、アメリカによるイラク攻撃開始に小泉首相は、この戦争に直ちに支持を表明しました。憲法9条を持つ国の政府として、こんなに恥ずかしい態度表明はありません。小泉首相は、国連憲章に基づく世界の平和秩序を覆す無法な先制攻撃の戦争に追従することをいち早く表明したことは重大であります。国連安保理の断定ないままの戦争に支持をしたことは、国連憲章に厳しく禁止されている主権侵害、内政干渉そのものです。ブッシュアメリカ大統領が敵に攻撃されて対抗措置をとるのは自衛ではない、自殺行為だと明言しているわけですから、国連憲章が禁止している紛れもない先制攻撃です。
 しかし小泉首相は、米国の行動は先制攻撃でない。国連の一連の決議に基づいた国連憲章に合致したものと擁護していますが、アメリカ政府自身、国連は役に立たないと安保理の枠外の行動であることを認めています。日本政府の態度は、世界への背信であり、民間人の犠牲が不可避だからです。人の命は復興できないことを忘れてはいけません。
 私たち国民は、新聞、テレビから洪水のように流される戦争報道で埋めつくされている中で、真実を知ろうとしています。しかし、その多くは、アメリカ、イギリス両軍の攻撃振りを伝える戦況報道です。いわゆる攻撃している側から伝えるだけの日本のマスメディアは、国民視聴者に正確な判断材料を提供する立場に著しく欠けており、この戦争の意味や世界の反戦世論の動向を含め真実に迫る報道がなされないことは、とても残念であります。
 政府は、安保理決議678、687、1441を安保理決議に合致した行動と主張していますが、678は湾岸戦争のときイラク軍をクエートから撤退させるための武力行使を容認したもので、大量破壊兵器の廃棄やフセイン政権妥当のための武力行使を容認したものではありません。大量破壊兵器の廃棄はイラク軍の撤退後に採択された決議687で、イラクに課せられた義務で履行を確保するための措置を安保理で決定すると明記しています。678の武力行使の権限は、イラクが687決議を受諾したことによって提出されています。イラクが687に違反したことを理由に、678決議を復活させ武力行使を可能にするためには、新たな決議が必要ですが、採択されていません。1441は昨年11月採択され、自動的な武力行使の容認に、フランス、ロシア、中国が反対、イラクが査察を妨害した場合の対応は安保理で改めて協議することと規定することで採択された決議です。したがって、この決議が武力行使を容認しているというのは、全くのでたらめです。
 政府は、安保理決議1441でイラクの重大な違反が認定されたと主張しています。イラクの重大な違反を認定したわけではありません。イラクが義務履行を証明するための査察の手順を提示し、査察は着実に進展していました。安保理は、イラクの義務違反を認定していません。それは、9つの理事国の賛同がなく、攻撃容認の決議案が採択されなかったため、イラク攻撃が安保理の容認するものではないことが明白です。安保理決議への違反があったかどうか認定するのは安保理であり、米国が勝手に認定する権限はありません。仮に安保理が義務違反が存在すると決定しても、どういう措置をとるかの決定も安保理の権限です。どんなに意見が対立しても、勝手に武力行使をしない、皆が認めた場合に限るというのが国連の根本原則です。米国のイラク攻撃は、この根本原則を公然と踏みにじるものです。
 ところが、23日のNHK日曜討論に出席された政府与党は、日米同盟は致命的関係などとイラク攻撃支持の理由にし、特に公明党、冬柴幹事長は、イラク攻撃は国連憲章の範囲内、国連の枠内の武力行使だと述べ、イラク攻撃を正当化し、また、信頼関係がないと日本が攻撃を受けたときにアメリカが守ってくれるかどうかなどと北朝鮮問題を持ち出して、イラク攻撃支持を合理化しました。北が何かしたとき、アメリカに守ってもらいたい、そのためにはイラク市民を犠牲にしてもいいという論理は成り立ちません。イラクに罪なき人を犠牲にして日本の安全を守ってもらうという論理自身が根本的に間違っていると思います。戦後の復興支援の議論では、もう戦争は始まっているわけだから、人道的立場に立って率先してやるべきなどの発言、非人道的な殺りくを支援して何が人道支援でしょうか。本当に復興を考えるならば、すぐ戦争をやめるべきです。人の命は復興できないんです。
 日本共産党は、この戦争をどこから見ても国連憲章違反の無法な先制攻撃であり、平和秩序を覆すもので、武力行使の法的根拠は何もありません。また、ようやく本格的軌道に乗りつつあった国連査察による大量破壊兵器の廃棄という平和解決の道を力づくで断ち切る暴挙や、大量破壊兵器の破棄、そのことが目標ではなく、フセイン政権の打倒こそが本来の目的である戦争は許せません。たとえフセインが憎くても、やってはいけない戦争なのでやれないんです。そして、この戦争がもたらす罪なき人々の犠牲は、はかり知れないものがあります。国連文章では50万人の死傷者、300万人の難民、避難民が生まれると予想しています。罪なき民間の人々、お年寄り、女性、子供たちが犠牲者です。ユニセフのベラミー事務局長は、イラクの人口2,230万人の半数、1,130万人が18歳未満の子供で、4人に1人が栄養失調、8人に1人が5歳までに死亡すると指摘し、戦争は子供たちに最も大きな犠牲を強いると訴えています。日本共産党は、無法で野蛮なイラク戦争の即時中止を求めるとともに、日本政府の戦争支持の態度を直ちに改めることを強く求めるものです。
 知立市議会は、3月5日本会議で1441決議による査察の継続によりイラクが平和的解決に努力をしていること、世界の世論は武力行使ではなく、平和的解決を求めていること、平和憲法を持つ日本が積極的な働きをすることを求める査察継続による平和的手段で大量破壊兵器の廃棄を求める意見書を議員提出議案として各会派の皆さん全員賛成で国に意見書を提出しました。
 ところが、企画文教委員会に付託されました陳情第1号に市政会の皆さんは、陳情書提出文面の国連決議に基づかないすべての軍事行動に反対することの一文が気に入らないということで不採択とされました。しかし、国連決議のない武力行使に法的根拠がないことは明らかです。アメリカが裁判官のように勝手に決めて攻撃ができることになれば、世界は無秩序の無法地帯と化します。市政会の皆さんは、アメリカの一方的な武力攻撃を容認することになります。平和を願う世界と日本の人々と、戦争をやめさせるために、ぜひ考え直していただきますようお願いいたします。
 大変長くなりましたが、以上を述べさせていただき、陳情第1号についての日本共産党市議団の賛成討論とさせていただきます。
○議長(嶋ア康治)
 次に反対討論の発言を許します。
〔「討論なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(嶋ア康治)
 討論なしと認めます。これで討論を終わります。
 本件に対する委員長の報告は不採択です。
 本件は委員長の報告のとおり決定することに賛成の議員は挙手願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(嶋ア康治)
 挙手多数です。したがって、陳情第1号政府に「平和の意見書」の提出を求める陳情書の件は不採択と決定しました。