次に、14番 久田議員の一般質問を許します。
〔14番 久田義章登壇〕
○14番(久田義章)
通告に従いまして、基礎学力の充実について順次質問をしてまいりたいと思います。
子供たちの教育はどうなるのか。学校五日制を実施し、授業時間を大幅に減らしたり、学習内容を減らしたゆとり教育はどうなるのか。子供たちの学力低下が叫ばれる中、その見直しが検討されております。
私も、いろいろな方と話をする中で、いろいろな意見を聞きました。幅広い知識や経験を積むにはゆとり教育はよいという意見、勉強する時間が短くなって学力が低下しているという意見、きちんと合っていないので、その分塾でフォローするという意見、授業時間として内容も基本的なところから見直しをしてほしいという意見を聞いております。
中央教育審議会の教育課程部会は、学校五日制は維持した上で、国語や数学の授業時間をふやすことを求める報告書をまとめられました。授業時間をふやすというのは実に30年ぶりのことであります。これまでの小中学校の教育というのは、教育課程の見直しが行われるたびに授業時間数が減らされきて、前回の改定では、ゆとり教育ということで学校週五日制が導入され、教育内容は3割減らされる状況にありました。
最近の国際的な学力調査を見ると、日本の子供たちの学力が、数学は1位から6位へ、読解力の方は8位から14位まで落ちております。今回の教育課程部会では、さきにも述べましたように、国語と理数系を中心に授業時間数をふやすという方向を打ち出し、早ければ来年度中にも学習指導要領の見直しが行われるという見通しになっております。
文部科学大臣は、部会報告で、国語、理数系に授業時間をふやすということを打ち出したことで、ゆとり教育の目標としたところを転換するということではない。ゆとり教育というのが出てきたのは、昭和52年の改定のときであり、詰め込み教育、受験戦争というものの中から、詰め込むのではなく、みずから学ぶ、そして、学校の教育の中で、教科の間に境を設けることがなかなかできないような教育内容、家庭、地域、学校とが連携して教育というものに携わっていこうではないかという考えの中からゆとり教育というものを目指してきた。目指すところは間違いはない。これを転換するということではない。やり方を明確にしなかったことによる迷いということもあり、結果が十分出ていないところを見直すという談話が出ております。
私は、結果ということではあるが、最近の学力調査では、真ん中が減っちゃって、下の方がふえていることは、文部科学省が認めていることだが、これはゆとり教育の結果ではないかと思います。今までのやり方を変更した部分で、学力低下を招いたと思います。
読解力等が弱くなってきたということも言われています。実際に、何によってもたらされたのかということを、しっかり検証する必要があり、原因をしっかり探り当てて、それに対する対策をしっかり立てる必要があると思います。
総合的な学習の時間については賛否両論あります。中央教育審議会の教育課程部会の報告に対し、賛成論者の法政大学教授、教育評論家の尾木直樹さんは、総合的な学習の時間を削って、授業時間をふやすとか、理数系をふやしていくということは、路線を変えるということになってしまうが、子供の目線で見たときにどうなのかが大切であるという指摘をしておられます。
反対論者の国際医療福祉大学教授、精神科医の和田秀樹さんは、教育課程部会はゆとり教育が上手に行われていないことを認めた。今までは、学力低下ではないと言っていたが、今まで学力調査をすることはなかったが、学力調査を実施していくことは評価できる。方法論が報告されていないので、心配はあると指摘をしておられます。
いずれにしても、総合的な学習の時間が、小学校3年生、4年生が105時間、5、6年生が110時間、中学校で70から130時間ということで、時間数が減る傾向にあっても、継続の見通しであると思います。
そこで、当市の総合的な学習の時間の現状について、そして、相関関係について、これを創設したことで、児童生徒の学習意欲はどうなったのか、学力低下はどうなのかをお尋ねしたいと思います。
先月、市政会の視察で、国立市立国立第5小学校を訪問させていただきました。モラルの低下ということで、総合的な学習の時間で道徳学習に重点を置いておりました。
そこでお聞きした話の中で、児童の実態に応じた興味・関心を持つ資料を提示し、考える内容が具体的にわかる発問をしていくことにより、自分の考えを持つようになったそうであります。
また、友達とのかかわり合い、また、将来の自分ということで、互いに高めあっていくために、日常の学習の中で発表の仕方を聞く、話す態度を身につけること、一人一人が認められる場が保障されて、自由な考えを言えることなど、人間としての大切さを改めて確認することができたそうであります。モラルも非常によくなってきたとお聞きしました。
そこで、当市の小中学生のモラルはどうなのかをお尋ねしまして、私の第1問とさせていただきます。
〔14番 久田義章降壇〕
○議長(杉原元司)
石原教育長。
○教育長(石原克己)
総合的な学習の時間について、幾つかの御質問をいただきましたので、お答えいたします。
初めに、総合的な学習の時間はどんなねらいで実施しているかと申しますと、その一つは、みずから課題を見つけ、みずから学び、みずから考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。もう一つは、学び方や物の考え方を身につけ、問題の解決や探求活動に主体的・創造的に取り組む態度を育て、自己の生き方を考えることができること。この2点でございます。
そして、総合的な学習の時間の現状はどうかということでありますが、総合的な学習の時間は、教科学習とは異なりまして、学び方を学ぶ、いわゆる学ぶ力をはぐくむことに視点を置いた学習であります。
各学校では、総合的な学習の時間のねらいに迫るために、例えば、国際理解、情報、環境、健康などの横断的・総合的な課題、生徒の興味・関心に基づく課題、地域や学校の特色に応じた課題などについて、学校の実態に応じて学習計画を立てております。
例えば、来迎寺小学校では、総合的な学習の時間をくすのきタイムと、子供たちが親しみやすい名前をつけて学習をしております。6年生では、見つけよう、見詰めよう、我がふるさと来迎寺というテーマで、学区の史跡や旧跡などの歴史調べをしております。地域の人への取材、インターネットや郷土史等の本を活用し、調べていく中で、友達や家族、地域の方々とのかかわり合いを高めたと聞いております。どの子供も新たな疑問を持って、深く追求し、いろいろなことがわかってとてもやりがいがあった、調べていくとどんどん調べるものができてきて、そんなところが楽しかったと感想を書く子もいたと聞いております。学区内外の人たちも、自分たちでつくった冊子や発表会で、歴史あるふるさと来迎寺を守っていきたいという思いを発信しております。
次に、基礎学力の低下と総合的な学習の時間の相関関係についてでございますが、総合的な学習の時間は、先ほどもお話しましたが、学ぶ力を培う場であります。総合的な学習時間で培われた学ぶ力は、各教科における基礎学力と対立するものではなく、子供たちが将来、現実の社会を生きていくために意味をなす基礎学力の一つであると考えております。
したがいまして、総合的な学習の時間が各教科の基礎学力を低下させているという関係はなく、相乗効果を生み出す関係にあると考えております。
次に、総合的な学習の時間を創設したことで、児童生徒の学習意欲はどうかということでございますが、総合的な学習の時間が創設されたことによりまして、子供たちは、従来の教科学習ではできなかった社会体験、現地での見学や調査、発表や討論、生産活動、インターネットでの調べ学習などの魅力ある学習が展開されるようになってまいりました。子供たちの中からは、生き生きと取り組める楽しい時間がふえ、総合的な学習の時間は楽しみですという声も聞かれております。
学校訪問や研究発表会の機会に、先生方に総合的な学習の時間における子供の様子を伺いますと、課題を追求しようとする意欲、自分の考えを発表したり発信しようとする意欲、地域の人とかかわろうとする意欲、自分から行動したり、挑戦しようとする意欲といった学習意欲が高まっていると聞いております。
また、こうした学習意欲が他教科においても生かされ、子供たちが、主体的・創造的に学習に取り組む姿勢がふえていると聞いております。
次に、学力低下はどうかということでございますが、現行の学習指導要領が完全週五日制、総合的な学習の時間の創設、そして、学習内容の3割削減、こうしたことにより学力低下を来さないかということが危惧されております。全国の中学校教員を対象にした、平成17年4月から7月にかけて実施した中学校の学習指導に関する実態調査、ベネッセ教育研究開発センターの調査でありますけれども、この調査では、全国の教務主任は、前学習指導要領下の5年前に比べて、生徒の学力水準が低下し、学力格差が大きくなっていると考えていることが報道されました。さらに、ピサ、これは経済協力開発機構の学力調査でありますけれども、ピサの結果から子供たちの学力低下問題が再燃し、現行学習指導要領の見直し論議が教育内外から高まってまいりました。この結果、御指摘のように、40カ国のうち日本は、読解力が14位、科学的ディテラシーは2位、問題解決能力は4位でした。ここで言う読解力とは、文を読んで、自分の立場を明確にして文書を書く力でございます。
本市の子供たちの学力についてでございますが、具体的な数字としては把握しておりません。本年度から学校2学期制をすべての小中学校で進めてまいりましたが、学校2学期制研究推進委員会のアンケートを見ますと、約8割の児童生徒が授業は楽しい、わかったと答えておりますので、学力の低下はないのではないかと思っておりますが、各学校では、それぞれの学力の把握を行いますので、その結果を見てまいりたいと思っております。
今後も日々の授業を充実させ、主体的に学ぶ意欲を高めていきたいと考えております。
本市の小学生のモラルはどうかということでございますが、子供たちは、日々の生活の中でさまざまな場面に出会います。時にはどうしようかと迷ったり、悩んだりもしますが、その折、その折に、自分なりによりよく生きようとする判断を下して行動に移していきます。その判断に影響を与えるのが家庭や地域社会の教育であり、学校の教育であります。学校における道徳教育は、道徳の時間が中心となっていますが、学校の教科、特別活動、総合的な学習の時間等すべての教育活動で行っております。
小中学生のモラル、道徳性は育っているかにつきましては、判断する統計的な資料はございませんが、子供たちの多くは、親や教師、地域社会の方々、あるいは子供たちの相互の温かな心の交流の中で道徳を身につけているととらえております。そうした中で、情報モラルの低下の問題が気になります。コンピューターネットワークは匿名の世界で無責任になりやすいところがあります。大人が互いの人間関係を円滑にするための守るべく約束を教えていくことが大切であると考えております。
以上であります。
○議長(杉原元司)
14番 久田議員。
○14番(久田義章)
全般的には、総合的な学習の時間というのはねらいどおりに行われておると、こういうふうに理解をしました。
ただ、基礎学力の低下については、総合的な学習の時間の相関関係について、基礎学力を低下させるという関係はなく、相乗効果を生み出すという関係という答弁がありましたけれども、総合的な学習の時間が、小学校では105時間から110時間、それから、中学校では70時間から130時間、そして、先ほども第1問で言いましたように、学習内容は3割削減されておるということであります。私は、学力の低下はあるというふうに思うんですが、教育長は学力の低下はないと答弁しておられます。その分、塾でフォローしておられるというふうに思うんですが、そういう学習塾だとかそこら辺はどういうふうに把握しておられるか、それをまずお聞きしたいと思います。
それから、2学期制で、約8割の児童が授業が楽しいだとか、わかったと答えておられるということでありますけれども、このアンケートが具体的にどのような数字であって、どのような内容のアンケートとかということがわかったらお聞きしたいと、こういうふうに思います。
モラルの低下につきましては、学校における道徳教育は、道徳の時間、そして、総合的な学習の時間で行っておると、こういうことでありますけれども、答弁にもありましたように、コンピューターネットワークは匿名の世界で、例えば、うちでもよく来るんですが、匿名の世界で無責任になりやすいところがあると思うんです。そこら辺はどのように今後考えておられるのか、そこら辺をお聞きいたしまして、私の第2問といたします。
○議長(杉原元司)
石原教育長。
○教育長(石原克己)
学力低下の問題でありますけれども、先ほどの、5年前の比較というのは3割減ではないわけであります。現在、3割減の中の学習をやっているわけですので、その全体の3割を含めたものを考えていきますと低下、前のを比較すれば。しかし、3割減の中で見るとまあまあと、そんなふうに考えておったわけであります。
それから、そういう関係で塾でのフォローということでありますけれども、塾へ行ってる子もたくさんおりますけれども、やはり学校の中での教育、いわゆる今の教育の中で、今、議員さん言われましたようにいろいろな考えがあります。考える力だとか、生きる力、そういうものを育てる。いや、そうじゃないと、もっと基礎学力のことだというのがありますけれども、やはりそういうものを含めた学力。例えば、意欲というのを学力というふうにとらえていけばいいわけでありますけれども、塾でのフォローということについては、塾の実態というのをちょっと把握しておりませんけれども、そういうことはよく耳にいたします。
それから、モラルの低下、コンピューターの件、これ非常に、学校だけじゃなくて家庭でも使っておりまして、学校教育の中だけではなかなか難しい問題もあります。家庭との連携をとりながら進めていくことが大切だなと、そんなふうに考えております。
8割がわかったというアンケート、このものについては、ちょっとどういうアンケートかということを把握しておりません。2学期制研究推進委員会の方でやっておるものでありますので、そのアンケートについては、また後ほどお知らせしたいと思います。
○議長(杉原元司)
これで、14番 久田議員の一般質問を終わります。