次に11番、佐藤議員の一般質問を許します。
〔11番 佐藤 修登壇〕
〇11番(佐藤 修)
それでは、通告に従い教育問題について質問をいたします。
最初に、教育基本法についてお聞きいたします。
自民党、公明党の与党は5月11日の衆議院本会議で教育基本法に関する特別委員会の設置を、日本共産党などの野党の反対を押し切って強行しました。そして、5月の24日、特別委員会での審議入りが始まったわけであります。今国会の会期は6月18日です、1カ月そこそこのスピードでこの法律を成立させようというわけであります。
現行教育基本法は、その前文で、我々は、さきに日本国憲法を制定し、民主的で文化的な国家を建設して、世界に平和と人類の福祉に貢献しようとする決意を示した。この理想の実現は、根本においては教育の力にまつべきものである。我々は個人の尊厳を重んじ、心理と平和を希求する人間の育成を期するとともに普遍的にして、しかも個性豊かな文化の創造を目指す教育を普及徹底していかなければならない。ここに日本国憲法にのっとり、教育の目的を明示して、新しい日本の教育の基本を確立するため、この法律を制定する、このようにあるわけであります。このことをして教育基本法は憲法に準ずる法律との位置づけがなされております。
憲法に準ずる法律を全面的に変えようというのに国民的な議論もなく、与党の政治的思惑だけでスピード成立させようというのは暴挙以外の何者でもありません。法案のもとになった与党合意案があきらかになったのが4月の13日、政府案が明らかになったのは閣議決定の4月28日です。与党は、与党協議会・検討会で3年間71回も議論したということですが、協議は非公開で議事録もない完全な密室協議でありました。与党が法案をまとめたから国会は直ちに結論を出せというのは国民主権に反するやり方であります。政府と与党は改正案の意図が国民に知られる前に、国民的な議論にならないうちに成立させようとしているのであります。4月16日のNHKの世論調査では、教育基本法を改正すべきだという回答の人の中でも77%が今国会の成立にこだわらず、十分な時間をかけて議論すべきと回答しております。憲法前文での国政のその権威は国民に由来するとあります。国権の最高機関である国会を辱めるやり方を、主権者国民は冷静に見ていると言えるのではないでしょうか。
そこでお聞きをしたいわけであります。政府案に賛成であれ、反対であれ、このようなやり方は結局教育現場に何よりも子供たちに混乱をもたらすものではないでしょうか。憲法に準ずる基本法をこんなにも粗末に扱っていいものだろうか、その認識を教育長にお尋ねしたいと思います。
この間の国会論戦を通じて現行教育基本法のどこに問題があるのか、どうして変えなければならないのか、政府と与党は一切説明ができておりません。5月16日の衆議院本会議で小泉首相は、科学技術の進歩や少子高齢化など教育をめぐる状況が大きく変化したからと繰り返すばかりであります。法案をまとめた与党公明党は、制定当時には想定されていなかった児童虐待やニート、フリーターの増加、いじめ、校内暴力、不登校や学級崩壊の多発など教育現場、教育をめぐる環境の激変にこたえるからだといってるところであります。現行教育基本法のどこが問題なのか、どうこたえられないのかの説明は一切ありません。安部官房長官は、ホリエモンが成功したのは小泉改革のおかげだといってきたのに、彼が逮捕されると、やっぱり教育の結果だ、教育基本法は改正しなければならない、国を愛する心を涵養する教育をしっかり書き込んでいきたい。2月17日の毎日新聞で述べているところであります。
また、自民党の武部幹事長は耐震偽装事件などを例に、日本は精神的に非常に退廃してしまった、教育を見直さなければならず、教育基本法も今国会でと考えている。1月16日の産経新聞と発言しております。4月16日のテレビ討論で公明党の冬柴幹事長は、早稲田大学の新入生の多くが将来に希望が持てないということについて司会者にどう思うかと問われて、それも教育のせいだと答えました。ライブドア事件も耐震強度偽装事件も若者が希望が持てないのも、みんな教育基本法のせいだというのであります。ホリエモンを天まで持ち上げたり、選挙目当てに担ぎ出したりしたのはどこのどなたでしょうか、また、どこの政党でしょうか。モラルもルールもない弱肉強食、勝ち組み・負け組み、雇用への人間看板方式・派遣労働等の拡大、これらについての政治の結果を顧みることなく、事件となるや教育が悪いというような道徳なきご都合主義は、退廃した政治そのものではありませんか。
以上、述べたように現行教育基本法をなぜ変えなければならないのか、どこが問題なのか、話せば話すほど混迷を深め珍論が展開されるありさまであります。
そこで、教育長にお聞きをしたいわけであります。中央教育審議会で教育基本法の改正議論がなされ、改正への動向が強まる中、2002年、2003年、2004年の知立市9月議会に、教育基本法の改正ではなく、その理念の実現を求める陳情書が提出をされました。知立市議会の各会派は、教育基本法に示された理念に現在の教育が達していないことが問題だとして3度の陳情すべてを全会一致で採択をし、国に教育基本法の堅持を求めてきたところであります。これは知立市議会各会派と、それを構成する各議員の識見の高さをあらわしていると私は思うわけであります。
昨日の一般質問でも先輩議員が同趣旨の意見を表明されました。教育長は教育基本法の改正ではなく、その理念の実現を求めるということに対して、また政府・与党がなぜ改正が必要なのか説明不能状態の中で現在の教育状況と照らし合わせ、現行教育基本法に対してどのような認識をお持ちなのかとの御所見を明らかにしてください。
政府案のどこが問題なのでありましょうか。
その第一は、新たに第2条として教育の目標をつくり、そこに国を愛する態度、いわゆる愛国心などの20に及ぶ徳目を列挙し、国民全体に義務づけていることであります。そして、学校と子供たちに対しては第6条学校教育において、学校教育においては教育の目標が達成されるよう体系的な教育が組織的に行われなければならないと20の徳目を義務づけているわけであります。
あれこれの徳目を法律に書き込み、その達成が義務づけられるなら、時の政府の意思によって特定の価値観が子供たちに事実上強制することになるのではないでしょうか。日本共産党の志位委員長は、特別委員会の総括質疑で、憲法19条の内心の自由を侵害するのではとただしました。小泉首相は、児童生徒の内心まで立ち入って強制するつもりはありません、こう答弁をしたわけであります。しかし実際、愛国心をABCで評価する学校と、通知表が存在することを福岡県の小学6年生の例を挙げてただしたわけであります。Aは十分に満足できる、Bはおおむね満足できる、Cは努力を要するという評価がなされていました。小泉首相は、率直に言って評価するのは難しい、こういう項目は持たなくてもよいと答弁しました。その後の特別委員会で小坂文部科学大臣は、ABCをつけるなんてとんでもないと答弁をしたわけであります。その後、この質疑を通じて全国で愛国心通知表が使われていることが明らかとなり、問題となっているところであります。そして、この愛国心通知表が各地の学校、教育委員会の自主的判断で実施をされてのではなくて、2002年の学習指導要領で小学校6年生の、目標として国を愛する心情を育てるようにするなどが明記されたことがその根本にあるわけであります。今回、20の徳目を小泉首相は、評価することは難しいというものをわざわざ法律に格上げして明記することは、法制化そのものの前提が崩れたことを意味するのではないでしょうか。
そこで、教育長にお聞をきいたします。
昨日の質問で、教育長は愛国心の強要に対して、断じて行うべきでないと強い口調で答弁をされました。市長もまた愛国心は強制されるものではないと答弁をされました。私はそれを聞いて大変心強く思ったわけであります。
しかし、法律に明記し、その達成を義務づけるなら内心の自由を侵害することになるのではないか、この点に対する認識はいかがでしょうか、答弁を求めます。
また、知立市では問題となっている愛国心に絡む評価項目を通知表で採用しているのか、いないかについても答弁を求めたいと思います。
第二の問題点は、時の政府、国家権力が教育内容、方法に無制限に介入できるという点であります。現行法第10条教育行政は、教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対して直接に責任を負って行われるべきとされています。このことは戦前の教育において教育勅語、また修身を強制することなどの国家権力の支配により超国家主義をもとにした侵略戦争に疑問を持つことなく戦地に赴く人づくりが行われ、悲惨な結果を招いた痛苦の反省から、教育は不当な支配に服することなく、国家と時の権力者への忠誠を誓う教育から、国民全体に対して直接責任を負う教育を保障するための規定です。
政府案はこれを変え、直接介入できる仕組みを導入しようとしているところであります。政府案第16条教育行政では、不当な支配に服することなくの文言はあるものの、教育行政はこの法律及び他の法律の定めるところにより行われるとして、現行法の国民全体に対し、直接に責任を負って行われるが削除されているところであります。そして、その主体者である教師の位置づけを現行法では第6条学校教育の中で、全体の奉仕者と明記されているが、これも削除されているわけであります。さらに政府案第17条では教育振興計画で、政府の振興計画で直接教育に介入できることになります。この間の国会論戦において政府は、この点で国家的介入を抑制する根拠を示すことができませんでした。1976年の政府による全国一斉学力テスト問題で最高裁の判決は、憲法26条、教育を受ける権利・教育の義務を根拠に教育内容に対する介入はできるだけ抑制的でならなければならないと判決したところであります。
同時に国会へは民主党案も提案をされているところであります。しかし、その前文で愛国心をうたい、また教育振興計画は盛り込まれるなど、この点では大いに教育に介入する余地を持った内容であります。小泉首相はこの点について、民主党案について違いよりも共通点が多い、5月24日の特別委員会で答弁しているところであります。
以上述べた点について、教育長はどのような認識をお持ちでしょうか、答弁を求めるものであります。
次に、少人数学級についてお聞きをいたします。
この間、日本共産党市議団は少人数学級の拡大を求めてきたところであります。他の自治体が実施している校務主任を担任にするなどの提案をしてきましたが、教育長は少人数学級の効果を認めつつ、校務主任が担任を持つことでの少人数学級の拡大については否定的な見解を示してきたところであります。県から加配があればという答弁をしてきたところでもあります。少人数学級の拡大の展望が一向に示されないのは、大変残念に思うところであります。
今国会で市町村立学校職員給与負担法の一部が改正され、4月1日から施行されたところであります。市町村が独自に給与を負担し、常勤の教職員を任用することが可能となり、当然担任もできるわけであります。今まで構造改革特区に限り認められていた措置が、すべての市町村で可能になったわけであります。このことは、少人数学級や地域の実情に応じた教育のため、市町村が独自に常勤の教師を任用したいというニーズが高まっていることの反映でもあるわけであります。
犬山市では教務主任や校務主任も学級担任などに回すなどして、今まで30人程度学級をほぼ全小・中学校で実施をしてきた。法改正を受けて常勤の教師を市費で任用し、来年度には30人の少人数学級が小・中100%実現する見込みだと新聞でも報道されたところであります。
犬山市の教育改革は人格の完成を目指し、子供にみずから学ぶ力を獲得させることを目的とするとし、この間の教育実践の中で学習と生活を一体とする少人数学級は子供同士、教師と子供の人間関係を築きやすく、個に応じた指導を容易にすることなどから人格形成と学力保障に最も有効な教育環境であることを確信したと述べ、教育改革は、まず少人数学級などの思い切った国家投資から始めなければならないとし、子供が学ぶ喜びを実感し、教師が教える喜びを感じ取り、親の願いや地域にこたえようとするものであるとしているところであります。
私は犬山市ばかりではなく、今後各地でますます少人数学級の実施が拡大されるものと確信するところであります。
知立市では軽度発達障害の子供たちが小学校119人、中学校24人、合わせて143人いると3月議会でも報告されているとおりであります。
また、不登校児童生徒は小学校で2004年26人、2005年15人、中学校で2004年87人、2005年75人いると報告をされ、小学校から中学校に上がる段階で大幅に不登校の生徒がふえていることが明らかであります。
また、家庭の所得格差による学力の二極化も全国で大きな問題となっている中、すべての子供たちが学ぶ喜びを実感できてこそ、学力と生きる力が身につくのではないでしょうか。
そこでお聞きをいたします。
一つ目は、知立市における少人数学級の拡大に向け抜本的な対策と計画を策定し、取り組むことが必要ではないか。この点での考え、展望をお示しいただきたいと思うわけであります。もちろん財政的な問題があるとは思いますけれども、教育委員会をはじめとしてこの点での議論を活発にし、そうした計画を立て、当局側に示すべきではないでしょうか。今、そのことが求められているときではございませんか。この点、答弁を求めるものであります。
そして、少なくとも小学校2年生、中学校1年生までに拡大することは早急な課題だと考えるものであります。この点での答弁もお願いを申し上げます。
国は、今回、市費教員も担任ができるようにしました。しかし、教育環境整備のための財政負担は地方に転嫁したままであります。これでは財政力の違いにより格差が拡大する一方ではないでしょうか、この点を踏まえ国・県へ財政負担をしっかりと求めていくべきだと考えるものであります。この点についても御答弁をお願いします。
次に、軽度発達障害の子供たちへのサポートについてお聞きいたします。
2005年に施行された発達障害者支援法の具体化について、3月議会で我が党の中島議員がその具体化についてお聞きをいたしました。支援体制整備の文部科学省のガイドラインに基づき支援体制の整備が進められていることがわかりました。しかし、特別支援の加配もない中で本当に十分な対応と支援が可能なのか。教師の皆さんあげて頑張ってると思いますけれども実態はいかがでしょうか。また、問題点があったらぜひとも御披瀝願いたいと思うところであります。その点での実情をお知らせください。
また、あいフレンド10名の確保も約束をされたところであります。現在、あいフレンドの確保の状況、見通しはいかがでしょうか。また、軽度発達障害の子供たちへの支援は、このあいフレンドはどのような形でやられていくのか、これについてもお知らせを願いたいと思うわけであります。
今年度、保育園に臨時ではあるが臨床心理士が配置されました。小・中学校にもこうした臨床心理士を配置をし、支援体制の強化を図るべきではないかと思いますが、この点での見解もぜひともお願いをいたします。
子供への支援と同時に保護者への支援も強化すべき課題であります。ある保護者は、保育園、学校で子供がいうことを聞けなかったり、集団行動を乱したりすると保護者に対して家でしっかり指導してほしいなどと言われる、そうすると子供に対して厳しい対応をし、責めてしまうと言っています。保護者も大変悩んでおります。子供たちをどう受けとめ接していくのか、このようなことを含めて保護者へのサポートがしっかりと必要ではないでしょうか。現在、保護者へのサポートはどのような形でなされているのでしょうか。
また、こうした子供たちが変わった子としていじめの対象となったりしていないか、大変心配です、実態はいかがでしょうか。また、不登校となっている子供たちは、こうした子供たちはいないのか、この実態、中島議員が3月議会でもお聞きをしましたけれども、その後、時間の経過があってその実態が明らかになったならば、ぜひ答弁を求めたいと思います。
次に、子供たちの安全確保についてお聞きいたします。
交通安全対策として新林町北交差点より南側の交差点、布光から八ツ田町に抜ける道路は南中学校、南小学校の子供たちの通学路となっております。しかし、道路の幅員が大変狭く、交通安全の上で大変心配されるところであります。現在、側溝のいけ換え工事が実施をされて、あわせて蓋の設置が行われております。しかし、いつになったらこの通学区間が完了するのか、子供たちが少しでも安全に通学できるのか、どのような計画で工事がなされているのか明らかにしてください。私は早急に完了し、通学路の安全を確保すべきものだと思います。例えば、具体的に3カ年計画で完了するなど、具体的な対策を明らかにしてほしいと思うわけであります。
次に、弘法町猿渡保育園に面する点滅信号交差点から東側に抜ける長篠弘法2号線の遍照院の駐車場に面する道路が大変狭いわけであります。ここも通学路となっているが、車がくると子供たちは行き場がないのが実態であります。何とか拡幅できないものか、こんな声が寄せられているところであります。遍照院にお願いして、こうした拡幅ができないものかと考えますがいかがでしょうか。
次に、八橋町山田谷の子供たちの竜北中学校通学路についてであります。衣豊線側道が開通し、新たにその一部が通学路と認定されました。しかし、山田谷の横を側道が通っているにもかかわらず、通学路としては認定されておりません。側道の方が便利で早く安全なのに、なぜ通学路にならないのかという声が寄せられているところであります。どうして通学路として認定しないのか、側道部分が豊田地だからだめなのでしょうか。他市を通過するところは通学路と認定しない方針なのか、子供たち、住民の願いにこたえて通学路として認定すべきではないでしょうか。この点、御答弁を願います。
次に、各地で子供をめぐる事件が相次ぐ中で、市内小・中学校すべてにボランティアによる見守り隊が結成されました。全国各地でこうしたボランティア組織がされておるところであります。しかし、活動の継続の困難さが指摘をされているところであります。そして、すべてではないが活動の裏づけとしての財政問題も指摘をされているところであります。知立市でもボランティアということで、市の財政支援もない中で結成されてきましたが、今後は活動の継続に向け市として財政支援を強化すべきと考えるものであります。本多市長の答弁を求めます。
次に、教育予算についてお聞きをいたします。ある学校では、PTAの運営費が事後報告という形で、学校側により学校備品等の購入に充てられているという話が寄せられました。保護者は不満を持ちながらも子供たちのためだとあきらめているとのことであります。事実かどうか調査をしてほしいものと考えるものであります。事実なら、そういうやり方は改めて、学校の備品購入予算を増額するなどして市が責任をもって対応すべきと思いますが、いかがでしょうか。
以上、質問して1問目の質問といたします。
〔11番 佐藤 修降壇〕
〇議長(杉原元司)
石原教育長。
〇教育長(石原克己)
教育問題について幾つかの御質問をいただきました。
まず初めに教育基本法についてであります。現在、改正ということで国会で論議されております。やはり教育問題、私たちにとりましては非常に大切な問題であります。教員あるいは保護者、意見をしっかりと聞いて進めていくことが大切ではないかということを思っております。
現行の教育基本法の認識であります。現行の教育基本法はお話にもありましたけれども、日本国憲法の精神に基づいて教育の目的や方針を明らかにして、我が国の教育の基本を確立するために昭和22年3月に制定されました。この教育基本法の理念に基づいた教育の実践は、自由で自主的な精神をもった国民の育成や、民主的で文化的な国家づくり等に寄与してきたところであります。崇高な理念に基づいたすばらしいものであると考えております。教職員手帳の最初のページに記載されておりまして、私自身、常に携帯して、時あるごとに読んでおります。
こうした崇高な理念に基づいた現行の教育基本法、この理念をしっかりと行っていくということは大切なことであると思っております。しかし、こうした教育基本法が制定されまして60年近くがたち、国民の生活や社会情勢、国家社会の状況は大きく変化してまいりました。その結果、現在及び将来の我が国の教育をめぐる諸情勢の変化を考えますと、今日重要と考えられる理念を明確にする必要も感じております。
そこで、これまでの基本法の普遍的な精神を受け継ぎながら現代の状況に合うように改正を行い、今後の日本の教育の方向はどうあるべきかということを議論していくことは大切なことであると思っております。
今回の改定の中にもさまざまな内容があります。盛り込まれた内容といたしまして、一つが第10条に家庭教育が述べられております。そこでは、保護者はこの教育について第一義的責任を有すると規定されております。親による児童虐待や家庭の教育力の低下が社会問題となっております。60年前には考えられなかった状況であります。子供の教育について保護者が責任を持つということは当然のことであり、全国民が家庭教育の役割について自覚していくことが大切なことと考えております。
また、国や地方公共団体の支援についても明記されていることも評価できることだと考えております。
もう一つ、改正案の11条で幼児教育について述べられております。核家族化、少子化が進んでいる現在、子育てに自信を持てない親がふえていると聞いております。地方公共団体等が幼児の健やかな成長に資する良好な環境等の整備を進めることは大切なことであると考えております。
さまざまな条文の改正があるわけであります。男女共学の部分が削除されたとかいうこともあります。今までの教育理念、これはぜひ大切にしていきたいと考えております。
それから、道徳等で愛国心について指導が行われているわけであります。道徳の評価、きょうも新聞には、尾張地方でかなり通知表に愛国心の評価が記載されているという記事がありましたけども、知立市内の実行の通知表にはそうした内容公告はございません。今後も通知表にあえてそういうものを載せていくという考えは持っておりません。
次に、少人数学級についてでありますけども、少人数学級の知立市の見通しについてでありますけども、やはり正規教員というものを県から配置をいただいて、その活用によって拡大していくことがいいと考えております。私自身も少なくとも小2、中1は拡大していきたい、県への要望もしていきたいと考えております。
犬山市の状況であります。御指摘にありましたように5月20日の中日新聞に犬山市の常勤教員市費で配置、30人学級担任確保という見出しの報道がありました。先ほどお話になりましたように、法改正がなされて本年度から市町村が負担して常勤の教員が配置できるようになったということでありまして、早速犬山市が条例改正をして行おうというものであります。先日も二度にわたって犬山市の教育委員会に電話をかけて、どのような状況かということをお聞きいたしました。なかなか難しい問題もあります。条例改正につきましては県ではなくて文科省の方に話し合いながらどんなふうにしていくのかということ。あるいは給与、勤務、研修、こういうことも非常に課題になっておると。例えば勤務ひとつとりましても市の職員と県費負担の職員、二人存在すると。今、県費負担職員は4%の調整額が続いておりまして、それに対して市の方はついてなくて、例えば残業手当をつけるとかいうこと、あるいは県費負担の研修には、教員は県の研修には出れるだろうかとか、いろんなものがありまして、うまくいくには二、三年はかかるでしょうねというような話も聞きました。こうしたことは一つの流れだと思います。今すぐ導入ということは大変難しいと思っております。学校運営が、同じ学校に市費負担と県費負担の先生がいるということが、どう学校運営上影響するのかということも心配はしておりました。当面は県の動き、周りの動きをよく見ていきながら進めていきたいと、こんなふうに思っております。知立市といたしましては県費負担の正規教員の配置を受けて実施していきたいと考えておりますので、少人数学級の拡大のための常勤の教員配置について、引き続き県に要望してまいりたいと、こんなふうに考えております。
次に、子供たちの安全確保についての竜北中学校のところの通学路についてであります。あそこの衣豊線の下の歩道が早くて安全である。ところがそれは豊田市の土地であるということであります。その辺も確認いたしましたら、豊田市内を通る通学路であるが県が管理している国道で、通学路とすることは可能であるということであります。ただ、手順といたしまして、学校が保護者及び所轄の警察署と協議しとなっておりますので、安城署ではなくて豊田市の警察、豊田の警察署と協議して図面を添えて教育委員会の方に出していただきたい。教育委員会の方に出していただければ、建設部と協議しまして安全が確認できれば通学路として承認するということであります。ただ、今通っているところと今度新たなところを比較してみますと、学校の意見によりますと今のところはちょっと狭くて危険である、しかし、人通りが多いと。もう片方は安全であるけれども人通りが少ないということで悩んでいるということも聞いております。教育委員会としましては、今後、竜北中学校から正式な申請があったときには建設部と協議して承認をしていきたいと、こんなふうに考えております。
それから、軽度発達障害の子供たちへのサポートについてであります。
保育園には臨床心理士が配置しているということであります。小・中学校の臨床心理士の配置状況でありますけども、現在、中学校には愛知県より各学校1名のスクールカウンセラー、これは臨床心理士であります、が派遣されております。週6時間、年間204時間のカウンセリングをお願いしております。小学校におきましては市の5名の心の相談員、これも全員臨床心理士であります、を配置しております。これは隔週1回4時間であります。5人が7校を回るわけであります。1校当たりが隔週4時間でありまして、知立小学校と来迎寺小学校は1名が2校を担当しております。東小学校と西小学校も1名が2校を担当しております、そういう臨床心理士はおります。このほかに3名のスーパーバイザーがおりまして、主に心の相談員の指導、教員からの相談に当たっております。ただ、この臨床心理士は軽度発達障害を含めての、あるいはいろんな面を含めての臨床心理士であります。
次に、軽度発達障害のある児童生徒の保護者のサポートでありますけれども、担任と保護者との連携を十分図るようにしております。学校での様子、現在の支援の状況など常に保護者に伝えるようにしております。また保護者の不安や疑問については積極的に聞くようにしているところであります。また必要に応じて、先ほどお話しました心の相談員との相談の機会をもうけたり、関係機関を紹介して専門的な指導を受けるように助言しているところであります。
それから、いじめ、不登校の関係であります。先回も質問がありまして十分な把握をしておりませんでしたけれども、不登校の子供の中にそういったいじめだとか、そういうことによって不登校になった子がいるのではないかという質問をいただきました。昨年度、小学校で不登校15名のうち軽度発達障害の児童は3名でありました。中学校では不登校72人のうち軽度発達障害の生徒は3人であります。この子供たちがなぜ不登校かということであります。家庭の問題だとかいろんな問題がありまして、特にいじめだとかいう問題はありません。一点学習不振というものがありましたけど、これは学校生活に起因するものだとあります。そういった軽度発達障害の割合というのが小学校では15人のうちの3人というのは少し高いなというような感じを持っております。
それから軽度発達障害に関しての特別支援の加配でありますけども、特別支援教育が行われているわけでありまして、現在、今、あいフレンドについては後ほどお話しますが、あいフレンドの活動についても毎日ではありません。やはり特別支援のための加配は必要であるというふうに考えております。そのために加配がないわけでありまして、本市では10名のあいフレンドということであります。確保の状況でありますけども、愛教大の大学院生であります、10名の確保をいたしました。いたしましたけども、これはいわゆる特殊教育の専門の学生ではないわけであります。いわゆる大学院で一般の学生であります。そこで軽度発達障害のある程度の知識は持っているわけでありますけども、4月16日にあいフレンド研修会を実施しました。講師はスーパーバイザーでもあります名古屋大学の蔭山英順先生であります。軽度発達障害のある児童生徒への対応ということで、1時間の研修を行いまして5月2日から活動を始めております。
まだ1カ月そこそこでありますけども、5月の取り組みと成果としまして学校からの声は、近くにいてわかりやすく言葉をかけるあいフレンドの存在は大きい、あるいは、そばにいてついてくれることで安心して学習に取り組むことができる、個別に対応できるので細かい支援ができる、このような声が聞こえてきております。大変、毎日行くわけではなくて1日3時間、週2回の活動であります。その成果を見て今後いろいろ考えていくことが出てくるなということも考えております。
以上であります。
〇議長(杉原元司)
建設部長。
〇建設部長(神谷正明)
子供たちの安全確保についてという御質問でございますけれども、まず1点目の新林町地内の牛田町西中線の安全対策の件でありますけれども、これにつきましては町内の要望の中で17年度より実施をしているわけでございますけれども、要望区間が両側ということで対象になりますと修理の箇所も延長と申しますか、そういうこともかなりありますものですから、質問者の言われましたように一応計画を立てて、計画的に対応をしてまいりたいと考えております。
それからもう一点の、弘法通りの遍照院の駐車場の北側の通学路の御質問でございますけれども、確かに道路幅員が広いところで3メートル60センチぐらいです。狭いところにつきましては3メートル20センチぐらいです。しかし、その両側に電柱があります、そんなようなことで一番よいと思われますのは今、質問者が言われました遍照院の駐車場の用地が確保できれば一番よいかなとは思っております。一度要望はしてみたいと思いますが、駐車場の用地も狭いということでございますものですから、もし断られた場合には地元の方ですとか教育委員会ともある程度、どうしたら子供たちの安全につながるのか。例えば、まだ時間帯の通行規制等を実施していないわけでありますもんですから、その辺を踏まえて相談をしてまいりたいと思っております。
〇議長(杉原元司)
教育部長。
〇教育部長(岩田嘉彦)
それでは、教育予算につきまして御答弁をさせていただきます。
PTAの予算の中で備品購入がされておるではないかという御質問でございます。これ、以前ですけども確か消耗品等を含めた形で御指摘いただきまして、調査し対応させていただいておりまして、私どもはないかなと思ってましたが御指摘いただきましたので再度調査し、内容を見て検討させていただきたいというように思います。
〇議長(杉原元司)
本多市長。
〇市長(本多正幸)
私の方にも御質問いただきました。
まず、第一点目が、ただいま部長が答弁させていただきました、いわゆる防犯ボランティアの各学区の皆様方に対する備品等と財政的支援ということでございますけれども、できた発足の時期がそれぞれ異なっておりますし、また地域の防犯組織との関係がそれぞれの事情が違っている部分もありますので、そういう学校防犯ボランティア連絡会というのもございますし、そういう中で皆さん方と御相談をして、今までPTAの経費の中で養ってきたものやら、あるいは学校が負担をしてきたものがあるわけでありますので、そういう点については市として財政的な支援をしていきたいというふうに思っております。
ただ、そういうものに対して補助金でもってあてがっていくとか、そういう考え方は持っておりません。補助金で出しますと、向こうもなかなか手続き上の問題がありまして書類もやらなきゃいかんということもございますので、その辺は研究をして御負担にならないように、せっかくボランティアで活躍していただいているのに、御負担にならないようなそういう配慮をしていきたいというふうに思っております。
それから通学路の関係で今、猿渡の話が出ておりましたけれども、部長も一度、用地は人のものでありますので、それを早急に話をして、私も東から下がってきますと遍照院のブロックのこのぐらいの40センチか50センチの高さのあれが苦になってしょうがなくて、比較的運転がうまいものですからうまく回っておるわけですけれども、女性の方なんか結構あそこでこすっておられる姿も私も見たことがございますので、駐車場の台数が減らないような勘考もしてあげなければならないと思いますので、それも含めて一度早急に遍照院さんと協議をしたいというふうに思っております。
以上です。
〇議長(杉原元司)
11番、佐藤議員。
〇11番(佐藤 修)
最初に教育基本法についてですけども、なかなか教育長も答弁するのに困るかなという内容ではないかなということを思いながら、この答弁を聞いたわけです。しかし昨日、嶋ア議員の愛国心の強制と、こういう問題についてはきっぱりと教育長は内心の自由を侵してはならないと、断じてあってはならないと、そう表明をされ、市長も同趣旨の表明をされたわけです。そこで私がまず聞いたのは、こういう憲法に準ずる法律だと、そういう意味では本当にこんなスピード成立で、国民の議論も不十分なままで成立していいのかと、その点では教育長は非常に大切なものだと。教員、保護者の意見をしっかり聞いてという形で答弁をされたと、よく受けとめて、まだ議論が、私はこの中に教員、保護者だけではなくて国民がここに入らないかんというふうに思うところです。その点を踏まえて教育長の答弁は、しっかり聞いて進めるべきだという点ではまだまだ議論が足りないよと、こういうふうな認識だというふうに私は受けとめました、この点については再度答弁の必要はございません。
また、私が一つ問うたのは愛国心通知表を知立市で実施してるかどうか、このことも大切であります。しかし、大切な中身はこの基本法、今度の政府案の中で第2条において20の徳目があげられて法律に明記をされると。そしてその達成が組織的に行われて、その達成を義務化するということになるわけですよね。今の愛国心の問題でも、何も先ほども申したとおり2002年の教育指導要領の中でこの告示をされたと。私どもは法的根拠はないと思うけども、それを文科省が全国の教育委員会、学校に示したと。その上に立って、多くの学校がそのことをこの通知表の中に含めて評価をしたと。先ほど述べた福岡県はABCと非常に、後でテレビの番組でもやってましたけど、この問題がね、問題になってから、先生たちもどうつけたらいいかわからんと、こういう実態なわけですよ。ですから小泉さんも、そんなことは難しくてできないと、それで文科省の大臣に至ってはとんでもない話だと言ってるわけです。ところが、教育指導要領でさえもこういう実態なのに、これを法律になって、その達成を系統的に組織だって見るというわけでしょう、義務づけるというわけですよ。そうなったときに、本当に内心の自由が保障されるのかと。教育長の姿勢としては、それを入れるべきではないし、知立は入れてないし、今後も決してそのようなことはないと、その気持ちは十分受けとめて、それが真実だと私は思います。しかし、それが義務化されるということになりますと、内心の自由が本当に保障されるのかということになるわけです。ですから、国会での我が党の志位委員長とのやりとりの中では、法制化するという、この徳目に対して、特に愛国心に対して、実際にはそれが現行で指導要領のもとでやられてて、それはとんでもない話だというのに、とんでもない話を法律にするということ自体が、この法律の前提が成り立たないということが明らかになったんです、これは。それが法律に書き込まれるということは、内心の自由を侵す強制力が働く危険性があるのではないかと、私は危険性というよりもそのものずばりだと思うけど、言葉を薄めて言えば危険性が存在するのではないか、そのことに対してどうなのかということを聞いたわけです。その点では教育長の愛国心は断じてあってはならないし、通知表にそんなことはとんでもない話だと、そのことはわかりますけども、一連の法律の仕組みと流れから見て、そのことが大変懸念されるし問題ではないかと、ここについて私は聞いたところであります。この点、ひとつお聞かせを願いたいと。
それから、知立市ではないということでありますけれども、それともう一つは、私は現行の教育基本法の第10条が教育行政、教育は不当な支配に服することなく国民全体に対して直接責任を負わなければならない。私は再度申し述べますけども、直接、日本の戦前の教育は教育勅語がまず最初にあって、それからこれが学校で奉読ということで、教育勅語が奉読されて、読むことが義務づけられたわけですよ。その後いろいろありましたけれども、修身という国定教科書が出てきて、それがすべてのこの教育の体系の中の頂点に位置づけられたということがあって、そのことが日本とアジアに悲惨な結果をもたらしたと、こういうことから教育への不当な支配に服することはなくということが書かれておるところなんですよね。衆議院の特別委員会の参考人意見陳述が行われて、掘尾輝久東京大学名誉教授の発言ということもありますけれども、なぜ改正が必要かという根拠について理解ができないと。自民党の町村信孝元文科省の大臣ですけれども、この衆議院の本委員会で敗戦後遺症という言葉を使ったと、こういう言葉を、不当な支配だとか愛国心を入れることだとか、そういうこというような敗戦後遺症と。この敗戦の中で私たちの先人がどういう思いで新しい人間を育て、新しい国をつくろうとしたのか、その思いが教育基本法をつくったのだというふうで、この中身が言われているわけです。
教育については、教育というのはさまざまな人がさまざまな議論をすることが大事だと。それが法律で縛って一つの方向づけを国がやるのは越権行為であると、こういうふうに述べてるわけです。この10条なくして不当な支配と、国民に直接責任をと、この部分は削除すると。そして政府案第16条では、不当な支配に服することなくという文言は入ってるもの、その後、教育行政は法律及び他の法律と、これは法律及び他の法律というのは国会で幾らでも時の政権党が多数決の横暴でやれば、幾らでも教育に介入できると、こういう仕組みが残されてるわけです。
さらに17条で教育振興計画。今、教育振興計画ということが言われてますけども、実は政府がやろうとしているのは全国一斉の学力テストだというふうに言われているんです。先ほど私、少人数学級で犬山市の例を紹介しましたけども、犬山市はこの学力テストについて、犬山の教育にはなじまないと、こういって否定をされているんですよね。そして、何よりも東京都の例を見ると端的にその弊害があらわれてますけども、学区制の廃止をしたと、学区制をね。東京都は都の学力テストをやってると、そうするといわゆる、いい、学力の高い学校、低い学校ということでもって学力の高い学校には子供たちは行くと。だけど低いところには行かないと。ついにことしは新入生が一人も出ない小学校が幾つも出たんですよ、そんな、例えば新入生の来ない小学校が出て、そこに存在する子供たちは、また親は、ああ、レベルの低い学校で恥ずかしいと、何かしらんけど教育現場の中で子供たちの競争もそうだけど、学校同士の競争をあおるような、ますますもって子供たちがストレスを感じるような、そういう実態が出てきてるんですよね。だから、ここの中で言ってるところの教育振興計画だって、現行の教育基本法に照らしてみればいろんな教育の議論はあってもいいけども、一つの方向を決めて、それを押しつけるやり方は間違いだというふうに言ってると思います。
そして先ほども言ったとおり、教師の扱いについてだって、今までは全体の奉仕者なんですよ、それを外しちゃったんですよ。だれに奉仕する教師なのかわからなくなった。
いろいろと言いましたけれども、そういう中身で教育にどんどん介入できると、こういう中身にしようというのが今度の改正案だということが明らかになってるんですよね。先ほど言ったように1976年の学力テスト、この裁判、最高裁は先ほども言ったとおり、憲法26条の教育を受ける権利と教育の義務を根拠にして、教育内容に対する介入はできるだけ抑制的でなければならない。すべてをしちゃいかんということじゃないように見えるけども、こんなあからさまな、露骨な教育への介入最高裁の判決が戒めてるんです。ですから私はここのところで、教育長はどのような認識を、国家がどんどん介入できる戦前の教育のような、そういうものがまかり通っては、そういうふうにならないなんていう保障はどこにもなくて、その歯どめとして今の10条が存在するわけですよね、そこのところの認識を聞きたいんです。確かに教育長が言われるように家庭教育や幼児教育、新たに盛り込まれたと。しかし、現在のそれを書き込まなければ家庭や、また幼児教育は成り立たないのかと、こういう問題になるわけですよ。あえてそんなことはみんな大切だということわかってるわけで、それこそ国民的な議論と学校を中心として教育基本法の本来の目的にして照らし合わせて、一人一人の子供たちを本当に大切にする教育は何かということを問うことこそ、今、求められているんじゃないですか。犬山市はその点で、もちろん犬山市のことがすべて正しいなんてことは思ってないけども、一つの見識と改革の理念でもって子供たちが一方的に教えられる教育ではなくて、学級の改善や独自のカリキュラムや、そういうものをつくりながら現場の実践を通じて子供たちが教えられるだけでなくて、みずから学ぶ、そういう授業を工夫するということを言いながら、その最大の保障が少人数学級だということを言ってるわけですよ。そういう点があるわけで、あれこれのそういう問題、いいところが入ったからといって国家の教育への介入、この問題は差し引きできない問題だと、こういうふうに私は思うんです。
この点でどのような認識をお持ちかと、くどいようですけどももう一度お答え願えたらというふうに思います。
それと次に、少人数学級の実現と。きょう、教育長は、私は犬山だけがいいということを言ってるわけではないです。犬山のこともその中身を熟知して言ってるわけでもありません。しかし、ここに大胆に子供が本当に学校に行って学ぶ喜びを感じて、教師も教える喜びを感じることができると。もちろん知立市の学校でも、先の3月議会で教育長は教育方針を示しました。当然、知立市もそうだと思います。だけど、それを保障するための手だてとして、この教育環境の整備と、本来これは国がやるべき問題です、はっきり言って。しかし、抱えてる課題やそういうことを見たときに、市費でもってもこれをやろうという決意はやっぱり見習うべき必要があるんではないかと。目の前の困難さはわかります、財政的な問題、その点で教育長は、やっぱり見通しとしては県から正規教員をもらってやるのが望ましいと、従来の答弁の域が出なかったわけです。私が求めたのは、現実的にはそういう問題が横たわっているということは承知しています。しかし、教育の所管や教育委員会が今こうした流れが太く大きくなる中で、本当にどうなのかと。先の3月議会で中島議員が発達障害の問題と、それから少人数学級との関連で問いただしました。教育長はその効果についても認め、新たな視点での提言をいただいたというふうに言われたところであります。そういうことを見たときに、教育委員会はもちろん財政的な問題もあります。しかし、教育委員会自身が教育の理想をやっぱり語り、そのために少人数学級をいつまでにやりたいという、こういうものを持っていくことが必要ではないかと。確かに県採用の教員が優秀で、地域採用の教員が優秀じゃないとか、それはわかりません、私は。県の研修が受けれないとかいいます、だけど県の研修を受けれないなら受けれるように要求すればいい話なんですよね、これは、正直な話が。
そういう点で、ぜひそういう計画を従来の枠組みを捨てて大いに教育委員会で議論してもらって、行政側も厳しいだろうけれども、教育委員会としては独立した委員会なもんで、知立の教育をこういうふうにしていきたいんだと、こういう意気込みを市長はじめ担当に示していただきたいなというふうに私は思います。
ぜひこの点もう一度、そうしたことも踏まえてお願いしたいと。
もう一つは、少なくとも教育長の答弁を県の加配ということを前提にすれば、私が早急に小学校2年、中学校1年を少人数学級にしてくださいといっても、その前提がもともと違うからやりますという、検討しますという答弁はできないかもしれないけども、先ほど私が述べたように、私が述べたというよりも、この軽度発達障害の子供たち、それからとりわけ小学校から中学校に上がるときにいろんな問題があるでしょうけども、事実として不登校の数がたくさんふえてるという事実を見たときに、このままでいいのかという問題が横たわっているんじゃないでしょうか。
さらに今は雇用状況が大変芳しくありません。この地域はトヨタ系の企業があって、そこに努められてる方たちも多いかもしれませんけれども、一つの傾向として、この家庭の所得の格差が教育格差につながってるという問題が今、提起をされて問題になってるんですよ。あまねく個人を尊び、この子供たちの人格の完成を目指すという教育基本法の理念に照らすならば、それらの方たちに手だてはとってるとは思うけれども、その教育環境の整備は一刻も早い課題ではないかと私は思うんです。ですからぜひこの点では実施を、本当に検討してほしいなというふうに思うところであります。
そして、本多市長にお伺いをしたいわけですけれども、単純によそがやったからやると、こういうレベルの話はないと、教育の問題は。しかし、先ほど言ったように、法律が改正されて市単独でも教員を、常勤教員を雇うことができると、それでもって給料で幾らぐらいにするのが妥当なのか、その辺はいろいろあろうかと思いますよ、正直な話が。市の職員と同列なのかちょっとわかりませんけども、その辺のことはね。だけど少なくともそういう可能性が見えてきたという中で、市がそういう人たちを任用して一歩でも二歩でも進めるという姿勢が大切ではないですか。それとあわせながら、教育基本法は今度改悪しようとしてるわけだけども、こうした少人数学級などの教育条件の整備については一向に財源確保を国がしないと、こういう問題も含めて国・県に対して、やっぱり厳しくあらゆる市長会の場だとか、いろんな場を通じて市としても迫っていくことが必要ではないでしょうか。この点の答弁も求めたいなというふうに思います。
それから、発達障害の問題について、余り十分教育長からは聞かれなかったわけですけれども、加配がない中、十分な支援が可能なのかと、できてるのかと。そこでやってる先生たちの思いはどうなのかと、このことを私はやれやれというスタンスではなくて、実際に国のガイドラインが示されて、その枠組みが知立では整備をされてきたと。だけど、この少ない先生たち、校務の分掌も大変多いという中で本当に十分可能なのかという問題が提起をされてるんではないかと。先生たちの生の声は実際どうなのかということもお知らせを願いたいなというふうに思うわけであります。ぜひ、その点よろしくお願いしたいと。
それともう一つは、あいフレンドは3月議会で市長が表明したように10名の確保ができたということであります。ぜひ、こうした皆さん、一般の学生だということでありますけども、こうした学生を活用しながらよりよい支援をしてほしいなというふうに思います。
それから、臨床心理士は各学校で配置を、中学校各1名スクールカウンセラーと、それから小学校が心の相談員5人みえるということですけども、実際問題としてどんな活動をやってるのかちょっと。もちろん相談事を受けてるんだけど、例えばこういう人たちが保護者へのサポートとしてかかわったりとか、そういうことはあるのかどうか、その辺もあったら教えてください。
あと通学路の問題は、現状の中ではそれなりの答弁がありました。しかし、新林の布光の通学路のところでは計画を立ててやりたいと部長が言われましたけども、部長としてこれをいつまで。今の調子で17年からやって予算づけでやってると、毎年同じような予算づけなら何年かかるのか。これが通学路だということを思って、もっと早く前倒しで、3カ年でやろうとか、そういうスタンスなのか、その辺をお聞かせを願いたいなというふうに思います。
それと学校ボランティアへの支援の問題です。学校ボランティアの問題は、ただお金で支援すればいいという問題ではなくて、なかなか難しい問題がたくさん見えてるなというのが私の実感です。秋田の豪憲君の事件を見ても、彩香ちゃんが亡くなったと。その後しばらく地域の人たちがボランティアでいろいろな活動をやったというふうに言われてますけども、その後、豪憲君のときにはそういうものがなくなってしまったと。それと同時に今度の事件を見ると、本当に1軒おいた隣の人だったと。いろいろあるかもしれないけど、そこではやっぱりそれだけでは限界も見えてるのかなというもの私の実感であります。そんなことから、学校の安全というだけではなくて、やっぱり大人の姿が見える町をどうつくっていくのかというようなことも課題になるのではないかなと。提案は示せれませんけども、そんなことも含めて取り組みを強めていくことが必要かなというふうに思います。
それともう一つ、市長は支援はしていきたいと、相談してね。だけど補助金はなじまないみたいなことを言われたんだけど、この辺の意味合いが負担になってはいけないと。もちろんお金出してもらうことによって、それが強制力が働くという側面は一方で生じるかもしれません、正直言って。だけども、例えばこういう着るものだとか帽子だとか、そんなものを含めて支援のあり方がよく検討していただいて実効ある支援を、補助金というのが望ましいのか望ましくないのかわかりませんけど、ぜひその点では財政的な支援を検討して実施をしてほしいと。私はその点で過日のPTAの会合があったときに、市長はそういうことも表明されたわけで、来年度から。できたら先ほどの話ではそれぞれのスタートは違うけれども、既に購入されているようなものについても何か支援ができるみたいな感じのニュアンスのことも言われたので、もう一度その辺御説明をください。
以上です。
〇議長(杉原元司)
石原教育長。
〇教育長(石原克己)
教育基本法について、これから義務化されるというようなことから愛国心についてでありますけども、危険性が伴うのではないかということであります。現在のお話を聞いておりますと、それまで義務化されてくるかどうか。しかし、現実に教育基本法に表記されますと、今度、教育振興基本計画というのも立てられてまいります。その辺がどのように推移していくかということは今のところわかりません。
それから第10条につきまして教育行政のところです。そこの、国民全体に対し直接に責任を負ってという部分が削除されているということで、いろんな介入があるのではないかということであります。その辺のところをこれからも議論されていくのではないかということを思っております。
それから学力テストの問題でありますけども、犬山市が学力テストをやらないということであります。私たちも学力テストについては過度のランクづけ、過度の競争をするようなことは避けたいということを私どもは考えております。先ほどの10条については国民全体に対し責任を負って行われるべきものである、この条文に対して当然であると、私自身はこの条文を別に疑問視しているわけではありません。
それから少人数学級についてでありますけども、学校教育においてきめ細やかな指導をしていくことは当然なことでありますけども、少人数学級は一つの方策であります。少人数授業も大切であります。そういうことを踏まえて進めていくことが必要だと思います。現在も2年生の35人を超える学級につきましては市単の非常勤の講師を入れております。
それから発達障害児の教育ともかかわってくるのではないかということであります。確かに少人数学級にしていけば面倒、指導する機会も、目も届きやすいわけでありますけども、発達障害というのは少人数にすれば解決するというものではないわけであります。例えば先ほどお話ししました35人学級でも、あるいは30人学級にしましても、その個性によってうまくいく場合もあるし、なかなか難しい場合もあります。そうした少人数学級を小1、小2、中1、期限を切ってということでありますけども、なかなか期限を示していくことは難しいと思っております。市としましても、きめ細やかな一人一人に応じた指導を進めていくことが大切であると思っております。現在、市単の講師あるいは名大の大学院生による特殊学級の配置、あるいは愛教大あいフレンド、あるいは算数、英語の補助員等の活用をしております。今後も大学の学生の有効活用等、あるいは愛知教育大学の教員の先生方の活用も図りながらきめ細かな指導を進めていきたいと思っております。小2、中1への拡大については引き続き県の方に要望してまいりたいと思っております。
次の発達障害の加配についてであります。これから特別支援教育が進められていく中で、加配教員がない中で進めていくというのはなかなか難しいところがあります。知立市といたしましては、今年度より特別支援教育研究推進委員会を設置いたしました。これ3年間行っていくものであります、この中で通常学級に在籍するLD、ADHD、高機能自閉症等を含む教育的配慮を要する児童生徒への校内支援体制及び地域支援システムづくりについて研究をする。もう一つの目標が、障害の特性に応じた教育課程の編成及び効果的な指導法について研究するということで教育委員会も含め、先生方と一緒に研究をしていきたいと思っております。
なお、この構成員は各学校の特別支援コーディネーター10名と通級指導担当者1名、委員長、顧問となる校長2名、13名で組織しております。今年度はまず個人カルテの様式がばらばらでありますので、その様式を統一するというような作業に入ったところであります。3年計画でありまして、こうした中でともに考えていきたいと思っております。
それから通級指導教室の増室についてであります。今年度は昨年度に引き続いて知立小学校で設置が認められましたけれども、知立東小学校の申請は認められませんでした。こうしたことも引き続き県の方へ要望してまいりたいと思っております。
それから臨床心理士はどんな活動をしているかということでありますけども、臨床心理士は学校の相談室等におりまして、子供あるいは保護者等のサポートをしております。保護者のサポートにつきましては一般的には担任の先生が相談に行き、あるいは子供、あるいは保護者とつながっていくものであります。保護者へのサポートも子供の状況に応じて希望があれば行っているという状況であります。
以上であります。
〇議長(杉原元司)
本多市長。
〇市長(本多正幸)
私の方には2点御質問をいただきました。
まず最初に教育委員会の問題ではございますけれども、教員の市単による配置ということで、法律が3月の国会で改正をされて、特に犬山は、今はどうかわかりませんけれども当初、常勤の講師ということでスタートをされたというふうに聞いておりますけれども、そういう形になりますと身分の問題、あるいは責任の問題、いろんな問題が出てまいるわけでありますけれども、それを承知で、そういうリスクも含めて一歩新たに踏み出した犬山の考え方については、私は評価はしたいというふうに思っております。
しかしながら、私どもの知立市がそういう方法をすぐとっていくかということを今すぐには考えておりませんけれども、少人数学級を目指す中で国の法律が改正していく。しかし、予算についてはやはり市町村で持たなければならない、そういう現状が、私はずっと続いていくものとは思っておりませんので、近い将来に少人数学級のための国・県のそういう予算も含めた手だてがされてくるものと今は信じておりますけれども、市として今できることは、今教育長が答弁をしたような方法でもって少人数教室だとかそういう形の中で進めていくことしかないのかなというふうに思っておりますが、ただ、今私が申し上げましたようなことを、私どもで言いますと県でありますけれども、県の方にもいつも申しておりますけれども、市長会でこういう少人数学級だとか教育の教員の配置、県がもともとはすべてやってるわけでありますけども、それについてあんまり議論がされたことは、正直申し上げまして私がなってからはありません。犬山の市長とお会いすると個人的にはそういう話はしますけれども、会議等ではありませんので、私の方からも県に要請をするような形の中で、皆さんに同調を求めていくような、そういう話をしていく予定はいたしております。
それから、ボランティアの支援策の件でありますけれども、方法については先ほど申し上げましたように研究をしていきたいと思っておりますけれども、予算化も来年度の中で予算化をしていきたいと思っておりますが、かつて既に購入されたり、いろんな備品を取りそろえておられる皆さん方に対して、いわゆるお金でもって対応していくという考え方は今持っておりません。今後のことにつきまして対応を、支援をしていくという考え方の中で進めていきたいと思っておりますのでよろしくお願いをいたします。
〇議長(杉原元司)
建設部長。
〇建設部長(神谷正明)
新林の布光のところの道路の修理ということで、今現場を見ましてもまだ修理の進捗状況を、まだなかなか進んでいないのではないか、計画を立ててということでございますけれども。まだ、こういったほかにも同じような交通安全に対する危険箇所も多くあるかと思われます。ですけれども、この件に関しましては今、質問者が言われました計画を立てて3年ということを申されましたですけれども、状況を判断しながら、意に沿うように実施計画を立てて実施してまいりたいと思います。
〇議長(杉原元司)
これで11番 佐藤議員の一般質問を終わります。