○19番(中島牧子)
私は、陳情第10号 知立市議会議員定数削減を求める陳情書に日本共産党を代表して反対の立場で討論をいたします。
この陳情は、昨年9月議会に提出をされ、二度にわたって継続審査とされてまいりました。各会派内の意思決定に時間がかかった、こういうふうにみております。
今議会、3議会ぶりに本会議で採決に付されるということになり、議会運営委員会では委員長報告のとおり不採択とすべきものとなったわけであります。各会派の意見、陳述は、18日の議会運営委員会ですべて表明をされましたけれども、残念ながら、陳情者の傍聴はありませんでした。きょうもないようであります。
さて、陳情における定数削減の陳情趣旨です。本質論より市議会のありように納得いかないというものになっています。つまり、この点を議会として認めなさいというこういうものですから、会派によってはこれが継続審査のもとになったとも言えるのです。市議会が本来の役目を果たさない、行政のチェック機能を果たしていない例として、10年前の東海豪雨の際の見舞金の扱い事例を示しての厳しい批判が多くを占めているものであります。私自身も文面には違和感を覚えますし、異論もあります。また、この件は、監査委員会にも訴えられておみえになりまして、却下された経緯もあるわけであります。それでも納得できないとおっしゃっている件であります。
それに関する思いを封印せよとは言いませんけれども、議員を減らせば陳情者の意見が通るとおっしゃるのでしょうか。議員を減らせばチェック機能が強化されるとおっしゃるのでしょうか。この間、市議会議員の選挙も実施されており、納得のいく議員を選出するチャンスもあったはずであります。この件を定数削減の理由にこじつけている感すらいたします。市民の素直な定数問題への関心に真正面からこたえているものではないと思われます。陳情趣旨については、やはり受け入れがたい、こういうふうに表明せざる得ません。
昨今は、議員定数削減なくして行政改革なしといわんばかりの風潮であります。河村劇場演ずる名古屋市長は、一挙に議員定数を半分にする、こういう条例を議会に提出しているわけであります。予算を削る一点でこれを論じてよいのか、逆に不安の声も上がっているわけです。市長の専制政治が危惧されるとの批判であります。憲法学者や市民運動のリーダー13人の方が民主政治を守るために議員定数の半減に反対しましょうという共同アピールを発表し、賛同署名が広がっていると聞きます。本来の議会の役割は何か、改めてその議論も起こっているわけであります。
陳情第10号では、定数を幾つに削減するということは全く触れておりません。何しろ議員定数を今より削減しなければならないと求めております。定数を削減さえすれば市民の期待に沿った議会になるという幻想を振りまいているように見えますが、そのように短絡的であってよいはずはありません。最も大切なのは、地方自治のシステムである二元代表制について市民の中でもっと議論することです。日本国憲法は、自治体の長と議会をいずれも住民が直接選び、それぞれが住民を代表する二元代表制を地方自治の仕組みとして定めています。これは大きな予算執行権を持つ市長、それと議決権を持つ議会、これがチェックアンドバランスの関係でお互いの独断や暴走を防ぐという重要な民主主義の仕組みであります。
ちなみに、河村名古屋市長は、二元代表制は立法ミスとまで言ってはばからない事態、大変危険な発言と考えます。これについてマスコミは、市長の権限強化に向けた制度改革が必要との考えを示したものだと批判的に、これは毎日新聞が報じました。
だからこそ憲法学者も立ち上がっているのです。定数削減の究極の目標は一体どこまでいけばいいのか。可否同数にならない最低の定数といえば4名でありますが、それで審議ができるというのでしょうか。市議会議員には市民の目線でさまざまな意見を聴取し、市政に反映させ、市民の要望を政策化し提案する重要な役割があります。また、市民の目線で税金の取り方、使い方、いずれも適正化、厳しいチェックが必要です。これらを市民に知らせ、さらに意見を聴取する、これらの活動を通じて市政をよくしていくための市民との協働をつくり上げていくことが必要であります。
いつも市民の暮らしに寄り添い、そこにおける市民の苦難をともに解決し、幸せを実感できる市政を実現させ、市民が、住民が主人公の市政に貢献することが求められております。知立市には多種多様な住民ニーズ、多種多様な地域ニーズ、伸びる人口、多文化共生の大きな課題、環境問題などなど取り組む課題が広がっております。市民の代表として、これらにこたえる幅広い議員の活動が求められるのは、だれもが認められるところではないでしょうか。今の市議会は、その大切な役割を果たして市民の期待にこたえているのかという点では批判の声も耳にするところであります。それはしっかり真摯に受けとめ、こたえていくことがより必要であることは当然であります。
議員定数については人口により決めていた上限は、間もなく地方自治法の改正で撤廃される見通しであります。削減率を競うのは時代おくれになりました。逆に議員報酬を下げて、もっとたくさんの議員に出てもらった方が、より市民の声が届くんだ、こういう意見も出てきております。議員を何人減らせば幾ら、5人減らせば幾ら、こういうふうに憲法、地方自治の精神からなる間接民主主義の対価というものも小さくすれば小さくするほどよいとの立場、国民自身の民主主義の権利の縮小につながり、市民の首をしめることにつながる低次元の議論であり、許せません。
知立市議会は定数23であります。常任委員会は8人、8人、7人、こういう組織で3委員会で行っております。一般会計だけで約200億円の予算審議、加えて6つの特別会計、1つの企業会計の審議を行っています。一合議体として決して多くないと考えます。
現在、委員会質疑も熱心に傍聴していただく市民の方もみえますが、他市に比べて大変活発に質疑が行われております。委員会の数をこれ以上減らすことは、所管範囲を拡大し、審議内容も浅くなります。陳情者が言われるように、一議員が2つの委員会に所属すれば委員会の数を減らさなくともよいという意見が載っております。しかし、一議員の所管が2倍にふえる、このこともやはり同様なことであります。
質問のために日常の調査と準備、これらが結局手薄になり、陳情者が強く期待するような厳しいチェック機能に矛盾することになると考えるわけであります。日本共産党は、むやみな定数削減議論には組することはできません。二元代表制を文字どおり有効なものとするため、これ以上の削減には反対いたします。市議会への批判の声には真摯に向き合う、そして、あるべく市議会の姿、役割をいま一度確認し、新たな議会改革に向けた取り組みをして知立市議会基本条例をつくっていくよう私ども提案していくことを申し述べ、討論といたします。
○議長(石川信生)
次に、本件に対する賛成討論の発言を許します。
〔「討論なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(石川信生)
討論なしと認めます。これで討論を終わります。
本件に対する委員長の報告は不採択です。
本件は委員長の報告のとおり決定することに賛成の議員は挙手願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(石川信生)
挙手多数です。したがって、陳情第10号 知立市議会議員定数削減を求める陳情書の件は、不採択と決定しました。
これより陳情第2号に対する討論を行います。
まず本件に対する反対討論の発言を許します。
20番 高橋議員。
○20番(高橋憲二)
陳情第2号 「外国人へ参政権を付与することに反対する意見書」に関する陳情について、反対の討論を行います。
今日、我が国に永住する外国人に地方参政権を付与すべきだという世論は高まっています。日本共産党は、この要求は当然のものであり、永住外国人に地方参政権を付与することは当面急ぐべき課題だと考えています。
現在、我が国には60万人を超える永住外国人がいます。これらの人々は、さまざまな問題を通じて地方政治と直接的な関係を持ち、日本国民と同じように地方自治体に対して多くの意見や要求を持っています。地方自治体は、本来すべての住民の願いにこたえ、住民に奉仕するために住民自身の参加によって進められなければなりません。その仕組みは、先ほど中島議員が訴えたところであります。
外国人籍であっても我が国の地方自治体の住民として生活し、納税を初めとする一定の義務を負っている人々が、住民自治の担い手となることは憲法の保障する地方自治の根本精神とも合致をいたします。最高裁判所も1995年2月、永住外国人に地方参政権を保障することは、憲法上、禁止されているものではないと判決を下してます。
また、世界の動向は、OECD経済協力開発機構加盟の30カ国を初め、ヨーロッパ諸国など多くの国々でも実施済み、または実施に向けた積極的な検討、議論がされています。
知立市議会でも平成7年3月27日付で定住外国人の地方参政権に関する意見書を採択し、政府に対し定住外国人が地方参政権に参加する道が開かれていない現状を指摘し、前向きな検討を求めています。この歴史の大きな流れの上に立ったとき、以上の点を申し添え、永住外国人に地方参政権を付与しないことを求める本陳情に反対せざるを得ません。
以上で反対討論といたします。
○議長(石川信生)
次に本件に対する賛成討論の発言を許します。
18番 風間議員。
○18番(風間勝治)
陳情第2号に賛成の立場で討論いたします。
本来このような案件は、国の立法政策にかかわる最重要案件の一つとされておりまして、地方議会の議論にはなかなかなじまない、国会の議論の推移を見守ることが重要であると思いますし、非常にデリケートで難しい問題を抱えておりまして、慎重性が求められると思っていますが、陳情が出された以上、現在の私の考え方を申し述べたいと思います。
外国人参政権とは、その国の国籍を有しない外国人に付与される参政権を指しておりまして、2010年現在、法律上外国人の方々には参政権は与えられておりません。日本国憲法第15条は、公務員を選定し及びこれを罷免することは国民固有の権利であると定められています。このことから日本国民には憲法上、選挙権、被選挙権など参政権が保障されています。
この大原則から外国人から帰化された方々に対する選挙権や被選挙権など参政権は、日本国籍取得者として当然日本人と同様すべての参政権が認められているわけであります。ですから、外国人が日本における参政権を要求する場合には、この憲法の原則論に沿い、帰化により日本国籍を取得され、義務と権利を享受できる道は明確に開かれているわけでありますし、そのような立場からの国会議員もたくさんおられるわけであります。
地方参政権を求めた平成7年2月28日の最高裁判決では、まず公務員を選定、罷免する権利を保障した憲法15条以降の規定は、権利の性質上、日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないと解するのが相当であるとしています。
また、憲法93条2項は、地方参政権はその地方公共団体の住民が選挙すると定められており、この住民とは地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は我が国に在留する外国人に対して地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできないとして地方参政権を求めた原告の訴えを棄却しています。
確かに、この判決の傍論には、憲法は定住外国人に対し、地方参政権を付与することは禁止されているものではないと解するのが相当であるという部分的許容説が示されておりますが、傍論とは判決において表明された裁判官の意見のうちで判決理由に入らない部分のことを指しておるそうで、いわば参考意見でありまして、この裁判の主文、判決に流れる外国人参政権付与の考え方は、判決のとおりすべての外国人に国政レベル、地方レベルを問わず参政権は憲法上保障されていないとする否定説に立っていると解されているわけであります。
つまり、陳情趣旨にもありますが、日本国憲法で第15条以降、参政権を日本国民固有の権利としている大原則、そして93条2項、地方参政権はその地方公共団体の住民が選挙するという原則、その住民とは従前の最高裁判決をもって日本国民を意味するとされ、憲法の大原則及び最高裁判所の判決は外国人の参政権は認めていない現状であります。これらの現状、そして原則論によりまして、日本国籍取得帰化によって日本人同様のすべての参政権が外国人の方々に保障されるべきであると私は、現在考えております。
なお、参政権のありなしに関係なしに、外国人の方々に対する基本的人権の尊重や多文化への理解、共生へのまちづくりへの重要性、あるいは外国人の方々が住みよいインフラ整備などは、今さら私が言うまでもなく、地方自治体として充実を図らなければならない重要案件であるということは、この際、誤解のないように申し添える次第であります。
以上の理由によりまして、本陳情に賛成しまして私の討論を終わります。
○議長(石川信生)
次に、本件に対する反対討論の発言を許します。
〔「討論なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(石川信生)
討論なしと認めます。これで討論を終わります。
本件に対する委員長の報告は採択です。
本件は委員長の報告のとおり決定することに賛成の議員は挙手願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(石川信生)
挙手多数です。したがって、陳情第2号 「外国人へ参政権を付与することに反対する意見書」に関する陳情書の件は、採択と決定しました。
日程第34 議員派遣の件を議題とします。
本件については、お手元に配付したとおり、地方自治法第100条第13項及び会議規則第160条の規定により派遣したいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(石川信生)
御異議なしと認めます。したがって、議員派遣の件については、お手元に配付したとおり派遣することに決定しました。
なお、派遣の内容に変更が生じた場合は、議長に一任願います。
お諮りします。ただいま知立市議会議員、山ア議員より議員提出議案第1号 外国人へ参政権を付与することに反対する意見書が提出されました。
この際、これを日程に追加し、直ちに議題としたいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(石川信生)
御異議なしと認めます。したがって、この際、議員提出議案第1号 外国人へ参政権を付与することに反対する意見書の件を日程に追加し、議題とすることに決定しました。
議員提出議案第1号 外国人へ参政権を付与することに反対する意見書の件を議題とします。
提出者から提案理由の説明を求めます。
1番 山ア議員。
〔1番 山アりょうじ登壇〕
○1番(山アりょうじ)
議長のお許しを得ましたので、議員提出議案第1号 外国人へ参政権を付与することに反対する意見書について提案説明の説明をさせていただきます。
国家とは政治的な運命共同体であることから、我が国の運命に責任を持たない外国人には、たとえ地方選挙権であっても認めることはできません。外国人に参政権を付与した場合、さまざまな危倶が生じる恐れがあり、例えば住民の少ない市町村で外国人が大挙して住民登録すれば、市町村長や議員の選挙で強い影響力を及ぼし、また、地方自治体の教育行政や福祉行政等にも住民の意向に影響力を及ぼすことも考えられます。
地方参政権は、日本国憲法において、そこの自治体の住民の選挙等することが定められており、平成7年の最高裁判所の判決では、その住民は日本国民を意味するとされています。
以上のことから、意見書案にあります外国人へ参政権を付与しないよう、国に対し強く要望するため、地方自治法第99条の規定により意見書を提出するものであります。
意見書全文については、お手元に配付してありますとおりです。
議員提出議案第1号について、よろしく御審議の上、御可決くださいますようお願い申し上げ、提案理由の説明とさせていただきます。
〔1番 山アりょうじ降壇〕
○議長(石川信生)
 これで提案理由の説明を終わります。
 これより議員提出議案第1号に対する質疑を行います。質疑はありませんか。
〔「質疑なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(石川信生)
質疑なしと認めます。これで質疑を終わります。
お諮りします。議員提出議案第1号の件については、会議規則第37条第3項の規定により、委員会の付託を省略したいと思います。これに御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(石川信生)
御異議なしと認めます。したがって、議員提出議案第1号の件については委員会の付託を省略することに決定しました。
これより議員提出議案第1号に対する討論を行います。
まず本案に対する反対討論の発言を許します。
〔「討論なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(石川信生)
討論なしと認めます。これで討論を終わります。
これより議員提出議案第1号 外国人へ参政権を付与することに反対する意見書の件を挙手により採決します。
 本案は原案のとおり決定することに賛成の議員は挙手願います。
〔賛成者挙手〕
○議長(石川信生)
 挙手多数です。したがって、本案は原案のとおり可決されました。
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○議長(石川信生)
 以上で、本定例会に付議された案件の審議は全部終了しました。
 これで平成22年知立市議会3月定例会を閉会します。
午後2時55分閉会
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