○2番(明石博門)
 議長のお許しをいただきましたので、通告に従い、私は生活保護からの自立のためのテーマで当市が取り組むべき課題について、大きく2項目お尋ねいたします。
 皆様既に御承知のとおり、我が国の生活保護受給者が本年3月時点で、ついに210万人を突破しました。受給者数がこれまで最も多かったのは、戦後の混乱が続いていました1951年度の204万人、経済成長とともに徐々に減少し、1995年度に88万人まで減りましたが、不況により受給者数は増加に転じ、2008年のリーマンショックを引き金に急増したわけです。
 当市の現状はといいますと、本年4月末時点で434世帯の方が保護を受給されると聞いています。この場で申すまでもございませんが、生活保世帯制度に目的は三つあります。
 一つは、生活に困窮する方々に対し、必要な保護をすること。二つは、健康で文化的な最低限度の生活を保障すること。三つは、自立を助長すること。すなわち自立を助けてあげることです。
 私は、この三つ目の自立を助けてあげること、ここに着目をして質問をさせていただきます。
 この自立支援策として、まず就労支援からお尋ねします。
 先ほど申しました当市の生活保護434世帯の内訳はといいますと、高齢者世帯122、障がい者世帯45、母子世帯25、傷病世帯58、その他世帯184、このその他世帯といいますのは、いわゆる高齢者でもなく障がい者でもなく、身体が健康で就労が可能であるが、何らかの理由により全く働いていないか、一部働いている世帯を指します。つまり、184世帯42.4%、半数近くの方が働いていなく、保護を受けているということです。
 さらに近隣市のその他世帯が全世帯に対する割合構成率はといいますと、本年3月時点で刈谷市が34%、安城市が28.8%、高浜市が24.8%、碧南市が14.7%、知立市は41.2%と碧南市の3倍になっています。また、その他世帯の本年8月時点での保護費支給経過年数別世帯、つまり何人の方がどのぐらいの期間働かない、または一部働いて保護費を受給しているかと申しますと、1年未満が30世帯、1年以上2年未満が46世帯、2年以上5年未満が98世帯、5年以上が1世帯の方々が生活保護から抜け出せない状況となっています。
 福祉子ども部長にお尋ねします。
 これら現状をどのように見ておられるのでしょうか、お聞かせ願います。
○議長(池田滋彦)
 福祉子ども部長。
○福祉子ども部長(毛受秀之)
 私も質問者同様ですが、その他世帯の現状が大変状況としては危惧しているということでありまして、このその他世帯に対する今後の対策としては重要だろうというふうに認識しております。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 それで、厚生労働省は被保護者の自立支援のために平成17年度から自立支援プログラムを導入しました。この自立支援プログラムは、生活保護の実施期間が被保護世帯全体の状況を把握した上で、自立支援の具体的内容や実施手順等を内容とする世帯類型ごとの個別支援プログラムを定め、これに基づいて個々の被保護者に必要な支援を組織的に実施するものであります。
 福祉子ども部長にお尋ねします。
 私は、今回の質問に当たり、事前に平成24年度生活保護自立支援システムと就労支援プログラムを二ついただきました。この中身を見ますと、嘱託医及び主治医との協議等を記述しているものと一方はしていないものとで両支援者は整合性がとれておりませんが、まずこれから説明をいただけますでしょうか。
○議長(池田滋彦)
 福祉子ども部長。
○福祉子ども部長(毛受秀之)
 今回、就労支援プログラムということで明石議員に担当のほうがお渡しした中身でございます。就労支援プログラムにつきましては、その情勢の変化等によって改正しておるわけですが、明石議員にお渡ししたプログラムの資料の内容の整理の仕方が悪かったということで、この辺については反省をしております。
 ですから、今現在、別紙ということでお渡ししてあるものが現状で動いておる内容でございます。大変申しわけございません。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 よくわかりました。
 では、その今、別紙の現状であります就労支援プログラムの概要を簡単に説明いただけますでしょうか。
○議長(池田滋彦)
 福祉子ども部長。
○福祉子ども部長(毛受秀之)
 概要でございますが、稼働能力を有し、就労意欲があり、就労支援を同意している生活保護費受給者に対し就労支援員と担当ケースワーカーとの連携により求人情報の提供、また、履歴書の書き方、面接の指導、ハローワークへの同行などが決められた支援内容というふうになっております。
 以上です。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 前もっていただきました就労支援プログラム、私も見ておりますので概略はわかりますが、その中に、生活保護の3番目で自立助長の面から見れば、まだまだこれは不十分でないかと思います。
 と申しますのは、ここに就労意欲がある者に対してこうだこうだというような文言がありますが、その就労意欲が非常に薄れている方に対してはどうだということが一文もございませんが、どうすれば就労意欲が出るのか、就労意欲が弱い方への取り組みが最もこれは重要であると思います。
 この愛知県におきましても、求人倍率としましては他県に比べればまだまだいいほうですから、就労には他県に比べればもっと就労が上がると思うんですけども、そこで、就労支援に力を入れてます釧路市の取り組みを少し紹介させていただきますと、釧路市は生活保護からの脱出策として、本人の同意のもとにボランティア参加などを通して就労意欲を養う仕組みを釧路方式として自立支援プログラムをもっております。
 同市の取り組みの特徴は、就労支援プログラム、就労体験的ボランティアプログラム、就業体験プログラム、日常生活意欲向上支援プログラムに分かれ、それぞれが単独で機能しているようです。
 実例を挙げますと、Aさんですけども、Aさんは吐血して倒れた。生活保護を受けながら体調の回復に努めざるを得なくなった。精神的に追い詰められていたAさんを救ったのが市の自立支援プログラムだった。ケースワーカーの勧めで生活保護受給世帯の子供たちに学習支援を行うボランティア活動に参加したAさんは、自分を受け入れてくれる居場所だと感じたと振り返る。
 活動を続けるうちに、失っていた自信を取り戻したAさんは、就職活動を始めるようになった。非営利団体の正職員になったため、生活保護の受給を打ち切った。Aさんは、市の支援があったから社会復帰への意欲を持てたと語っています。
 また、医師から肝炎と告げられたBさんは、長期療養のために会社をやめ、9カ月後に就職活動を始めましたが、生活保護を受けなくても済む待遇の仕事にはつけなかった。Bさんは、徐々に就職を望む気持ちがうせていったと当時を振り返っています。
 転期となったのは、ケースワーカーからの助言だった。農園でのボランティア活動をすすめられ、それに参加する中で、生活保護から抜け出したい、自立したいという気持ちがわいたとBさんは話しています。
 現在Bさんは、生活保護を一部受給しながら非営利団体での仕事をしています。Bさんは、あのときにボランティアに参加しなかったら社会とのかかわりを避け、今ごろは仕事もしていなかったと思うと語っていた。こういった報告があります。
 釧路方式では、直接的な就労支援の前に、まず介護施設でのボランティア活動などを通じ、生活保護受給者の生活意欲、なかんずく就労意欲の向上や社会参加に対する意識啓発を図っております。釧路モデルのような就労意欲を向上させる取り組みに対し、見解をお聞きいたします。
○議長(池田滋彦)
 福祉子ども部長。
○福祉子ども部長(毛受秀之)
 いろいろ釧路等の例をお出しいただき、就労意欲の低下の方に対する支援策の例で御披瀝がありました。
 また、最初のほうには求人のことについてもふれておみえになりました。その地域、地域によっては大変実情が違うだろうと。北海道釧路といいまして、私もちょっと見させていただきましたら求人倍率が0.2という大変厳しい状況で愛知県7月の状況も見させていただきましたら1.1か1.2の状況でありました。
 その釧路の方たちにとっては、そういった求人倍率の低下に対する勤労というか、就労の意欲が低下にも大きく結びついているのかなということも考えられるのかなと。いろいろ行ってもなかなか自分に合う求人情報等とかそういったものがない状況がそういった就労意欲の低下にも要因の中かなというふうに思います。
 そういうことからいきますと、当こちらの知立市にいきますと、愛知県全体でいきますと、先ほどの求人からいきますと、やはり就労に導くように市としてはケースワーカーが昨年から5名から6名ということで1名増員になりまして、その他世帯に対する家庭訪問も以前より充実をしてきたということもありますので、私ども当市としましては、今現状そういったその他世帯の方たちの就労の方向、支援ということに重点をもって取り組んでいきたいなというふうに現在思っております。
 以上です。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 一応見解をお聞きしました。
 これに対しての意見はまた後ほど述べさせていただきますが、もう一件、埼玉県を紹介しますと、埼玉県の場合ですが、民間企業などで働いた経験をもつ就労支援員が職業訓練の受講から再就職まで一貫して受給者を支援する制度を設けた結果、2011年度には618人が就職し、96人が生活保護から脱出できたとの報告があります。
 また、堺市が行っている堺市被保護者キャリアサポート事業を紹介しますと、同事業は、職業選択などの相談に乗る研修雇用や求人開拓も行っていまして、担当者が連携して支援してくれたおかげで就職したいという思いが強くなったとか、もう自分に合う仕事はないと諦めている生活保護受給者には、清掃業の仕事はどうかなど本人に合う職種を具体的に提示し、就職への意欲を引き出しています。
 内容は、20人程度の一つのチームとして指導者と清掃などの訓練、また、ストレス対策講座などを開いたり、研修雇用をこなすことによる意識の変換を起こすものです。研修雇用とはいえ、参加者は働いて給料を得ることで社会の一員であるとの自覚を引き出され、規則正しい生活リズムや同僚意識を取り戻せるのですと担当者は効果を指摘しています。事実、1カ月が過ぎたころから正社員として就労を果たす人も出てきており、研修中の参加者も自信が生まれてきたと口々に語っていたそうです。
 同市が発表した成果によりますと、昨年6月から9月の間に388人が同事業を利用し、このうち99人が就職、就労したとの報告があります。
 このようにボランティアの場、研修の場、技能講習などの場が仲間づくりの場になっている場合もあります。生活保護を受けている方は、どちらかといえば孤立している人が多いのではないかと思います。後ほど取り上げますが、教育支援の学習教室もそうですが、制度には自分はここにいてもいいのだと実感できる居場所づくりの機能も必要だと思います。
 福祉子ども部長にお尋ねします。
 県・市の例を紹介させていただきました。このように各地地方行政は、個々に地域の風土、条件に合ったプログラムを作成し、支援を行っています。先ほど部長の見解によりますと、愛知県の場合は求人倍率が高いからそんなに釧路のようにボランティアとかいうようなプログラムはまだまだ必要でないと。私は、これは逆だと思います。知立市の場合は、先ほど最初に御案内したとおり、2年以上5年未満の方が98世帯もいるわけですね。この愛知県のように求人倍率が1以上あるのにもかかわらず98世帯もいると。片や、求人倍率が低いにもかかわらず就労している方がどんどんできているという成果も上がっているということであれば、こういうケースワーカーの活躍によるよりも、さらに前段階での就労支援のプログラムが私は必要ではないかと思います。
 当市もまずはこの生活保護から抜け出したい、自立したいという気持ちがわき上がるような、わかせるような就労の意欲を引き出すために外部から与えてあげる刺激のあるものがやはり就労支援プログラムにして追加、採用していただきたいと思いますけども、まずはいかがでしょうか。
○議長(池田滋彦)
 福祉子ども部長。
○福祉子ども部長(毛受秀之)
 先ほど私、求人倍率ということの比較をした中で、要因を御披瀝、答弁させていただいたんですが、確かにそういった方で、ほんとに生活保護から脱却する気があるのかという方も事実あるというのも私も承知しております。
 そういった方に、ボランティアにということのお話をして、私もケースワーカーの人間にも聞きました。実際にそういった事業をしても参加は難しいよという話がありました。そういったことも私も耳にした中では、その他世帯でも昨年の8月、その他世帯216だったのが平成24年の7月で175に減少してきたと。これはケースワーカーが1人ふえたことのあらわれなのかなというふうに私としては思っておりますので、先ほど私、答弁しましたように、その他世帯の就労意欲のない方においても、このケースワーカーが力を入れて取り組んでいきたいなというふうに私は思っております。
 以上です。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 確かに平成23年から5名から6名になりまして、徐々に最高が228名ですね、平成23年7月末で現在が175と徐々に減っております。これはケースワーカー大変努力されて、これは期待するものですが、実際に1名の方は5年以上もなってるわけですね。
 先ほどの部長答弁ございましたケースワーカーいわくということで、最初から就労する意思がないという方が、申しわけないですが、ほとんどないといいますかね、ほとんどない方に対してはどうされるんでしょうか。このまま5年、10年その方が高齢者になるまでこのまま見ていくわけでしょうか。それともケースワーカーの働きに期待するところがあるんでしょうか、その辺お願いします。
○議長(池田滋彦)
 福祉子ども部長。
○福祉子ども部長(毛受秀之)
 現状、今ケースワーカーは現行の法のもとに遵守しながら業務やっておるわけですが、そういった方に対するジレンマというのが現状あるというふうに聞いておるんです。
 今の現行でいきますと、そういった方では生活保護が切れるのか、強制的に切れるかというそういうことは、今現状もできませんし、やはり今の現在でいきますと、地道にやっていく以外には手はないのかなと。逆に家庭訪問も頻繁に、また来たのかということじゃあ言葉は悪いかもしれませんけど、それぐらいにしていかざるを得んのかなと。今、御心配される案件につきましては、私もその辺は大変危惧はしております。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 それでは、社会福祉ということを考えてみたいと思いますが、社会福祉は人間を否定するのではなく、どの人も変わるという限りない信頼を持つことが原点となっていると思います。
 生活保護の就労指導も初めから働く意欲のない人、だめな人とレッテルを張る排除するのではなく、貧困から抜け出し、暮らしをよくしたいと願う人々へのきめ細かな福祉援助を行っていただくものなのであります。
 したがいまして、知立市の就労指導、就労支援について適正に行われているかどうか、また、就労に対する具体的な選択肢を提供できる準備はできているのかどうか。つまり、求人情報やハローワークへの同行相談、就職依頼などの就労支援についての実態をお聞かせ願います。
○議長(池田滋彦)
 福祉子ども部長。
○福祉子ども部長(毛受秀之)
 現実的な就労支援ということで、今現在、パートの支援員が週3回来ていただいて、直接的にハローワーク等の情報、また、本人との面談の中で、この方の合った適正な職種は何だろうかとか、会社に直接電話したりして相談に応じております。
 ただ、前にも御指摘をいただいた中に、3日間ではなくてもう2日、毎日おるような体制をという御指摘をいただいております。
 そのことについては、今後といいますか、来年には必ず毎日体制できるようには必ずしていきたいなというふうに思いますし、また、民間の力をお借りしてという他市のそういった実例もお聞きしておりますので、その辺もどのような形でやってみえるかということもちょっと検討させていただいて、いずれにしても今以上な就労に向けた体制づくりはしていきたいというふうに思っております。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 就労支援員のこの増員ということは、よろしくお願いします。
 それで、福祉子ども部長は、ことしの仕事宣言にて生活保護費受給世帯、特に就労可能な世帯に対する生活状況や就労状況を把握し、より生活保護の適正化を図っていきます、こうおっしゃっておられます。部長のおっしゃる自立支援の適正化とはどういう状態が適正となるのでしょうか。
○議長(池田滋彦)
 福祉子ども部長。
○福祉子ども部長(毛受秀之)
 私が年度当初、仕事宣言であげた一つに生活保護の適正化ということをあげさせていただきました。
 今、御質問者おっしゃいました私の生活保護の適正化という思いですが、ほかに頼れる方もなく、生活に困窮しているなど生活保護でなければ生きていけないと判断し、迅速な保護開始を決定して給付すること。また一方、被保護者には能力に応じて勤労に励み、節約を図るなど、生活の維持向上に努める義務と収入等の届出の義務、市の指導、指示に従う義務、そういったことをきちんと果たしていただくよう指導、支援するものを私としては適正化というふうに解釈しております。
 以上です。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 わかりました。よろしくお願いします。
 それで、先ほどちらっとケースワーカーの話が出ましたが、貧困の原因、就労の希望職種は人それぞれに多種多様であり、同じ方はいません。ケースワーカーにはこれらの原因、希望職種に応じた対応が期待されるわけですが、豊かな人間性と自治体政策に関する幅広い知識と専門性が必要となるわけでありますが、就労支援員、ケースワーカーのレベルアップ、この就労に至ったケース等の他市との情報交流、これはどのようになっていますでしょうか。
○議長(池田滋彦)
 福祉子ども部長。
○福祉子ども部長(毛受秀之)
 今、当市先ほど申しました6名のケースワーカーと1名の査察指導員で生活保護業務を行っております。
 当市のケースワーカー1名に対する対象としている世帯は、今現在は75世帯、国で児童福祉法でいってる標準という80世帯には達しておるわけですが、以下ですので準則しているわけですが、現在レベルアップということでは、新規のケースワーカーにつきましては県主催の研修会が開催された折には参加をしますし、年2回の西三河7市の査察指導員、ケースワーカーの会議も開催されますので、それにも出席しております。
 それから、いろんなケースがあります。そうしたときには、福祉課内の担当のケースワーカーと私、課長も含めて全員で協議をしてどういった方向、また、ケースのするしないといった判定も行って、それから就労支援員につきましてもレベルアップするようにいつも常には情報の共有というようなことは常にとっております。
 以上です。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 よくわかりました。ありがとうございます。
 ケースワーカーについてお尋ねします。
 ケースワーカーは、生活保護制度を執行する単なる行政マンではなく、社会福祉事業として専門性を認知された福祉的援助の担い手であって、国民の最低生活の保障と自立支援への助長のために必要なすべての援助活動がケースワーカーの仕事ということであります。
 ケースワーカーは、非常に専門性の高い職種です。だけど個々のケースワーカーの背負うものがあまりにも重すぎます。新規保護申請者数はふえている中で、保護申請時の面談は重要なので、いいかげんな対応では禍根が残る。しかし、忙しいと、とりあえず保護しようとか、追い返そうとなりかねない非常に危険な状態との指摘もあります。日常的に生活保護相談、調査、支援活動などふえ続ける中で、毎日追われている昨今のバッシングもあります。
 そんな中で、仕事がすごく負担となって体調不良を起こし、精神的にも肉体的にも疲れきっている状況では、市民の生活保護行政に対する信頼も失われてくるのではないかと心配するものであります。だからこそケースワーカーが額に汗して懸命に頑張っていることを多くの方に知っていただきたいし、困難なケースを抱えて時には言われなき罵倒を浴びながらも頑張っている彼らを応援したいと強く思っております。
 そこで質問ですが、知立市の生活保護担当ケースワーカーの仕事の実態はいかがでしょうか。先ほどこれは2000年に改正されました自治法によりますして現業員配置基準が今までは80人というふうに言われてましたように、部長が御披瀝ありましたように、これは基準から標準ということになりました。先ほど部長は、1人当たり75名の方を今、受け持っているという基準というふうにおっしゃられましたけれども、やはり標準ですので、これが75名がほんとに妥当なのかどうかということは、もう一度検証していただきたいと思います。まず、実態をお聞かせください。
○議長(池田滋彦)
 福祉子ども部長。
○福祉子ども部長(毛受秀之)
 先ほど議員よりケースワーカーの職務について大変激励というか、力強い言葉をいただき、ケースワーカーにかわってお礼申し上げます。
 今現在、ケースワーカーの業務ということで、ちょっと簡単に御紹介させていただきます。
 ケースワーカーの日常実務としましては、窓口での相談では制度の仕組みを十分に説明するとともに、貸付、融資など他法の施策の活用等についての助言を行っております。そして、申請時には被保護者の権利と義務を説明をし、また、判定に必要な書類を提出してもらい、申請の希望が確認された場合は受け付けをしております。
 次に、保護の要否判定におきましては、当初、訪問所得調査、扶養調査等を実施しますが、時間等がかかる場合は2週間以内に保護を開始し、自己資産等があった場合は後日返還ということもございます。保護開始後、処遇方針を決め、稼働可能であれば、先ほども議論ありましたが就労のための指導、助言を行うと。また、自宅訪問を実施します。
 自宅訪問の実態ですが、基本的には毎日1名のケースワーカーが訪問を実施するように振り分けております。最低年2回から月1回以上のケースワーカーの判断により、必要に応じて家庭訪問をしておるわけです。給付は毎月5日に保護費の支払いを実施するために各ケースワーカーが担当分について収入認定や加算状況等を確認し、支給金額を確定しております。
 また、生活状況等の変化により支給金額が変更になった場合もあります。そうした場合は、追加、充当、返還等の処理も行っております。
 それから、ケースワーカーはいろんな人を担当しており、法を遵守していますが、中には被保護者においてその義務を十分果たしていないのに権利を主張し、威嚇されたりなじられたり、日々大変な仕事をしているという現状もありますので、御報告させていただきます。
 以上です。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 ありがとうございました。
 それで、先ほど部長の答弁の中に、ケースワーカーによる家庭訪問を頻繁にして行っていきたいというプログラムまでいかなくてもケースワーカーで対応したいという答弁もございました。
 それで、頻繁にということであれば、今、週1回、2回、2週間に1回といろいろあるかと思いますけども、今回6人になりましたが、しかし、刈谷市、安城市、高浜市、碧南市、この近隣の実質受け持っている就労支援人数が25人で受け持っているんですね。担当しているのが340人。ですから、1人当たり今、知立市以外ですと平均が60人の方を担当しておるんですけども、それから見ましても、知立市はまだまだ多いんじゃないかと思います。いかがでしょうか。
 今の現状6人で十分にこれから自立支援を促していけれるということはお考えでしょうか。それとも、もう少しふやしたほうがいいかなというふうにお考えでしょうか。
○議長(池田滋彦)
 福祉子ども部長。
○福祉子ども部長(毛受秀之)
 昨年度から5名から6名に1名増加ということの体制で進んでおるわけですが、私、担当者とも話をした中では、今の現状で十分とはいきませんが、ある程度の支援ということは可能であると。これは今までがあまりにも厳しかったということの裏返しかもしれませんが、ケースワーカーの担当の話を聞いていますと、現状で何とかいけれますという話は聞いております。
 以上です。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 わかりました。
 では頑張っていただきまして、ぜひ他市と同じぐらいのところまでのその他世帯にしていただければと思います。
 2番目に、保護世帯で育った子供たちが大人になっても再び保護に陥る貧困の連鎖を防ぐ教育支援について質問をいたします。
 平成22年国民生活基礎調査によりますと、2009年の貧困線は112万円となっており、総体的貧困率が16%、子供の貧困率は15.7%、ひとり親世帯の貧困率は50.8%、つまり我が国は国民の6人に1人、子供の6人に1人、ひとり親世帯の2世帯に1世帯が貧困状態で、この貧困率はアメリカに次ぐ貧困大国日本になりました。このデータはリーマンショック直後でしたので、多分今ごろは、さらに悪化していると思います。
 そして、小学生、中学生とも生活保護受給者の比率が右上がりにふえてきています。小学生の場合、2000年からこの10年間で1.5倍の伸びです。中学生の伸び率はもっと大きく、1.8倍となっています。格差社会化の進行が子供の世界に影を落としていることが、よくわかります。
 また、2008年度全国学力テストによりますと、国語の場合を例にとりますと、年収が1,500万円の家庭と200万円から300万円の家庭では国語の点数に倍以上の差があり、年収と点数は比例しているとの結果があらわれています。
 先ほどの貧困線が112万円ですので、112万円未満が16%でしたから、そういう貧困家庭だと1,500万円の所得のある方の約3分の1しか取れないということになります。これは本人の努力ともはや関係のないところにきているように私は思います。
 世の中では、生活保護家庭の子は自立しにくく、また、みずから生活保護受給者になってしまうといわれることがあります。貧困の連鎖ともいわれています。2007年の調査では、生活保護世帯の25%はみずから育った家庭も生活保護、生活保護世帯の世帯主の学歴は中卒、高校中退が73%とのデータがあります。このようなことから、教育支援のねらいは保護世帯で育った子供たちが大人になっても再び保護に陥る貧困の連鎖を防ぐことにあります。
 とりわけ貧困の連鎖防止に効果があるのが、高校への進学及び卒業だといわれています。当市のことし春に卒業した保護世帯の中学生のうち、50%の方が全日制公立高校へ進学しました。来春卒業予定の保護世帯中学生で46%の方が全日制公立高校へ進学の意向を示しています。愛知県では、平成23年3月卒業した全中学生での進学率が97.5%、これは保護世帯と大きな隔たりがあります。
 では、高校へ進学及び卒業するにはどうすればいいのか。これは埼玉県が行っている受給者教育支援事業を紹介しますと、2010年9月にスタートした支援で、教員OBと大学生ボランティアが特別養護老人ホームで学習教室を開き、生活保護世帯の中学生に、ほぼマンツーマンで勉強を教えています。週2回の教室に通う中学3年生の女子生徒は、テストの点数も上がり、参加したかいがありましたと話し、大学生ボランティアは、生徒から頑張って今の学力より上の高校を目指したいと言われたときは本当にうれしかったと顔をほころばせていたそうです。
 そして、その実績は目に見える形であらわれ、2011年度の中学3年生の対象者801人のうち、教室参加者は305人と全体の4割近くで達し、参加者の高校進学率は97%に上昇をしました。制度開始前の保護世帯の高校進学率と比較すると、実に10ポイントも増加しており、こうした成果を受けて県は2012年度から教員OBなどの支援員及びボランティアの人員をそれぞれ増員し、学習教育も10カ所から17カ所に増設しているとの報告があります。
 教育支援の取り組みの統括責任者は、こんなに多くの中学生が教室に通ってくれるとは、休み時間を削って勉強に打ち込むなど、大きな変化をした子もいます。こうした場が求められているのだとつくづく感じていますと学習教育の重要性を語っていました。
 また、七、八割の子供が学習塾に通うといわれる東京都では、塾に通う子供と通っていない子供との間に学力の差が出てしまいがちなのが現実です。例えば小学校6年生では、学校外教育費の月間支出が0円の世帯と5万円以上の世帯とでは算数の点数に2倍以上の開きがあり、学習の難易度が上がる中学、高校と進むにつれて学校の授業だけで学力をつけることが一層難しくなることは想像されています。
 しかし、保護家庭では子供に学習の意欲があっても塾に行かせられないことも多々あり、結果的に子供の学力、さらには高校や大学進学にも影響を与えかねません。
 また、横浜市の教育支援で受講した生徒は、高校に行ってみようと真剣に考えるようになった。家でやるよりもここでやるほうが集中してできるなどの声が聞かれ、卒業生の高校生も来ており、後輩の相談に乗っているようです。勉強を教えてくれた大学生のように、私も大学に行っていいのだと思えるようになりました。高校でもしっかり勉強して、将来は先生になりたいと決意していますと報告があります。
 生活保護家庭の子供は進学率が低く、中退者も少なくない。この貧困の連鎖を断ち切るために就学支援などを行い、子供たちが安心して学習できる環境こそが大切であると痛感します。
 福祉子ども部長にお尋ねします。
 本市においても生活保護世帯の中学3年生の学習環境の整備と放課後の居場所づくりにぜひともこのような学習支援教室が必要不可欠なものであると考えますが、設置についての御所見をお聞きいたします。
○議長(池田滋彦)
 福祉子ども部長。
○福祉子ども部長(毛受秀之)
 高校進学につきましては、現在のお話をさせていただきますと、当然ながら高校進学の重要性ということはケースワーカーから保護者にお話をさせていただいております。
 また、就学費や通学費などが保護費から対応できるということも説明もさせていただいております。たまたま今現在では高校無償という、一部支給できないとか無償ではない高校もあるかもしれませんが、そういったこともあります。
 私どもとしての市の単独ということでそうした塾といいますか、そういった生活保護の方を対象にした単独での事業というんですか、高校に向けての事業としては、なかなか今のところちょっと難しいのかなというふうに思っております。
 以上です。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 高校無償化というのは、これは関係ないんですけど、高校に入学する前にどういうふうな教育を保護世帯の子供たちにしていくかということをまず考えていただきたいんですが、生活保護扶助費の中にいろいろ含まれましたもののその一部が食費に回ったりとかいろいろするわけだと思います。ですから、これはお金じゃなくて、そういう場とか物、現物支給という形ですかね、先生だとかOBだとかいうことの形で子供たちの学力アップのためのことをしていただきたいと思います。これは要望しておきます。
 教育長にお伺いいたします。
 私は、ここまで福祉行政の側から、るる質問してまいりました。厚生労働省の生活支援戦略中間まとめによりますと、貧困の連鎖の防止等の観点から、地域において教育関係機関と福祉関係機関が連携して幼年期、学齢期の子供や高校中退者、不登校者及び課題を抱える家庭等に対する養育相談や学び直しの機会の提供も含めた学習支援を積極的に展開するとあります。学び直し、やり直し、勤め直し、こういうことができる社会であればと私は思っています。
 貧困はあるかもしれないけれども、貧困が連鎖すれば社会は停滞します。私は、貧困の連鎖を断ち切るためには、本来、国において福祉、教育、雇用などを含めて総合的な対策を考えなければならないと思いますが、今の政権には期待ができません。地方行政からと思っています。
 教育支援による生活保護世帯の高校進学を支援し、子供の将来の可能性を大きく広げることは、将来の我が国の基盤を強化する上で、大きな意味を持っているものだと思います。貧困の連鎖防止に向け、教育行政が福祉行政と連携した支援への取り組みについて見解をお聞きいたします。
○議長(池田滋彦)
 川合教育長。
○教育長(川合基弘)
 今いろいろなお話をいただきました。家庭の経済的な理由によって学習の機会が失われる、こういうことがあるとすれば、子供にとっても保護者にとっても大変不幸なことであります。
 教育の機会を均等に施すために、今先ほどは生活保護の話がずっと出てきましたが、小・中学生を持つ家計が苦しい家庭、要保護家庭あるいは準要保護家庭に対して就学援助を行っています。なかなか日本の経済が立ち直らない中、就学援助を受けるこういった家庭が年々ふえています。
 経済的な理由で学習塾に行けないということについてですけども、調査したことはありませんが、実際そういうことは経済的に厳しい家庭では、やはり学習塾に行く機会が少ないだろうなということは想像できます。
 ただ、小・中学校における公教育は、学習塾に行くとか行かないとかいうことではなくて、経済的な格差によって学力差が生まれてはいけない。つまり一人一人が学校の授業でわかる、そういったことを我々としては一生懸命取り組んでいかないかんというふうに思っています。
 そのために教育委員会としては、少人数学級を充実させたり、あるいはきめ細かな指導対応教員を配置したり、教員の授業力がですね、子供たちがわかる授業ができるようなそういう力をつけるための教員に対する研修などを充実させることによって、学校での授業で子供たちが少しでも理解ができるように努めているところであります。
 また、高校進学に向けて支援の必要な家庭に対しては、奨学金制度を御利用していただき、貧困の連鎖によって能力が発揮できない、そういう状況が生まれないように努力をしているところであります。
 今、御質問と御提案の中で、福祉行政と教育行政の連携についてというお話がありました。
 ただ、今現在は、そのことについては特にこういったことを考えてるといったアイデアは持ち合わせていませんが、今後課題とさせていただきたいと、そんなふうに考えています。
○議長(池田滋彦)
 2番 明石議員。
○2番(明石博門)
 ありがとうございました。
 市長にお伺いいたします。
 貧困に至る原因は、共通して失業などの雇用問題ではないでしょうか。応急対策としての生活保護は必要ですが、雇用問題の解決なくして貧困問題は解決できない。雇用と教育をセットにした取り組みが必要だと考えます。
 失業者は精神的に傷を負っているか、社会とのかかわりに苦手意識を持っていることが多いようです。再就職しようにも工場で働いていた労働者に、次は農業だといっても無理があります。しっかり再教育、訓練を受け、今の社会で生きていくために生涯教育に予算と時間をかけること、また、再び自立できる仕組みも不可欠と考えます。
 我が党も就労収入の一部を積み立て、自立時に活用できる制度の導入も訴えています。最近、各自治体は、就労支援や住居の優遇策などで、受給者ができる限り自立できる道の支援策を研究をしています。
 林市長は、自立や就労に対する促進策や制度改正などを今後どのようなスタンスで取り組もうとされているのか、基本的な考えをお聞きして私の質問を終わります。ありがとうございました。
○議長(池田滋彦)
 林市長。
○市長(林 郁夫)
 生活保護受給者世帯の自立支援に対する考え方であります。
 先ほど来、部長申し上げましたように、ケースワーカー、そして就労支援員の人事的な側面としては、そういったことを充実させていくこと、とりわけケースワーカーは今75人に対して1人でありますけれども、来年度に向けて、これも部長申し上げましたように、就労支援員でありますけれども、今、週に平日3日でありますが、これは平日は毎日来ていただいて、できるだけ自立の可能性のある方をハローワーク等に引率していただいてジョブマッチをしていただく、そんなことを積極的にやっていきたいと思っております。
 あわせて、その他世帯の方々というのは非常にひきこもりタイプと申しますか、なかなか心的に精神的に消極的になっていらっしゃる方も多いというふうにお聞きをしているわけでありまして、そうした中で、先ほど来御紹介いただきました釧路方式などは、やはり私も一つの考え方としていいのかな。ボランティアの活動にまず取り組んでいただいて、社会性を身につけていただいて、そしてお仕事についていただく、そうした方向性もいいのかなと。また、ボランティアに限らず生涯学習活動でもいいのかな、また、コミュニティ活動でもいいのかな。とにかく社会活動になれていただいて、そして、その中からお仕事に行くための意欲を身につけていただく、そんなことも大事なことかなと思っております。
 いずれにしましても、これからも生活保護の受給者の方々の自立の支援について、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。
○議長(池田滋彦)
 これで2番 明石議員の一般質問を終わります。
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○議長(池田滋彦)
 以上で、本日の日程は全部終了しました。
 本日は、これで散会します。
午後5時57分散会
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