令和5年度 施政方針

更新日:2023年10月30日

はじめに

 本議会は、令和5年度(2023年)の当初予算案を審議していただく議会でもありますので、私の所信の一端を申し述べます。

子ども・子育て支援に関しての取り組み

 本年4月、いよいよこども家庭庁がスタートします。
 国として、これまで以上に、子ども関連施策が推進されていくものと期待するところであります。

 知立市は、今から10年ほど前の平成24年(2012年)、「知立市子ども条例」を制定しました。

 以来、平成27年(2015年)に策定した第6次知立市総合計画の基本的な方針において「子どもや子育て世帯の暮らしやすさの向上」また、基本理念において「次代を担う子どもを豊かに育むまちづくり」を掲げるなどし、様々な施策に取り組んできているところであります。

 まずは、学校教育であります。
 私たちは、未来を、子どもたちに託していきます。
 政治、経済、文化、芸術、スポーツ、科学など、一人ひとりの子どもには、無限の可能性があると同時に、それぞれの特性があります。

 学校の先生方には、一人ひとりの子どもにしっかり目配り心配りをし、子どもの悩みに応えていただくとともに、子どもの長所や能力を引き出し、伸ばしていただくことを期待するところであります。

 そうした中、国では、令和3年度(2021年度)から令和7年度(2025年度)にかけて、段階的に、小学校全学年での少人数学級(35人学級)に取り組んでいくこととしておりますが、知立市では、令和5年度(2023年度)も引き続き、小学校全学年の少人数学級(35人学級)の実施や、小中学校全校へのサポート教員につきましては更に増員をしていくなど、きめ細やかな教育環境づくりに努めていくほか、引き続き、スクールソーシャルワーカーを学校教育課において採用し、学校からの要望に応じ、また、必要であると思われる学校への派遣を行ってまいります。

 また、令和5年度(2023年度)は、新たに、中学校部活動指導員配置事業やコミュニティスクール統括コーディネーター配置事業、また、教員業務支援員配置事業、保健対応養護教諭補助員配置事業など、より良い教育環境づくりのため、様々な視点で新たな事業に積極的に取り組んでいくとともに、小中学校の特別教室へのエアコン設置などの環境整備も進めてまいります。

 また、オンライン教育、プログラミング教育も着実に進めてまいります。
 今の学校の様々な問題の根には、「みんなで同じことを、同じペースで、同質性の高い学級の中で、教科ごとの出来合いの答えを、子どもたちに一斉に勉強させること」といった慣習的なシステムに原因があると、ある書物に書かれていました。
 そして、この問題を解決するための一つの方向性が、「指導の個別化」です。100年程の実績があるドイツの「イエナプラン教育」やアメリカの「ドルトン・プラン教育」が注目されており、その手段のひとつが一人一台パソコンを配備することなどであります。また、コロナ禍においては、一層のオンライン教育の必要性が言われています。
 令和5年度(2023年度)も、ICT教育を着実に推進してまいります。

 また、子どもたちの放課後の安心安全な居場所づくりとして、引き続き、放課後児童クラブと放課後子ども教室との連携を図っていくほか、保育園、児童センター、児童クラブの施設整備を引き続き実施いたします。あわせて、多胎児家庭への支援として、「多胎児家庭健診サポート事業」や「産後家事援助費助成利用期間の延長」、また、「多胎児家庭への一時保育利用日数の拡充や利用料の負担軽減」、「多胎児家庭へのファミリー・サポート・センター事業利用料補助」、「多胎妊婦の健診を5回分追加」などを実施し、多胎児家庭を引き続き応援してまいります。

 併せて、令和5年度(2023年度)より、新たに、保育士の業務負担を軽減し、保育士の離職防止を図ることや、将来の保育人材の確保・スキルアップを行うことを目的に、民間保育所等保育補助者雇用強化事業を行っていくほか、公費による産後健診を1回から2回に拡充するなど、令和5年度(2023年度)も、にじいろニコニコ事業の拡充と着実な実施を図りながら、「子どもを産み、育てるならば知立」と、多くの皆様方に評価していただける環境づくりに、引き続き取組んでまいります。

安全で安心できるまちづくり

 次に、安全で安心できるまちづくりに向けての取り組みについて申し上げます。
 まずは、防犯対策についてであります。

 過去、知立市において、犯罪発生件数が最も多かった年は、2009年(平成21年)で、年間件数が1,883件と、人口比率では愛知県でワースト1位でありました。
 しかしながら、昨年は472件と、1,400件以上の減少となるなど、着実に減少に転じています。

 令和5年度(2023年度)も、犯罪を無くすため、防犯パトロールの実施や4,500基を超えてきている防犯灯につきましては更に増設をしていくとともに、防犯カメラにつきましても、従来の町内会等への防犯カメラの設置補助や公園や学校などへの設置のほか、令和5年度(2023年度)も、警察と連携しながら、市道など街頭への設置につきましても、台数の更なる増加を図ってまいります。

 また、令和4年度(2022年度)に導入しました特殊詐欺対策電話機器等購入費補助事業などの啓発を図り、特殊詐欺の撲滅に努めていくほか、警察署、安城市、知立市とで締結させていただきました、「ドライブレコーダーに記録された画像の提供に関する協定」などをもとに、犯罪や交通事故または、住民の安全を脅かす事案が発生した場合などに、警察署と連携して、迅速に、事案解明などに取り組み、より安全で安心なまちづくりを推進してまいります。

 また、交通事故撲滅に向けては、年間を通じての様々な啓発活動の実施や、児童生徒等及び高齢者を対象とした自転車乗車用ヘルメットの購入費補助事業を継続するほか、引き続き、中高生を対象とした200日間自転車無事故無違反ラリーの実施、道路区画線などの明瞭化や道路反射鏡などの交通安全施設の設置、また、高齢者の運転免許証の自主返納支援事業の促進などと併せ、75才以上の皆様方へのミニバス運賃の無料化制度の周知を図るなどしながら高齢者ドライバーによる交通事故防止を図ってまいります。

 また、安心安全の強化には、警察力の更なる充実化が欠かせません。
 「市内西部地区への交番設置」、「幹部交番の更新」、「知立警察署の設置」、「昭和警ら連絡所の存続」について、引き続き、要望活動をしてまいりますので、ご支援よろしくお願いします。

 次に、防災対策についてであります。
 この地域にも、トルコ・シリア大地震のような大きな自然災害がいつ発生するかわかりません。
 令和5年度(2023年度)は災害発生時の連絡手段としてIP無線の導入や、すぐメールの更新を行い対策を推進していきます。
 愛知県には、猿渡川河川改修などしていただいていますが、引き続き、着実に、猿渡川や逢妻川の河川改修事業が実施されるよう要望してまいります。
 併せて、業務継続計画(BCP)をもとに、更なる訓練や検証を行っていくほか、引き続き、令和5年度(2023年度)も、名古屋大学減災連携研究センターへ職員派遣を行うなどし、防災に関しての研鑽を積んでまいります。

 知立市において、南海トラフ地震が発生しますと、約4300棟の家屋が倒壊し、約200名の方がお亡くなりになるという被害想定が出ています。
 引き続き、防災ラジオ配布事業、家具の転倒防止や家屋の耐震化の啓発を行うほか、多世代同居を条件とした家屋への耐震化の支援制度も実施してまいります。
 また、重要給水管の整備促進や橋梁の長寿命化、用排水路の改修なども引き続き実施してまいります。

 また、防災士の養成に対しての支援事業のほか、消防団や自主防災会のより一層の活性化が図られるよう引き続き努めてまいります。あわせて、多くの市民の方々の防災訓練などへの参加促進も図ってまいります。

 知立市は、愛知県外6自治体と災害時相互応援協定を締結し、市内民間宿泊事業所とは「大規模災害時における宿泊等確保に関する協定」、また、各福祉施設とは、「災害発生時における福祉避難所の設置運営に関する協定」などを締結しています。
 令和5年度(2023年度)も、防災協定自治体など既存提携団体との連携強化や、災害時に備え、様々な視点で、更なる民間事業者や各種団体などとの提携や協定の締結に努めていくなどし、大災害発生時にも、知立市からは犠牲者をひとりも出さない、そんな取り組みを、自助・共助の重要性や必要性を訴えながら、市民の皆様方とともに進めてまいります。

福祉への取り組み

 次に、福祉への取り組みについて申し上げます。
 一人ひとりの尊厳を重んじ、人と人とのつながりを基本として、困った時に助け合う「顔の見える関係づくり」や「ともに生きる社会づくり」のため、様々な施策を推進してまいります。
 例えば、「福祉を育む意識づくり」として、イベント等における地域福祉についての啓発や、市民活動団体などへの取組み支援、また、職員が、高齢者や障がい者の方々に、寄り添った対応ができるよう、福祉関連の職員研修についても引き続き実施してまいります。

 また、障がいのある方への支援について相談業務を実施するほか、相談支援センター相互の連携を図るとともに、業務に従事する相談支援専門員に対して専門的研修等を実施するなど、障がい者の方々への支援体制をより一層充実させるように努めてまいります。

 一方、超高齢社会に向けての取組みであります。
 「100歳元気なまちづくり」とし、今後も、更なる健康推進や介護予防などの視点で、超高齢社会に向けて取組んでまいります。
 まずは、高齢者の方々が身近なところで活動できる場所づくりとして、現在、まちかど運動教室が18か所、高齢者サロンが25か所それぞれ開催し、更に、LINEから参加することができるオンラインまちかど運動教室も開催しており、更なる設置数の拡大とともに更なる活動の充実化を図ってまいります。

 また、介護保険や認知症のことなど、高齢者の皆様方の課題が相談できる「東部地域包括支援センター」と「西部地域包括支援センター」を、しっかりと周知させていただきながら、気軽にご相談していただけるような環境づくりにより一層努めてまいります。

 そして、今後、超高齢社会の進行に伴い、認知症の方も増えてくることが想定されます。認知症を理解する、社会全体で支えていく、そのような環境づくりに向け、認知症サポーター養成講座を多くの皆様方に受講していただくほか、メール配信を通じ、地域の皆様で、認知症徘徊者などを捜していただくシステム「いまどこネット」を、より多くの方にご登録いただけるような啓発活動や地域での認知症カフェの開催場所を増やす取り組みを行ってまいります。

 また、知立市は、平成12年度(2000年度)に生涯学習都市宣言をして以来、多くの高齢者の皆様方が、スポーツ活動や文化・芸能活動、ボランティアや地域活動などの生涯学習活動に精力的に取組んでいただいています。
 ある高齢者の方は、朝はラジオ体操をされ、それが終わると、地域において子どもたちの通学の見守り活動をし、そして、午前中はグラウンドゴルフ、午後からは、図書館やカラオケ教室に行かれたりと、生き生きとした毎日を過ごされています。
 これからも、より一層、生涯学習活動に参加したくなる、また、生涯学習活動がしやすい環境づくりに取り組むなどしながら、「100歳元気なまち」を目指してまいります。

 また、高齢化比率と外国人比率が、高くなっている昭和地区においては、より良いコミュニティづくりなどの視点から、昭和未来会議を開催していくほか、生活困窮世帯を対象とした子どもの学習支援につきましては、令和4年度(2022年度)は、従来の生活保護世帯及び生活困窮世帯の中学生に加え、ひとり親世帯の中学生を対象とする拡充を行ったところでありますが、令和5年度(2023年度)からは、新たに、これらの世帯の高校生も対象としてまいります。

 東京大学名誉教授の神野直彦氏は、「生活困窮は低所得だけで生じるわけでなく、『あたたかい手と手をつなぐ』人間関係に包まれなくなった時に生じる。」と仰っておられます。
 知立市を家族のように家庭のように感じることのできる心の通うあたたかいまちにするためにも、自助力、共助力の重要性を申し上げながら、引き続き、各施策に着実に取組んでまいります。

環境に関しての取り組み

 次に、環境に関しての取り組みについて申し上げます。
 近年、地球温暖化に起因すると思われる猛暑や局地的豪雨などが毎年のように発生し、深刻な被害をもたらしています。これは、まさに気候危機と呼ぶべき状況に直面しており、地球温暖化防止は待ったなしの状況であります。
 引き続き、「省エネ活動の推進」「再生可能エネルギーの導入・支援」「廃棄物の削減」「環境教育」などの施策を進めてまいります。

 「省エネ活動の推進」、「再生可能エネルギーの導入・支援」事業としましては、令和5年度(2023年度)、新たに、市内の中小企業者などがカーボンニュートラルを推進するため、省エネルギー診断や省エネルギー設備及び再生可能エネルギー設備の導入、また、次世代自動車等の購入などに要した費用の一部を補助してまいります。

 市民の皆様に対しましては、バイオマス・ポリエチレン(植物由来の原料)を配合した環境にやさしい家庭用可燃ごみ指定袋への切替えを令和4年度(2022年度)より行っております。また、太陽光発電や、家庭用エネルギー管理システム (HEMS)、また、定置用リチウムイオン蓄電池システムなどへの導入支援のための予算を計上するとともに、ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ゼッチ(ZEH))の普及促進にも努めてまいります。

 また、令和4年(2022年)に立ち上げました「刈谷知立みらい電力株式会社」において、その目的であります「エネルギーの地産地消」、「知立市・刈谷市の脱炭素化」が、着実に図られるよう、推進してまいります。

 また、令和5年度(2023年度)、スギ薬局知立福祉アリーナや猿渡公民館、また、昭和テニスコートなどの照明をLED化していくほか、公共施設全般において、太陽光発電設備設置の更なる可能性についての調査検討をしてまいります。

 続きまして、「廃棄物の削減」「環境教育」であります。
 知立市は、環境美化推進条例により環境美化市民行動の日としてクリーンサンデーを実施しております。また昨年、開催し好評でありました、ゴミ拾いをしながら、健康増進、コミュニティの醸成などが期待されるSDGsスポーツ「プロギング」を令和5年度(2023年度)も実施していくとともに、知立市議会市民福祉委員会よりご提案いただいたリサイクル率を高めるべく「古紙・古布回収」について、公共施設における回収場所を拡大するなど、積極的に取り組んでまいります。
 ポイ捨てや犬のふん放置については、環境美化推進員による啓発や指導で、着実に成果は出てきており、引き続き、ふん害撲滅のためのイエローカード作戦や、「愛犬マナー宣言」をしていただいた方への「愛犬マナーポーチ」配布事業を行います。また、多言語にも対応した「ごみ出しガイドブック」や、「ごみ出しカレンダー」などでの啓発に努めるとともに、移動式の不法投棄監視カメラを設置することで、不法投棄の防止を図ります。

 また、「飼い主のいない猫」の増加は、フン公害など様々な社会的課題を発生させていることから、令和5年度(2023年度)、新たに、地域ねこ活動で捕獲した「飼い主のいない猫」の不妊去勢手術に要する費用の一部を補助してまいります。

 環境に関しての取り組みとして、着実に取り組んでまいりますので、皆様のご理解ご協力よろしくお願いします。

健康に関しての取り組み

 次に、健康に関しての取り組みについて申し上げます。
 まだまだ新型コロナウイルスの感染拡大が懸念されます。
 手洗い、うがいなど、予防に努めていただきますよう、よろしくお願いします。

 健康であることは、全ての市民の願いであります。
 引き続き、妊産婦・乳幼児健診事業、特定年齢がん検診推進事業、インフルエンザや高齢者肺炎球菌のワクチン接種事業を実施していくとともに、新型コロナウイルスワクチン接種につきましては、引き続き、国の指針に基づき、適切に取り組んでまいります。

 また、引き続き、特定健康診査、後期高齢者健康診査を通じ、糖尿病重症化予防プログラム、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な事業を実施し、疾病予防、重症化予防に取組むとともに、更なる健康推進のため、健康マイレージ事業の普及促進にも努めてまいります。

 また、令和5年度(2023年度)も、公園・散歩道の整備、学校グラウンドなど学校施設の有効活用、また、各種スポーツ教室の開催や高齢者スポーツへの支援、ラジオ体操の普及促進など図りながら、「いつでも どこでも いつまでも」スポーツに親しんでいただける環境づくりにも努め、健康を推進してまいります。そうした中、令和5年度(2023年度)、スギ薬局知立福祉アリーナの主競技場にエアコン設置を図るとともに、知立市議会建設水道委員会よりご提案を頂戴しています、知立市では初めてとなりますインクルーシブ遊具整備につきましても、今後事業化し、着実に進めてまいります。

 また、歯の健康は、心身の健康に大きく関係します。
 引き続き、80歳で自分の歯が20本以上有る方・90歳で自分の歯が20本以上有る方を表彰する「8020・9020いい歯の表彰式」を実施するほか、引き続き、障がい者施設通所者・歯科検診補助事業を実施するなどし、歯の健康づくりを応援してまいります。

 令和5年度(2023年度)も、第2次健康知立ともだち21計画の基本理念である「すべての市民がともに支えあい、希望や生きがいを持ち、各世代に応じた健康づくりを実践するまちづくり」を目指し、着実に進めてまいります。

産業振興とまちの活力づくり

 次に、産業振興とまちの活力づくりについて申し上げます。
 100年に一度のまちづくりとして進めています知立駅周辺整備事業を令和5年度(2023年度)も着実に推進してまいります。
 鉄道高架事業においては、いよいよ令和5年(2023年)3月、名古屋本線の豊橋方面行きが先行して高架部分に切り替わり、本線の踏切遮断時間が短縮されます。また、令和5年度(2023年度)には、三河知立駅が竜北中学校周辺に移設開業予定です。
 今後、それぞれ記念事業を行うなどしながら、市内外に、事業進捗の状況を積極的に発信してまいります。

 併せて、知立駅周辺の賑わいづくり・魅力づくりについても着実に進めてまいります。

 例えば、バス停機能の強化であります。
 現在でも、知立駅前は、路線バスや中長距離バス、また、企業や学校の送迎車両など、バスの発着本数がひじょうに多いところであり、多くの皆様方が行き来されておられ、乗り換えの際に、駅付近の飲食店や医療機関などを利用される方もいらっしゃいます。

 このうち、企業や学校の送迎車両については駐車スペースが限られ、特に朝夕の混雑時に路上で乗降している現状もございます。このため現在、試行的に企業バス等の送迎車両の乗降所を整備し、ご活用いただいております。今後、活用状況などを注視しながら、将来的な方向性などについて更に検討してまいります。

 また、令和4年度(2022年度)は、知立駅付近の公共空間を利用してマルシェを開催してきました。令和5年度(2023年度)は、より知立駅に近い場所を、例えば、人工芝敷きにするなどの整備をし、マルシェや文化的活動など多様なイベントが開催し易い環境づくりに努めてまいります。

 こうした環境を活かして、今後は、先ほど申し上げたような連立事業の段階的な効果発現に併せたイベントの検討を進めてまいるとともに、継続的な賑わいづくりのための仕掛けについては、市民の皆様とも協働してまいりたいと考えております。

 なかでも、知立の玄関口であります知立駅周辺につきましては、地域商店街、鉄道事業者、学識経験者などで構成するエリアプラットフォームを立ち上げ、定住人口、交流人口を増やし、経済効果や税収効果が着実に発揮できるような環境づくりに努めてまいります。

 また、まちの活力は、市内の中小事業者が元気でなければ生まれません。
 市内中小事業者を市民みんなで応援していこう、そんな目的を持った知立市中小企業振興基本条例に基づき、コロナ禍においてご苦労されていらっしゃる方々に寄り添いながら、信用保証料の助成や利子補給事業、若手後継者育成のための支援や新規創業事業補助など、地域を支えて下さっている市内企業を支援してまいります。

 併せて、農業振興施策として、水稲作等の作業効率の更なる向上を図るための水田畦畔(けいはん)除去への支援や、農業用機械等導入への支援を引き続き実施することにより、認定農業者の方に対し支援を行うほか、新規作物チャレンジ事業を通し、地域農家の皆さんとの話し合いにより、高収益作物の導入を図り、市の特産物の選定を目指します。

 一方、観光施策についてであります。
 令和5年度(2023年度)も、「観光振興計画」をもとに、様々な観光施策を推進してまいります。
 ちりゅっぴ関連などの物販のほか、「ちりゅっぴチャンネル」からの発信を引き続き実施してまいります。
 観光交流センターの活性化を図るため、指定管理者制度を導入し、知立まちづくり株式会社に担っていただくこととなりました。リリオ・コンサートホールとの連携を図るなどしながら、観光振興が図られることを期待しているところであります。

 また、かきつばたや花しょうぶ、松並木、弘法さん、知立まつり、ちりゅっぴなど、知立市の観光と、産業の振興が、計画的・機動的に図られていくよう、アフターコロナに向けて、引き続き観光振興計画の実行を図ってまいります。

 とりわけ、本年の大河ドラマのテーマは、この地域に縁の深い徳川家康であります。家康の側室のお万の方は知立神社の神主の娘であり、家康との間に授かった子の1人は、永見貞愛(ながみ さだちか)として知立神社の神主になるなど、知立神社と家康の歴史を絡めながら、知立市の魅力を更に発信してまいりたいと考えております。

 また、コロナ禍においては、商工関係者などの皆様方が、文化会館やスギ薬局知立福祉アリーナの駐車場などで「テイクアウト・フェスティバル」を開催して下さいました。
 また、弘法山遍照院においても、地域の皆様方が、感染症対策を施しながら、定期的に「寺の市」を開催してくださっています。

 知立は、江戸時代より東海道の宿場町として発展してまいりました。
 「馬市」や「池鯉鮒市(ちりゅういち)」と呼ばれた大規模な市が開催されていました。
 現代版宿場町として、今後は、「知立にいつ行ってもどこかでマルシェやテイクアウト・フェスティバルが開催されている」そんな賑わいのある環境づくりを、市民の皆様方にお力添えを賜りながら考えてまいります。

より効率的、効果的な行政運営

 次に、より効率的、効果的な行政運営について申し上げます。
 多様化する行政課題、厳しい財政事情などに鑑み、令和5年度(2023年度)も、モッタイナイ意識や内部管理コスト意識を徹底し、併せて、民間活力の導入や広域行政の推進を図るなどし、最小の経費で最大の効果が発揮できるよう努めてまいります。

 公共施設における夜間警備やエレベーター、自動ドア、電気工作物などの包括管理委託などで、経常経費の削減を図ってまいります。

 併せて、引き続き、広域行政の推進を図ってまいります。
 知立市は、現在、ごみ処理については刈谷市と、消防行政については碧南市・刈谷市・安城市・高浜市と一緒に行い、また、他に定住自立圏の枠組みを形成しているなど、それぞれの行政課題を様々な枠組みの中で、広域行政を推進しているところであり、令和5年度(2023年度)も他自治体と連携しながら行政施策を推進してまいります。

 また、税収確保の視点からも、引き続き、知立駅周辺の土地区画整理事業を実施していくほか、蔵福寺地区や鳥居地区の土地区画整理事業の推進と併せて、再開発事業として西新地地区の再開発事業も引き続き推進してまいります。

 企業誘致も着実に進めてまいります。
 都市計画マスタープランにおいて、産業促進拠点を新たに4か所追加し、また、令和3年度(2021年度)には、工場等の新増設に対し奨励金を交付する優遇制度などを盛り込んだ条例なども可決していただいたこともあり、着実に実績も出てまいりました。また、交渉中や問合わせの案件も増えてきております。

 企業誘致活動につきましては、引き続き、私自身が先頭に立ち、企業やディベロッパー、金融機関や県の東京事務所、JETRO(日本貿易振興機構)などにも足を運びPRするなど、総力を挙げて努めているところであります。議員の皆様方におかれましても、誘致活動へのご支援ご指導賜りますようよろしくお願いします。

 また、特定財源の確保にも引き続き努めており、引き続き、ふるさと応援寄付金制度や公共施設の有効活用、ネーミングライツ制度の推進も図るなどし、税収入以外の財源についても積極的な確保に努めてまいります。

 また、令和5年度(2023年度)も、様々な事務事業へのICT化にも積極的に努めてまいります。
 AI機能を持った市への問い合わせ対応事業を始め、各課の様々なアンケートをオンラインで実施させていただいているほか、公用車管理や行事予定表管理など内部事務のICT化も積極的に推進しているところであります。
 また、令和3年4月以降累計で、電子決裁は20,894件、電子回覧は64,458件(令和5年1月31日時点)と、多くのものをペーパーレス化してきており、今後、事務に支障を来さないものにつきましては、全てペーパーレス化するよう推進を図ります。

 また、いよいよ令和5年3月1日より、市民課窓口に関しましては、タブレット等を活用し、住民異動の手続きを簡単にする「スマート窓口」の運用を開始してまいります。
 これからも「スマート窓口」の対象業務を拡大するなどしながら、ICT化を進めるにあたりましては、市民の皆様方が、市民サービスを受ける際に、「待たなくても良い」「書かなくても良い」「行かなくても良い」をモットーに市民サービスの向上とともに、職員の意識改革・働き方改革などの視点で、可能な限り、様々な事務事業のICT化に積極的に取り組んでまいります。併せて、デジタルデバイドへの対応も努めてまいります。

 令和5年度(2023年度)も、最小の経費で最大の効果が発揮できる行政運営、そして、更なる財源確保を図るなどしながら、着実かつ丁寧に、市政運営をしてまいりますので、ご支援のほどよろしくお願いします。

おわりに

 結びにあたりまして、第6次知立市総合計画の基本的な方針のひとつでもあります「自助・共助・公助が息づく協働のまちづくり」について申し上げます。
 自助は、自分そして家族で支え合うこと、また、共助は、地域や隣近所でお互い助け合うことであります。
 様々な行政課題に対し、行政責任をしっかり果たしていくことは当然でありますが、一方で、自助・共助の重要性は、これからも訴え続けていかねばなりません。

 例えば、6千数百人以上の方がお亡くなりになられました阪神淡路大震災を例にあげますと、奇跡的に一命を取り留められた90%前後の方々は隣近所の助け合いで命が助かったといわれています。
 あのような大地震の際には、市役所職員などソーシャルワーカーを含めて被災者となります。
 また、道路が寸断され、また、情報も錯乱し、すぐには、個人に対してピンポイントで、救助に向かうことはできません。
 そのような場合には、隣近所の助け合い、すなわち共助が不可欠であります。

 「自助・共助・公助が息づく協働のまちづくり」をすることで、安心安全力や福祉力などがより高まり、総合計画が目指す「輝くまち みんなの知立」になっていくものであると確信しています。
 令和5年度(2023年度)も、より一層、市民の皆様方が、自助・共助の力を発揮していただける、また、知立のまちづくりに、自助・共助の力を発揮したくなる、そんな環境づくりに努めてまいります。

 そのためには、まずは、市民の皆様方の信頼を得るための情報公開や情報共有が不可欠であります。
 知立市は、条例や規則のほか、要綱や要領もホームページ上で公開しております。
 また、広報紙やホームページ、LINE、すぐメールなどのほか、私自身のツイッターや街頭での市政報告など、様々な方法で情報公開を行っているところであります。

 その中で、LINEについては、クーポン事業などの効果もあり、現時点直近数値で、5万人近くの方が登録して下さっており、近隣市には無い知立市の貴重な財産であります。
 日常における様々な行政情報を始め、災害時においては避難所などの情報発信をするほか、市の施策をよりよくするためのオンラインによるアンケートなど、様々な活用をしてまいります。

 また、市民の皆様方がまちづくり活動を新たにスタートされる際の補助事業を創設するほか、町内会活動をより支援させていただくべく補助事業の拡充も図ってまいります。

 また、過日、議員の皆様方にもご出席いただきました定住自立圏における奈良県の生駒市長の「誰一人お客様にしないまちづくり」と題した講演の中で、「歩いていけるまちの駅」構想などは市民協働のまちづくりとして素晴らしい試みであるものと感じました。
 知立市におきましても現在25か所までになってまいりました高齢者サロンなどを拠点にするなど、しっかりと検討してまいります。


 「あの職員となら一緒に安心安全なまちをつくろう」「あの職員となら一緒にきれいなまちをつくろう」「あの職員となら楽しいまちをつくろう」などと思っていただけるよう、私たち職員が、ひとりの人間として、誠実であるべきことが肝要であり、令和5年度(2023年度)も、5つの知立市職員の誓い、すなわち、「明るい挨拶をする」、「笑顔で丁寧に応対をする」、「心を込めたサービスを提供する」、「税金を大切に使う」、「信頼される職員を目指す」を、職員一同、しっかりと遵守してまいります。

 また、総合計画やまちづくり基本条例の基本理念のひとつに「互いの人権を尊重し、思いやりの心を育むまちづくり」があります。
 互いに助け合える共助のまちづくりのためには、「互いの人権を尊重できる環境」が必要不可欠であります。

 知立市は、令和3年度(2021年度)、内閣府より「SDGs未来都市」に選定されました。
 また、令和4年度(2022年度)は、議員の皆様方とともに、「知立市人権尊重のまち宣言」を行いました。

 令和5年度(2023年度)におきましても、「持続可能な社会」、「誰一人取り残さない社会」をつくるため、また、「知立市に住みたい」、「住み続けたい」と多くの皆様方に思っていただけるまちをつくるため、私ども職員一同、全力を尽くして市政に邁進してまいる所存でありますので、ご支援ご指導賜りますようお願いし、施政方針とさせていただきます。

ojigi

 

[ちりゅっぴ]

知立市長林郁夫