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機織池

新林町(本林)

(イラスト)機織池

むかし、逢妻川や猿渡川の川筋一帯の地を重原荘といいました。

ある日、そこの荘司様(重原荘の役人)が、若い者をつれてたか狩りに行きました。空は紺碧で、雲一つないのに急に雨が降ってきました。若者は、荘司様の一時の雨しのぎにどこか家はないかと探すと、池のそばにこざっぱりした小さな家が見つかりました。
「ごめんください。どなたかおいでになりませんか。」
と、若者がいうと、家の中から美しい娘さんが「はい。」と返事をしながら出てきました。
「この雨で、荘司様がお困りなので、少しの間雨宿りをお願いしたいのですが。」
「はい、むさくるしい小さな家でございますが、よろしかったらどうぞ。」
と、娘は心よく迎えてくれました。そして、温かいお茶に、いった大豆を添えて出してくれました。その娘のかいがいしい動作と、親切なもてなしに、荘司様も若者も心の中まで温まり、雨のやむのを待って、あつく礼をのべて娘の家を出ました。そして立野の辺りでじゅうぶん、たか狩りを楽しんで重原の屋敷へ帰りました。

若者は、日がたつにつれて、その日の美しくて親切であった娘のことが思い出され、二人だけで会って話がしたくなり、休みの日が来るのを待って会いに行きました。娘も、それを待っていたように、優しくもてなしてくれました。

そんなことが二、三度あってから、若者は娘さんに結婚を申し込みました。
「わたくしは、あなた様のお嫁さんになれるような者ではございません。」
と、娘はかたくなに、ただ、ことわり続けるばかりでした。
若者はどうしてもあきらめることができず、何度も何度も申し込みました。
娘は、若者の熱心さに、つい心をひかれて結婚を承知してしまいました。

結婚してからも、娘は若者によく仕え、少しの暇をおしんで機を織っていました。その織物は、地方には珍しい、都の織物で美しい錦でした。

若者は、毎夜おそくまで機を織る新妻をいとおしく思い、ある夜、戸のすき間から中をのぞきました。のぞいたとたん、若者は「あっ。」と、思わず大声をあげてしまいました。
機織をしている妻のうしろに、しっぽが見えているではありませんか。
妻は、機織に一生懸命のあまり、自分がきつねであることを忘れていたのです。正体を見られた妻は、悲しみましたが、きつねであることがわかっては、このままここで生活することはできません。泣く泣く消えるようにどこかへ行ってしまいました。

若者は、美しく優しかった妻のことをどうしても忘れることができず、思い出の池の辺りを、何度も何度も探し歩きましたが、なつかしい家はなく、彼の女には再び会うことはできませんでした。ただ、「カッタン、コットン、カッタン、コットン」という、機を織る音だけが池の中から聞こえてくるだけでした。

そのため、この池を、「機織池」というようになりました。

また、その池の東に、「管巻池」があって、糸をつむいで管に巻く「ブイ、ブイ」という音が池の中から聞こえてきたそうです。きつねであった新妻が、機を織っていた所は、重原町に八鳥(機織)という地名で残っています。

お し ま い

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