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身代り阿弥陀如来様

西町(新川)

(イラスト)身代り阿弥陀如来様

女房は困り果てていましたが、ぐちもいわずにつとめてきました。自分はとにかく、子どもたちがかわいそうでなりません。せめて、子どもだけでも人並みの暮らしをさせてやりたいと、ひとり悩んだあげく、このうえは仏様におすがりするしかないと思いました。
そこで女房は、「何とかして、よい父親になってほしい」と総持寺の阿弥陀如来様に、一心に願をかけました。
雨の日も、風の日も、雪の日も、はだしで、毎夜一生懸命通い続けて、おまいりしてお願いしました。

 

夜中に、いつもこっそり家を出ていくので、男は、「変だ」と思いました。
「はてな、うちの女房のやつ、一体何をしているのだろうか。きっとないしょで悪いことをしているにちがいない。今に見ていろ、思い知らせてやる。」
と腹をたて、疑い深く、その時のくるのを待っていました。
今夜も、そうっと家を出ていく女房を見て、男は、怠け者の自分が悪いことも忘れ、寝たふりをして帰りを待ちました。

 

しばらくすると、女房は帰ってきて、そっと床につきました。
真っ赤になって怒っていた男は、
「殺してやる。」
と叫ぶと、一刀のもとに、袈裟掛けに斬り下ろしました。
「ギャァーッ。」

 

悲鳴とともに、てっきり斬り殺されたと思った女房は、むっくり起きあがりました。かすり傷一つありません。驚く男に、女房は、
「あなたが、子どものために、よい父親になってほしいという一心で、毎晩、阿弥陀様におまいりしていたのです。」
と泣きながら、これまでのことを話しました。それにしても、たしかに斬りつけた女房が無事であったことに驚きました。
「きっと仏さまが助けてくださったにちがいない。」
と、二人はすぐに揃って、総持寺へ一目散に走りました。

 

一心不乱にお念仏を唱え、頭をあげてみると、どうでしょう。不思議や不思議。阿弥陀如来様の袈裟が斬られて、パサリと足もとに落ちているではありませんか。これはきっと阿弥陀様が身代りになってくださったのだと、二人は手をとり合い泣きました。

 

それからは、男は精を出して働くようになり、女房のためにはよい夫に、子どもたちのためには、たいへんよい父親になりました。

 

おしまい

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