たぬきの話

更新日:2023年08月23日

新地町(西新地)

(イラスト)たぬきの話

江戸時代のことです。
池鯉鮒の宿の東海道は、はたご(やどや)が軒をならべていて、夜もにぎやかでしたが、裏通りは竹やぶが多くさびしいところでした。

 

称念寺の裏あたりの竹やぶの中に、家が一軒だけあり、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
戸をしめたあと、
「トン、トン、庄兵衛さ、庄兵衛さ。」
「トン、トン、庄兵衛さ、庄兵衛さ。」
と、戸をたたいては、名をよぶ声がします。

 

いそいで戸を開けてみると、外にはだれもいません。いったん戸を開けてやると、その夜はもう戸をたたかなくなるのです。ところが次の夜になると、また、トントン、おじいさんの名をよんでは戸を開けさせるのです。

また、ある時には、思わぬことに、美しい娘さんが戸の外に立っていました。
「どうしたんかね。」
「道がわからなくて困っているの。」
「どこへ行くんだね。」
「小松寺の方へ行きたいの。」
「それなら、こっちから行くんだよ。」
といってふりむくと、娘さんはどこにもいません。
「また、やられたかな。」と、おじいさんはつぶやきました。

また、こんなこともありました。
ある冬の夜のことです。
おばあさんが、いろりで、ぼろ(あられ)をいっていると、お寺の小僧さんがきて、おばあさんの前にちょこんとすわって、
「おばあさん、おなかがすいたから、ぼろください。」
というので、おばあさんが、
「ああ、いいとも、ふろしきを出しなさい。入れてあげるから。」
というと、小僧さんは大きなふろしきをひろげました。

おばあさんが、いりたての熱いやけどをするようなぼろを、そのふろしきに入れると、
「あっ、あつい、あつい。」
といいながら、逃げていきました。もちろん、その時、ふろしきもなくなっていました。

おしまい

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