令和6年度 施政方針

更新日:2024年03月06日

はじめに

 本議会は、令和6年度の当初予算案を審議していただく議会でもありますので、私の所信の一端を申し述べます。

 令和6年度は、知立市のまちづくりの全体方針を定めております「第6次知立市総合計画」の最終年度となります。
 本年度は、「第6次知立市総合計画」の進捗状況を踏まえ、かつ時代の要求するものを的確に反映させながら、新たな計画を策定していく年でもあります。

 第6次知立市総合計画が目指してきたものは「輝くまち みんなの知立」でございます。
 知立に住む、知立に集う、お一人お一人が自分らしく生き、そして、様々な立場や役割の中で、知立のまちづくりに関与し、参画などしていただくことで、知立市全体が大きな輝きを放っていくものと確信をしております。

 そして、現在、様々な場面において、多くの皆様方が、力を発揮して下さっています。

市民参加のまちづくり

 例えば、毎年恒例となっております、「ちりゅうこどもフェステイバル」。
 実行委員会の皆様方が、「地元の子どもたちが、自分の町を知り、未来を考え、将来知立に住みたい」と思ってもらえるように、「キッズ・モール」など様々なイベントを行って下さっており、毎年、9,000人もの皆様方が、ご来場されていらっしゃいます。
 
 また、知立の新たな冬の風物詩となっております「知立ドリームイルミネーション」。
 昨年は、「知立ドリームイルミネーション」において、初めて、ガバメントクラウドファンディング制度を活用しましたところ、多くの皆様方からのご支援があったこともあり、例年以上に、素晴らしいイルミネーションであった、とたいへん好評でありました。
 
 また、「まちの科学館」設置を目指す市民団体が主催する「まちのふれあい科学館」や、「マコモダケ」、「大田楽」、「瓢箪」などを通じて、知立を盛り上げて下さっている方々もいらっしゃいます。

 また、現在、様々なところで実施して下さっています「子ども食堂」や、市内8会場で開催されている毎朝のラジオ体操、27箇所で開設されている高齢者サロンも、市民有志の皆様方が運営して下さっていますし、防犯パトロールや、環境ボランティア、子どもたちの登下校におけるスクールガード、また、公園や道路の愛護会などなど、様々な分野において、市民が市民の手で主体的に、より住み良い知立づくりのためにご尽力していただいています。

 ボランティア団体の数につきましては、市民活動センターへの登録団体だけでも148団体となり、また、地域生涯学習推進員などが運営して下さっている地域の生涯学習活動へは、令和4年度の実績では年間で延べ10,430名の方々が参加されており、健康づくりや仲間づくり、そして、生きがいづくりに、大きく貢献していただいているところであります。

 本年度も、知立市を家庭のように家族のように、「輝くまち、みんなの知立」にすべく、よろしくお願いし、以降、個別の課題への取り組みについて申し上げます。

子ども・子育て支援に関しての取り組み 

 まずは、子ども支援・子育て支援に関しての取り組みであります。

 知立市は、平成24年、「知立市子ども条例」を制定しました。
 以来、第6次知立市総合計画の基本的な方針において「子どもや子育て世帯の暮らしやすさの向上」また、基本理念において「次代を担う子どもを豊かに育むまちづくり」を掲げるなどし、様々な施策に取り組んできているところであります。
 
 まずは、学校教育であります。
 私たちは、未来を、子どもたちに託していきます。
 政治、経済、文化、芸術、スポーツ、科学など、一人ひとりの子どもには、無限の可能性があると同時に、それぞれの特性があります。

 学校の先生方には、一人ひとりの子どもにしっかり目配り心配りをし、子どもの悩みに応えていただくとともに、子どもの長所や能力を引き出し、伸ばしていただくことを期待するところであります。

 そうした中、知立市では、これまで国に先駆けての小学校全学年の35人学級の他、小中学校全校に、知立市独自に子どもサポート教員を創設し、年々、拡大を図ってきており、本年度は、新たに18名の増員をしていく予定であります。

 また、引き続き、スクールソーシャルワーカーを活用し、学校からの要望に応じ、また、必要であると思われる学校への派遣を行っていく他、新たに、知立南中学校区内の3校にコミュニティ・スクールを開設していくと共に、竜北中学校区内の3校において、コミュニティ・スクール開設のための準備予算も計上させていただいているなど、今後、順次、中学校区ごとにコミュニテイ・スクールの構築を図ってまいります。

 また、外国人生徒児童の増加傾向を考慮し、令和6年度は新たに、知立南中学校に知立市で2つ目となります「早期適応教室(かきつばた教室)」を設置していく他、昨年に引き続き、物価高騰による学校給食の賄材料費の値上がり分を保護者に求めるのではなく、行政で支援させていただく関連予算も計上させていただきました。

 併せて、姉妹都市として提携していますウインダム市との中学生派遣事業につきましては、新型コロナウイルス感染症の影響もあり派遣を中止しておりましたが、次代を担う子どもたちの視野や国際感覚が広がる大切な機会であると考えておりますことから、知立市国際交流協会様に協力をいただき、令和6年度の再開に向け、鋭意、取り組んでまいります。

 一方、今の学校の様々な問題の根っこには、「みんなで同じことを、同じペースで、同質性の高い学級の中で、教科ごとの出来合いの答えを、子どもたちに一斉に勉強させること」といった慣習的なシステムに原因があると、ある書物に書かれていました。

 そして、この問題を解決するための一つの方向性が、「指導の個別化」であります。
 100年程の実績があるドイツの「イエナプラン教育」やアメリカの「ドルトン・プラン教育」が注目されており、その手段のひとつが一人一台パソコンを配備することなどであります。
 そうした中、知立市においては、令和6年度も、様々な教科などにおいて、GIGAスクール構想を着実に推進してまいります。

 また、子どもたちの放課後の安心安全な居場所づくりとして、引き続き、放課後児童クラブと放課後子ども教室との連携を図っていくほか、保育園、児童センター、児童クラブの施設整備を実施してまいります。

 併せて、令和6年度も引き続き、保育士の業務負担を軽減し、保育士の離職防止を図ることや、将来の保育人材の確保・スキルアップを行うことを目的に、民間保育所等・保育補助者雇用強化事業を行っていくと共に、新たに、園外活動時の見守りなどを行う保育支援者の配置に対し支援をしてまいります。

 また、令和6年度は、新たに、妊産婦支援として、「低所得妊婦初回産科受診料支援事業」を開始するなど、産後ケア事業について、より利用しやすくしてまいります。

 令和6年度も、切れ目ない子育て支援・にじいろニコニコ事業の着実な実施を図りながら、子どもを産み、育てるならば知立」と、多くの皆様方に評価していただける環境づくりに、引き続き取り組んでまいりますのでよろしくお願いします。

安全で安心できるまちづくり

 次に、安全で安心できるまちづくりに向けての取り組みについて申し上げます。

 まずは、防犯対策についてであります。
 過去、知立市において、犯罪発生件数が最も多かった年は、平成21年で、年間件数が1,883件と、人口比率では愛知県でワースト1位でありました。
しかしながら、昨年は456件と、1,400件以上の減少となるなど、着実に減少に転じています。

 令和6年度も、犯罪を無くすため、防犯パトロールの実施や4,500基を超えてきている防犯灯につきましては更に増設をしていくと共に、防犯カメラにつきましても、従来の町内会等への防犯カメラの設置補助や公園や学校などへの設置のほか、令和6年度も、警察と連携しながら、市道など街頭への設置につきましても、台数の更なる増加を図ってまいります。

 また、防犯用具購入費等補助事業や特殊詐欺対策電話機器等購入費補助事業などの啓発を図り、より多くの方々に、ご活用いただけるよう努めていくほか、警察署、安城市、知立市とで締結させていただきました、「ドライブレコーダーに記録された画像の提供に関する協定」などをもとに、犯罪や交通事故または、住民の安全を脅かす事案が発生した場合などに、警察署と連携して、迅速に、事案解明などに取り組み、より安全で安心なまちづくりを推進してまいります。

 また、交通事故撲滅に向けては、年間を通じての様々な啓発活動の実施や、児童生徒等及び高齢者を対象とした自転車乗車用ヘルメットの購入費補助事業を継続するほか、引き続き、中高生を対象とした200日間自転車無事故無違反ラリーの実施、道路区画線などの明瞭化や道路反射鏡などの交通安全施設の設置、また、高齢者の運転免許証の自主返納支援事業の促進などと併せ、75才以上の皆様方へのミニバス運賃の無料化制度の周知を図るなどしながら高齢者ドライバーによる交通事故防止を図ってまいります。

 また、安心安全の強化には、警察力の更なる充実化が欠かせません。
「市内西部地区への交番設置」、「幹部交番の更新」、「知立警察署の設置」、「昭和警ら連絡所の存続」について、引き続き、要望活動をしてまいりますので、ご支援よろしくお願いします。

 次に、防災対策についてであります。
 能登半島地震においては、多くの皆様が、お亡くなりになり、また、ご苦労されていらっしゃいます。
 改めて、お悔やみとお見舞いを申し上げるところであります。

 この地域にも、大きな自然災害がいつ発生するかわかりません。
 とりわけ、南海トラフ地震が懸念されます。
 知立市において、南海トラフ地震が発生しますと、約4,300棟の家屋が倒壊し、約200名の方がお亡くなりになるという被害想定が出ています。
 引き続き、防災ラジオ配布事業、家具の転倒防止や家屋の耐震化の啓発を行うほか、多世代同居を条件とした家屋への耐震化の支援制度も実施してまいります。

 また、重要給水施設配水管の整備促進や橋梁の長寿命化、用排水路の改修なども引き続き実施していく他、令和6年度は、新たに、災害時の指定避難所となります小中学校において、受水槽が設置されています7校に、災害時には、直接、給水ができるよう受水槽に蛇口の設置をしてまいります。

 併せて、業務継続計画(BCP)をもとに、更なる訓練や検証を行っていく他、引き続き、名古屋大学減災連携研究センターへ職員派遣を行うなどし、防災に関しての研鑽を積んでまいります。

 また、女性防災士の養成支援など、防災士の養成に対しての支援事業の他、消防団や自主防災会のより一層の活性化が図られるよう引き続き努めていくと共に、多くの市民の方々の防災訓練などへの参加促進も図ってまいります。

 また、愛知県には、猿渡川河川改修などを実施していただいていますが、引き続き、着実に、猿渡川や逢妻川などの河川改修事業が実施されるよう要望してまいります。

 知立市は、愛知県外6自治体と災害時相互応援協定を締結し、市内民間宿泊事業所とは「大規模災害時における宿泊等確保に関する協定」、また、各福祉施設とは、「災害発生時における福祉避難所の設置運営に関する協定」などを締結しています。 令和6年度も、防災協定自治体など既存提携団体との連携強化や、災害時に備え、様々な視点で、更なる民間事業者や各種団体などとの提携や協定の締結に努めていくなどし、大災害発生時にも、知立市からは犠牲者をひとりも出さない、そんな取り組みを、自助・共助の重要性や必要性を訴えながら、市民の皆様方とともに進めてまいります。

福祉への取り組み

 次に、福祉への取り組みについて申し上げます。
 一人ひとりの尊厳を重んじ、人と人とのつながりを基本として、困った時に助け合う「顔の見える関係づくり」や「ともに生きる社会づくり」のため、様々な施策を推進してまいります。

 例えば、「福祉を育む意識づくり」として、イベント等における地域福祉についての啓発や、市民活動団体などへの取組み支援、また、職員が、高齢者や障がい者の方々に、寄り添った対応ができるよう、福祉関連の職員研修についても引き続き実施してまいります。

 また、障がいのある方への支援について相談業務を実施するほか、相談支援センター相互の連携を図るとともに、業務に従事する相談支援専門員に対して専門的研修等を実施するなど、障がい者の方々への支援体制をより一層充実させるように努めてまいります。

 一方、超高齢社会に向けての取組みであります。
 「100歳元気なまちづくり」とし、今後も、更なる健康増進や介護予防などの視点で、超高齢社会に向けて取組んでまいります。

 とりわけ、高齢者の方々が身近なところで活動できる場所づくりであります。
 現在、まちかど運動教室は19か所、高齢者サロンは27か所、それぞれ開催しております。
 併せて、LINEから参加することができるオンラインまちかど運動教室も開催しており、今後、更なる設置拡大と活動の充実化を図ってまいります。

 また、介護保険や認知症のことなど、高齢者の皆様方の課題が相談できる「知立市東部地域包括支援センター」と「知立市西部地域包括支援センター」を、しっかりと周知させていただきながら、気軽にご相談していただけるような環境づくりにより一層努めてまいります。

 そして、今後、超高齢社会の進行に伴い、認知症の方も増えてくることが想定されます。
 認知症を理解する、社会全体で支えていく、そのような環境づくりに向け、認知症サポーター養成講座を多くの皆様方に受講していただくほか、メール配信を通じ、地域の皆様で、認知症徘徊者などを捜していただくシステム「いまどこネット」を、より多くの方にご登録いただけるような啓発活動や認知症カフェの開催を増やす取り組みを行ってまいります。

 また、知立市は、平成12年度に生涯学習都市宣言をして以来、多くの高齢者の皆様方が、スポーツ活動や文化・芸能活動、ボランティアや地域活動などの生涯学習活動に精力的に取組んでいただいています。

 ある高齢者の方は、朝はラジオ体操をされ、それが終わると、地域において子どもたちの通学の見守り活動をし、そして、午前中はグラウンドゴルフ、午後からは図書館やカラオケ教室に行かれたりと、生き生きとした毎日を過ごされています。
 これからも、より一層、生涯学習活動に参加したくなる、また、生涯学習活動がしやすい環境づくりに取り組むなどしながら、「100歳元気なまち」を目指してまいります。

 また、生活困窮世帯などを対象とした子どもの学習・生活支援を引き続き実施していく他、令和6年度から、新たに、ひきこもりなどにより社会生活に困難を抱える方などに対し、福祉・教育・医療・雇用などの様々な関係機関が効果的に連携していけるよう、子ども・若者支援地域協議会を組織し、相談支援体制を整備してまいります。

 東京大学名誉教授の神野直彦氏は、「生活困窮は低所得だけで生じるわけでなく、「あたたかい手と手をつなぐ」人間関係に包まれなくなった時に生じる。」と仰っておられます。
 知立市を家族のように家庭のように感じることのできる心の通うあたたかいまちにするためにも、自助力、共助力の重要性を申し上げながら、引き続き、各施策に着実に取組んでまいります。

環境に関しての取り組み

 次に、環境に関しての取り組みについて申し上げます。
 近年、地球温暖化に起因すると思われる猛暑や局地的豪雨などが毎年のように発生し、深刻な被害をもたらしています。これは、まさに気候危機と呼ぶべき状況に直面しており、地球温暖化防止は待ったなしの状況であります。
 引き続き、「省エネ活動の推進」「再生可能エネルギーの導入・支援」「廃棄物の削減」「環境教育」などの施策を進めてまいります。

 「省エネ活動の推進」、「再生可能エネルギーの導入・支援」事業としましては、令和5年度(2023年度)、新たに、市内の中小企業者などがカーボンニュートラルを推進するため、省エネルギー診断や省エネルギー設備及び再生可能エネルギー設備の導入、また、次世代自動車等の購入などに要した費用の一部を補助してまいります。

 市民の皆様に対しましては、バイオマス・ポリエチレン(植物由来の原料)を配合した環境にやさしい家庭用可燃ごみ指定袋への切替えを令和4年度(2022年度)より行っております。また、太陽光発電や、家庭用エネルギー管理システム (HEMS)、また、定置用リチウムイオン蓄電池システムなどへの導入支援のための予算を計上するとともに、ネット・ゼロ・エネルギーハウス(ゼッチ(ZEH))の普及促進にも努めてまいります。

 また、令和4年(2022年)に立ち上げました「刈谷知立みらい電力株式会社」において、その目的であります「エネルギーの地産地消」、「知立市・刈谷市の脱炭素化」が、着実に図られるよう、推進してまいります。

 また、令和5年度(2023年度)、スギ薬局知立福祉アリーナや猿渡公民館、また、昭和テニスコートなどの照明をLED化していくほか、公共施設全般において、太陽光発電設備設置の更なる可能性についての調査検討をしてまいります。

 続きまして、「廃棄物の削減」「環境教育」であります。
 知立市は、環境美化推進条例により環境美化市民行動の日としてクリーンサンデーを実施しております。また昨年、開催し好評でありました、ゴミ拾いをしながら、健康増進、コミュニティの醸成などが期待されるSDGsスポーツ「プロギング」を令和5年度(2023年度)も実施していくとともに、知立市議会市民福祉委員会よりご提案いただいたリサイクル率を高めるべく「古紙・古布回収」について、公共施設における回収場所を拡大するなど、積極的に取り組んでまいります。
 ポイ捨てや犬のふん放置については、環境美化推進員による啓発や指導で、着実に成果は出てきており、引き続き、ふん害撲滅のためのイエローカード作戦や、「愛犬マナー宣言」をしていただいた方への「愛犬マナーポーチ」配布事業を行います。また、多言語にも対応した「ごみ出しガイドブック」や、「ごみ出しカレンダー」などでの啓発に努めるとともに、移動式の不法投棄監視カメラを設置することで、不法投棄の防止を図ります。

 また、「飼い主のいない猫」の増加は、フン公害など様々な社会的課題を発生させていることから、令和5年度(2023年度)、新たに、地域ねこ活動で捕獲した「飼い主のいない猫」の不妊去勢手術に要する費用の一部を補助してまいります。

 環境に関しての取り組みとして、着実に取り組んでまいりますので、皆様のご理解ご協力よろしくお願いします。

健康に関しての取り組み

 次に、健康に関しての取り組みについて申し上げます。
 新型コロナウイルスは5類に移行となりましたが、予防対策として引き続き手洗いなど、予防に努めていただきますようよろしくお願いします。

 健康であることは、全ての市民の願いであります。
引き続き、妊産婦・乳幼児健診事業、がん検診推進事業、インフルエンザや高齢者肺炎球菌のワクチン接種事業、新型コロナウイルスワクチン接種など、国の指針に基づき、適切に取り組んでまいります。

 また、引き続き、特定健康診査、後期高齢者健康診査を通じ、糖尿病重症化予防プログラム、高齢者の保健事業と介護予防の一体的な事業を実施し、疾病予防、重症化予防に取組むとともに、更なる健康推進のため、健康知立マイレージ事業の普及促進にも努めてまいります。

 また、令和6年度も、公園・散歩みちの適正な管理、学校グラウンドなど学校施設の有効活用、また、各種スポーツ教室の開催や高齢者スポーツへの支援、ラジオ体操の普及促進など図りながら、「いつでも どこでも いつまでも」スポーツに親しんでいただける環境づくりにも努め、健康を推進してまいります。

 とりわけ、知立市議会建設水道委員会より政策提言いただいた「インクルーシブな未来の公園づくり」につきましては、障がい者団体の皆様方などからのご意見も頂戴しながら、令和6年度、知立新地ドリームパークに、インクルーシブ遊具を新設してまいりますのでご期待賜ればと思います。

 また、歯の健康は、心身の健康に大きく関係します。
 そうした中、令和6年度は新たに、成人歯科健診において、20歳と30歳の無料健診を追加させていただく他、引き続き、80歳で自分の歯が20本以上有る方・90歳で自分の歯が20本以上有る方を表彰する「8020・9020いい歯の表彰式」を実施するなど、乳幼児時期から高齢者まで、切れ目のない健診体制を整えてまいります。

 併せて、引き続き、障がい者施設通所者・歯科検診補助事業を実施するなどし、歯の健康づくりを応援してまいります。

 令和6年度も、第2次健康知立ともだち21計画の基本理念である「すべての市民がともに支えあい、希望や生きがいを持ち、各世代に応じた健康づくりを実践するまちづくり」を目指し、着実に進めてまいります。

産業振興とまちの活力づくり

 次に、産業振興とまちの活力づくりについて申し上げます。

 100年に一度のまちづくりとして進めています知立駅周辺整備事業を令和6年度も着実に推進してまいります。
 鉄道高架事業においては、いよいよ本年3月16日、三河知立駅が竜北中学校付近に移設開業してまいります。
 今後、来年度には名古屋本線の名古屋方面が2階部分に切り替わり、そして、令和9年度になりますと、三河線が4階部分に切り替わり、10箇所の踏切が無くなってまいります。
 これからも、それぞれ記念事業を行うなどしながら、市内外に、事業進捗の状況を積極的に発信してまいります。

 併せて、知立駅周辺の賑わいづくり・魅力づくりについても着実に進めてまいります。
 現在、仮設ではありますが、知立駅前に人工芝でのイベント広場を整備させていただきました。
 昨年は、マルシェなど様々に開催させていただきましたが、本年度も、引き続き、様々なイベントを実施してまいります。

 とりわけ、令和6年度は、知立まつりの本祭りにあたりますことから、新たな試みとしまして、駅前の知立駅前暫定広場にビジョンカーを配車し、山車文楽・からくり等を、パブリック・ビューイングできる環境を整備することも考えているところであります。

 また、「知立駅周辺においては、夜の飲食店は多いが、昼間などに、学生さんたちが、集えるカフェなどが無く、何とかならないものか?」とのご意見を多数、お聴かせいただいていますことから、日中のカフェなどの営業をしていただくことに向けて、家賃や改装費の補助制度を新しく設けるべく関連予算を計上させていただきました。

 一方、知立駅周辺の賑わいづくり・魅力づくりにつきましては、知立駅周辺エリアプラットフォームからのご提案も、ひじょうに楽しみにしているところでありまして、令和6年度も、エリアプラットフオーム関連予算も引き続き計上させていただいているところであります。

 また、まちの活力は、市内の中小事業者が元気でなければ生まれません。
市内中小事業者を市民みんなで応援していこう、そんな目的を持った知立市中小企業振興基本条例に基づき、コロナ以降ご苦労されていらっしゃる方々に寄り添いながら、信用保証料の助成や利子補給事業、若手後継者育成のための支援や新規創業事業補助など、地域を支えて下さっている市内企業を支援してまいります。

 併せて、農業振興施策として、水稲作(すいとうさく)などの作業効率の更なる向上を図るための水田畦畔(けいはん)除去への支援や、農業用機械等導入への支援など、認定農業者などの方に対しての引き続きの支援を行うほか、農地の高低差の解消など農地改良工事の費用についての支援を行い、農地の効率的な利用を推進してまいります。

 一方、観光施策についてであります。
 令和6年度も引き続き、かきつばたや花しょうぶ、松並木、弘法さん、知立まつり、ちりゅっぴなど、知立市の観光と、産業の振興が、計画的・機動的に図られていくよう、観光協会様と共に、観光振興計画の着実な実施を図ってまいります。

 知立市は、江戸時代より東海道の宿場町として発展し、「馬市」や「木綿市」などの市が開催されていました。
 現在も、弘法山遍照院において、地域の皆様方が、定期的に「寺の市」を開催して下さっている
 他、駅前においても度々、マルシェが開催されています。
 今後は、「知立にいつ行ってもどこかでマルシェなどが開催されている」そんな賑わいのある環境づくりを、市民の皆様方にお力添えを賜りながら進めてまいります。

より効率的、効果的な行政運営

 次に、より効率的、効果的な行政運営について申し上げます。
 多様化する行政課題、厳しい財政事情などに鑑み、令和6年度も、モッタイナイ意識や内部管理コスト意識を徹底し、併せて、民間活力の導入や広域行政の推進を図るなどし、最小の経費で最大の効果が発揮できるよう努めてまいります。

 そうした中、令和6年度も、公共施設における夜間警備やエレベーター、自動ドア、電気工作物などの包括管理委託などで、経常経費の削減を図ってまいります。

 また、令和4年度より開始しました公共下水道接続補助事業につきましては、下水道使用料改定と未普及事業の推進と共に、下水道使用料収入の増加に大きく寄与し、事業開始の令和4年度決算と令和6年度予算の比較では、下水道使用料収入が1億3,000万円程の増加を見込んでおり、一般会計からの繰入金の減少にも繋っており、引き続き継続してまいります。

 併せて、広域行政の推進も積極的に図ってまいります。
 知立市は、現在、ごみ処理については刈谷市と、消防行政については碧南市・刈谷市・安城市・高浜市と一緒に行い、また、他に定住自立圏の枠組みを形成しているなど、それぞれの行政課題を様々な枠組みの中で、広域行政を推進しているところであり、令和6年度も他自治体と連携しながら行政施策を推進してまいります。

 とりわけ、上下水道の広域化・共同化の取り組みとして、豊田市、岡崎市、安城市、西尾市及び知立市の5市による給排水工事オンライン申請に向けて、令和6年度に、新たに、システム導入などの準備予算を計上させていただきました。

 併せて、この度、愛知県が、より効率的に対応し持続可能な上下水道を目指すため、矢作川流域を中心とした西三河地域において、全国初の取り組みとなる県と市町等が連携した上下水道の一本化に向けて取り組んでいくとしましたことから、本市におきましても積極的に参画をしてまいります。

 また、広域的な交通結節性を最大限に活用した都市づくりを進めるため、引き続き、知立駅周辺の土地区画整理事業、西新地地区の再開発事業を推進していく他、基盤整備につきまして、蔵福寺地区や鳥居地区の土地区画整理事業も併せて実施することによりコンパクトシティーを目指してまいります。

 また、企業誘致も着実に進めてまいります。
 開発事業に伴う公共施設整備の負担を軽減する補助金交付制度などを制度化し、着実に実績も出てまいりました。また、問合せや協議中の案件も増えてきております。

 令和6年度においては、より多様な産業を集積し、市民の雇用機会の拡大を図るため、事業者のオフィスの新増設を支援する制度も新たに開始させていただくことも考えております。

 企業誘致活動につきましては、昨年、東京で開催された「産業立地セミナー」において、私自らPR活動もさせていただきました。
これからも、引き続き、私自身が先頭に立ち、企業やディベロッパー、金融機関や県の東京事務所、JETRO(日本貿易振興機構)などにも足を運びPRするなど、総力を挙げて努めてまいります。議員の皆様方におかれましても、誘致活動へのご支援ご指導賜りますようよろしくお願いします。

 また、引き続き、ガバメント・クラウド・フアンデイング、ふるさと応援寄付金制度や公共施設の有効活用、ネーミングライツ制度の推進も図るなどし、税収入以外の財源についても積極的な確保に努めてまいります。


 一方、令和6年度も、様々な事務事業へのICT化にも積極的に努めてまいります。
AI機能を持った市への問い合わせ対応事業を始め、各課の様々なアンケートをオンラインで実施させていただいているほか、公用車管理や行事予定表管理など内部事務のICT化も積極的に推進しているところであります。

 直近数値で、電子決裁は37,890件、電子回覧は111,246件と、多くのものをペーパーレス化してきており、今後、事務に支障を来さないものにつきましては、全てペーパーレス化するよう、引き続き、推進を図ってまいります。

 また、昨年より、市民課窓口に関しましては、タブレット等を活用し、住民異動の手続きを簡単にする「スマート窓口」の運用を開始しております。
これからも「スマート窓口」の対象業務を拡大するなどしながら、ICT化を進めるにあたりましては、市民の皆様方が、市民サービスを受ける際に、「待たなくても良い」「書かなくても良い」「行かなくても良い」をモットーに市民サービスの向上とともに、職員の意識改革・働き方改革などの視点で、可能な限り、様々な事務事業のICT化に積極的に取り組んでまいります。
 併せて、ICTを活用できない方などに対し、行政サービスの格差が生じないよう、いわゆるデジタルデバイドへの対応も、引き続き、努めてまいります。

 令和6年度も、最小の経費で最大の効果が発揮できる行政運営、そして、更なる財源確保を図るなどしながら、着実かつ丁寧に、市政運営をしてまいりますので、よろしくお願いします。

おわりに

 結びにあたりまして、第6次知立市総合計画の基本的な方針のひとつでもあります「自助・共助・公助が息づく協働のまちづくり」について申し上げます。
 自助は、自分そして家族で支え合うこと、また、共助は、地域や隣近所でお互い助け合うことであります。
 様々な行政課題に対し、私共、市役所職員は、行政責任をしっかり果たしていくことは当然でありますが、一方で、自助・共助の重要性は、これからも訴え続けていかねばなりません。

 例えば、6千数百人以上の方がお亡くなりになられました阪神淡路大震災を例にあげますと、奇跡的に一命を取り留められた90%前後の方々は隣近所の助け合いで命が助かったといわれています。
 あのような大地震の際には、私共、市役所職員などソーシャルワーカーも被災者となります。

 また、道路が寸断され、また、情報も錯乱し、すぐには、一人ひとりに対してピンポイントで、救助に向かうことはできません。
 そのような場合には、隣近所の助け合い、すなわち共助が不可欠であります。
 「自助・共助・公助が息づく協働のまち」となることで、安心安全力や福祉力などがより高まり、総合計画が目指す「輝くまち みんなの知立」になっていくものであると確信しています。

 令和6年度も、より一層、市民の皆様方が、自助・共助の力を発揮していただける、また、知立のまちづくりに、自助・共助の力を発揮したくなる、そんな環境づくりに努めてまいります。

 そのためには、まずは、市民の皆様方の信頼を得るための情報公開や情報共有が不可欠であります。
 知立市は、条例や規則のほか、要綱や要領もホームページ上で公開しております。
 また、広報紙やホームページ、LINE、すぐメールなどのほか、私自身のX(エックス・旧ツイッター)や街頭での市政報告など、様々な方法で情報公開・情報発信を行っているところであります。

 その中で、LINE公式アカウントの活用については、クーポン事業の効果もあり、現時点、直近数値で、7万人を超える方々が登録して下さっており、近隣市には無い知立市の貴重な財産となっております。
 今後も、日常における様々な行政情報を始め、災害時においては避難所などの情報を発信するほか、市の施策をよりよくするためのオンラインによるアンケートなど、様々な活用をしてまいります。

 また、町内会が円滑に活動ができるよう、区長さんなどからのお話も、しっかりお聴かせいただきながら、様々な視点で支援の充実化を図ってまいります。

 また、市民参加のまちをつくるためには、市民の皆様方から、「あの職員となら一緒に安心安全なまちをつくろう」「あの職員となら一緒にきれいなまちをつくろう」「あの職員となら楽しいまちをつくろう」などと思っていただけるよう、私たち職員が、ひとりの人間として、誠実であるべきことが肝要であり、令和6年度も、「5つの知立市職員の誓い」、すなわち、「明るい挨拶をする」、「笑顔で丁寧に応対をする」、「心を込めたサービスを提供する」、「税金を大切に使う」、「信頼される職員を目指す」を、職員一同、しっかりと遵守してまいります。

 総合計画やまちづくり基本条例の基本理念のひとつに「互いの人権を尊重し、思いやりの心を育むまちづくり」があります。
 お互いに助け合える共助のまちづくりのためには、「互いの人権を尊重できる環境」が必要不可欠であります。

 知立市は内閣府より「SDGs未来都市」に選定されております。
 また、議員の皆様方とともに、「知立市人権尊重のまち宣言」も行っております。
 令和6年度におきましても、「持続可能な社会」、「誰一人取り残さない社会」をつくるため、また、「知立市に住みたい」、「住み続けたい」と多くの皆様方に思っていただけるまちをつくるため、私ども職員一同、全力を尽くして市政に邁進してまいる所存でありますので、ご支援ご指導賜りますようお願いし、施政方針とさせていただきます。

 ご清聴ありがとうございました。

ojigi

 

[ちりゅっぴ]

知立市長林郁夫