日本脳炎1期・2期
病気の説明
日本脳炎ウィルスの感染で起こります。ヒトから直接ではなくブタなどの体内で増えたウィルスが蚊によって媒介され感染します。7~10日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどの症状を示す急性脳炎になります。ヒトからヒトへの感染はありません。
流行は西日本地域が中心ですが、ウィルスは北海道など一部を除く日本全体に分布しています。 飼育されているブタにおける日本脳炎の流行は毎年6月から10月まで続きますが、この間に、地域によっては、約80パーセント以上のブタが感染しています。以前は小児、学童に発生していましたが、予防接種の普及などで減少し、最近では予防接種を受けていない高齢者を中心に患者が発生しています。
感染者のうち100~1,000人に1人が脳炎を発症します。脳炎のほか髄膜炎や夏かぜ様の症状で終わる人もいます。脳炎にかかった時の死亡率は約20~40パーセントですが、神経の後遺症を残す人が多くいます。
日本脳炎ワクチン
1期初回 | 1期追加 | 2期 | |
対象年齢 (標準的な接種年齢) |
3歳~7歳6か月に至るまで(3歳) | 3歳~7歳6か月に至るまで(4歳) | 小学4年生 |
回数 | 2回 | 1回 | 1回 |
間隔 | 6~28日間 | 1期初回終了概ね1年後 | 1期追加終了後概ね5年後 |
期間 | 通年 | 左に同じ | 左に同じ |
接種場所 | 各医療機関にて個別接種 | 左に同じ | 左に同じ |
特例対象者について
平成17年度からの日本脳炎予防接種の積極的勧奨差し控えにより接種を受ける機会がなかった平成19年4月1日以前に生まれた20歳未満の方は日本脳炎の定期予防接種を受けることができます。
該当希望者は、保健センターまでご連絡ください。
ワクチンの副反応
乾燥細胞培養日本脳炎ワクチンは、ベロ細胞という細胞でウイルスを増殖させ、ホルマリンなどでウイルスを殺し(不活化)、精製したものです。
予防接種後健康状況調査(厚生労働省)の平成25年度集計は、このワクチンによる調査成績(いわゆる有害事象調査:すべてがワクチンの副反応と断定できるわけではないがワクチン接種後に生じた症状の変化)がまとめられています。それによれば、このワクチンを接種した後にみられる37.5度以上の発熱は、第1期初回の翌日に最も多く2.4%程度、次いで接種当日1.9%でした。これを38.5度以上の発熱でみると接種当日が1.0%、接種翌日が0.8%でした。接種した部位の腫れなどの局所反応は第1期初回接種翌日での発生が1.4%、接種2日目が0.4%でした。局所反応は第2期での発生が最も多く、接種1日目がピークで3.8%でした。
接種後の重篤症例として厚生労働省に報告されたもの(平成30年3月31日~平成30年6月30日)では、医療機関から報告された重篤症例は9例で頻度は0.0005%でした。報告時点で9例中6例は回復または軽快、後遺症2名、未回復1名となっていました。死亡の報告はありませんでした。
万一、定期の予防接種によって引き起こされた副反応により、医療機関での治療が必要になったり生活に支障が出るような障害を残すなどの健康被害が生じた場合は、予防接種法に基づく救済制度により給付を受けることができます。給付申請の必要が生じた場合は診察した医師、または保健センターへご相談ください。
<参考資料>
更新日:2025年04月01日